「トランスジェンダーではない、悪質な女装おじさん」による性加害の実態。被害者が告白

 トランスジェンダー問題の議論が深まるなか、女性に接近する女装男が問題視されている。女子トイレや銭湯に入るのはもちろん、なかには女性を油断させ、性的加害を行うケースも……その卑劣な手口を被害者たちが暴露する!

◆「レズりましょう」性欲全開で女性に迫る

LGBTではない女装趣味者の一部が悪さをするんです。既婚者も多く、男として女が好きなので、目的が女性との性行為にある場合がほとんどです」

 女装男性と女性の混合イベントに携わってきた山村幸子さん(仮名・48歳)は語る。

「そういう女装おじは決まって『レズりましょ』と言う。『したくなっちゃったからトイレでしましょ』などと言って、ものすごい力で引っ張り込まれるんです。『終電逃しちゃったから寝ましょ』とホテルに連れ込まれたコもいます」

◆会場の女子トイレで手を洗っていると女装おじが登場

 木下友香さん(仮名・38歳)は女子トイレに潜んでいた女装おじさんから被害を受けた。

「さまざまな性癖を集めたクラブイベントに参加したときのことです。会場の女子トイレで手を洗っていると、どう見ても女装したおじさんが現れた。一瞬怯んだのですが、LGBTの方かもしれないと思い気にせず出ようとすると、彼が『すごく可愛い!』と声をかけてきました。

 そして、すごい力で抱きついてきて……抵抗すると、『だって、好みなんだもの。こういうところに来てるってことは、あなたも変態なんじゃないの?』と言って私の胸を揉もうとし、キスを迫ってきたので渾身の力を振り絞って逃げました。相手が女装だったので警戒しきれなかったことを後悔しました」

◆後日、LGBTではなくただの男だと知る

 取材を進めると、こうした女装おじによる被害事例は、続々と聞こえてきた。

「距離がやたら近くて、体を寄せてきたりする。中身はただの男なのにおかしい」(堀田玲子さん・仮名・35歳)。

「胸を触られたのですが、オカマだしまあいいか……と思った。でも後日、ただの男だとわかって腑が煮えくり返りました」(須藤あかりさん・仮名・29歳)。

 レイプ寸前の被害に遭ったと話すのは、小田千佳さん(仮名・24歳)。

「私が勤めていたキャバクラに、太客の連れで来店してきた女装男です。オネエ言葉で、オシャレな格好をしていたので油断したんだと思います。そいつにアフターで行った店でテキーラを無理やり何杯も飲まされ泥酔し、タクシーで家に連れ込まれました。

 クイズに答えられなかったら飲ませられるというものだったのですが、小説家の名前や高度な政治用語、医療用語など、こちらが負けるような設問をしてくるんです。大金持ちの客なので店もグルになっていて、止めもしませんでした。

 しぶしぶ部屋に入ると豹変して、『君を売れるキャバ嬢にしてあげる』などと言って襲ってきたので、思い切り拒否したのですが、そのまま寝落ちしてしまい、目が覚めると男が私のお尻に陰茎を擦りつけていて……すぐに逃げる仕度をすると、『じゃあ舐めさせて』と言ってタイツを引っ張ってきた。抵抗しましたが、結局少し下ろされて下腹部をペロリと舐められました。もちろんその後は、脱出しました」

◆性自認している可能性から無下にできないのが難点

 なお、この女装男は他の店でも同様の手口で性犯罪を繰り返していたという。

「女装をするのは、モテるためだと言っていました。他にもこの男に暴行され中出しまでされたコも……」

 LGBTが集う場所でも悪質な女装おじさんが跋扈しているが、性自認や戸籍が女性である可能性から無碍に排除できず、混乱が生じているという。某レズビアンバーの従業員Aは次のように話す。

「うちは戸籍上の女性しか入店できないのですが、ある日、カツラを被りマフラーで首元を隠した女装男性が入ってきた。MTF(女性への性転換者、または希望者)かもしれないので慎重に対応していると『やっぱり女のコを見ると、お股が濡れるの?』などと言ってきてゾッとしました。本当に心が女だというなら、そんな言葉出ないはずなんです」

◆女装おじによるさまざまな事件が……

 別のレズビアンバーの従業員Bも、このように話す。

「ある女性主体の定期イベントに女装おじが殺到したせいで女性が来なくなり、中止になったことがありました。女装おじから後日会うことを要求するDMが女性一人に対して100通ほど送られてきて……。女装おじの中にはイベントを『パス』できるかどうかを試したくて参加する人もいるみたいです。

 

 というか、そんなにイベントに参加したいなら、デパートメントH(日本最大級のフェチイベント)みたいなところに行けばいいのに。わざわざ女性ばかりの、弱者のイベントに参加しようとするところが『日本の男』だなって思いますよ。

 それに、うちにも女装おじが来て、従業員に延々と卑猥なことを言って泣かせる事件がありました。近所にも、女装おじに乗っ取られて女装バーになってしまった元レズバーが何軒かあります。レズアプリで知り合って待ち合わせ場所に行くと、女装おじが立っていたという話もよく聞きます」

◆質の悪い女装おじたち

 悩ましい点は他にもあるようだ。

「社会的地位や権力を持っている人も多く、横のネットワークがすごく強い。なので、入店を断ったりするとSNSで集団バッシングなどの嫌がらせや仕返しをする傾向が高いんです」(同)

 15年間LGBTの場で働いてきた某カメラマンは「本物のトランスジェンダーは女性に加害しないし、表にもあまり出てきません」と話す。

 暴走する女装おじさんを止めることはできるのか。

◆女装おじさんが語る、「変態の正しい見分け方」

 女装おじさんの狼藉を、ほかの女装家はどう見るのか。

「女装すると興奮して、脳内に幸せホルモンのようなものが出てくる。変態という自覚はあります」と話す佐々木涼さん(仮名・41歳)。だが、世相を鑑みて女装は2年前からやめているという。

「悪質な女装おじのせいで、肩身が狭くなりました。そのうち『女装狩り』が出てきてもおかしくない。公衆の面前でカツラや服を剝がされたら、これほど情けないものはありませんよ。女装家の先輩からも『女装したらケンカするなよ』と前から言われています」

 別の女装家・マチコさん(仮名・40代)は「女のコの格好をしていると、女性ウケがいいと気づいた。性の対象は女性なので、悪質な女装おじとくくりは一緒です。一線を越えてしまう人は、自制心の問題でしかないのでは」と話す。

◆女装男性の施設利用に対する多様な意見

 昨今、問題となっている女子トイレや銭湯の使用については、取材を進めるなかで多様な意見が挙がった。

「男子トイレが混んでて仕方なく……ということはありました」、「性自認が女性で、治療をしている人ならいいのでは」。一方で、「明らかにおじさんだとわかる人が平気で女子トイレに入るから問題が起きる。ちゃんとメイクして、体格も小さく女のコにしか見えなければトラブルにならない。周りもそこまで見てない」という、容認しがたい声も。

 男性の女性専用施設への入場は犯罪行為だが、女装するからにはと『女性専用施設をパス』するといったミッションを自分に課す男もいる。佐々木さんは、こうした状況に憤る。

「自分勝手な理由で女性専用の場に侵入する輩は女装家として許しがたい。本気で性別違和(※最新の精神疾患の診断・統計マニュアルDSM-5で性同一性障害から表記変更)に悩んでいる方に対しても失礼な話です。それに性自認を認めてしまうと、僕のような中年は大丈夫でも、若い男は自分をそうだと思い込んでしまう危険性がある。話してみると、性別違和ではないということが少なくありません。それに、若い女装男は『パス度』が高くチヤホヤされるので、承認欲求で女性ホルモンを打ったりするケースも多いです」

◆女性に着てほしい服を自分で着て興奮する女装おじ

 だが実際に変質者を見分けることは素人には困難なため、女性に自衛を促す声もある。

「女装していると、女性がこちらに対して油断しているのがわかります。聞いてもいないのに、自分の性癖や着けている下着についてまで全部話してくれたりする。なので、話していて女装男が興奮してきたら要注意。いかに気が合っても、絶対にホテルなどに行ってはいけません」(芝邦明さん・仮名・40代)。

 トランスジェンダー女性の鈴木義夫さん(仮名・50代)は、次のように話す。

「区別するポイントはいくつかありますが、最も大きいのは本物の女性が着ないような突拍子もない服装をしている点。異様に露出していたり、デザインがきわどかったりする。ミニスカに網タイツとか。女性に着てほしい服を自分で着て興奮している。実際に女性にセクハラをするのもそういう人が多いです」

 違和感を覚えたら、女性は女装おじに近づいてはならない。

◆実はアンタッチャブルな女装おじさん問題

 暴走する女装おじさんの悪事は看過できない一方、性的マイノリティも絡むセンシティブな問題でもある。

 それだけに当事者への取材は難航を極めたが、ジェンダー問題に詳しい医師が、匿名を条件に次のように解説してくれた。我々は、何をもって悪質な女装男を見極めることが可能なのだろうか?

「性別違和と診断されるには、自分の体の性別と実際に自分が感じる性別との間に著しい不一致があり、それにより本人が強い苦痛を感じていたり、社会生活に支障が生じるなどの状態が6か月以上持続することが必要です」

◆女装しないと性行為に興奮しない人もいる

 トランスジェンダーではない女装おじさんは、本来であれば性的倒錯に分類される。

「一方で、女装はするが恋愛対象が女性である男性は『異性装症』と診断されます。女装することにより得られる性的興奮が非常に強く、それが空想、衝動、行動として表れます。最も典型的な形が、女装しての自慰行為です。

 女装したままでないと女性との性行為で十分に興奮できない場合もあります。『フェティシズム服装倒錯症』とも呼ばれることがあります。また、自らを女性化したり、女性として性行為をすることで性的興奮を伴う症状を『自己女性化愛好症(オートガイネフィリア)』と呼びます。これらは共に男性としての自我が前提にあり、性別違和とは基本的に異なります」

◆性自認で性の境界線がますます曖昧になる!?

 だが、稀に性別違和と性的倒錯が両方存在することがある。ここに、問題の複雑さが集約されていると言っても過言ではない。

「中には子供の頃に異性装症やオートガイネフィリアが先行して存在し、それが思春期以降に性別違和に発展していく場合もあるので、完全に切り分けるのは難しい。よって、個別に詳しく話を聞くことが重要になります」

 ここに性自認に基づくレギュレーションが加わると、女性用施設への侵入とみなされ葛藤が生じることになる。

 さらに日本では性別変更を行う際、「性同一性障害特例法」にて定められた要件の中に性別変更性別適合手術があるが、身体的負担や費用面でハードルが高く、撤廃を求める声が上がっている。

 最高裁では9月27日、この憲法判断のための弁論が開かれるが、専門家の間でも賛否両論が上がっている。手術要件が撤廃されれば、状況はますます複雑化する可能性がある。いずれにしろ、性の多様性を隠れ蓑に犯罪行為をする女装おじさんは許されるべきではないだろう。

取材・文・撮影/週刊SPA!編集部 写真/©Wirestock | Dreamstime.com

―[暴走する女装おじさん犯罪報告]―

2023/9/26 8:51

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