7歳馬の活躍が目立つ年 キングカメハメハ×ダンスインザダークは相性良好

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・6/3 鳴尾記念(GIII・阪神・芝2000m)

 外を回って直線で先頭に立ったボッケリーニが、内から差し返してきたフェーングロッテンをクビ差抑えました。これで重賞3勝目。7歳馬ですが衰えは感じられません。今年は7歳馬の活躍が目立ち、ファストフォース(高松宮記念)を筆頭にヒシイグアス(中山記念)、カラテ(新潟大賞典)、ヒンドゥタイムズ(小倉大賞典)、ハヤブサナンデクン(マーチS)が平地重賞を勝っています。同期のロジャーバローズ(日本ダービー)は今年、サートゥルナーリア(皐月賞)は来年産駒がデビューします。

 ボッケリーニはラブリーデイ(天皇賞・秋、宝塚記念など重賞6勝)の全弟。「キングカメハメハ×ダンスインザダーク」の組み合わせは、ラブリーデイとボッケリーニの兄弟のほかに、ショウリュウムーン、ユーキャンスマイル(いずれも重賞3勝)が出ています。ダンスインザダークを母の父に持つ馬の平地重賞勝利数は30勝。そのうち過半数の16勝は父がキングカメハメハ。この組み合わせは相性良好です。

◆今週の血統Tips

 ディープインパクト産駒オーギュストロダンが英ダービーを制覇しました。1780年に第1回が行われてから今年で244回目。アジアに繋養される種牡馬の仔が優勝したのは初めてです。ディープインパクト産駒はすでに英2000ギニーをサクソンウォリアーが、英オークスをスノーフォールが制しているので、イギリスのクラシックレースにおいて新顔というわけではありません。ただ、英ダービーはその伝統と格式において、いまなお競馬におけるある種の指標として機能しており、その勝ち馬を出したことは世界の競馬史のなかで大きな意義を持つ出来事といえるでしょう。

 アイルランドを拠点とするクールモアグループは、サドラーズウェルズやデインヒルを擁し、30年以上も前から寡占状態を築き上げ、その子孫が現在も大きな勢力を保っています。ただ、血の多様性という観点からは好ましい状態とはいえません。そこに現れたのがオーギュストロダン。ヘイロー系が英ダービーを制覇するのは初めてのことです。レース後、クールモア関係者がいつにもまして大きな喜びにあふれていたのは、サクソンウォリアーに続いて異系統の名種牡馬候補を手に入れた──という高揚感もあったのではないでしょうか。

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2023/6/5 22:00

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