アーティストEMILY「HONEBONEがオジサンファンの心に響く理由」麻美ゆまのあなたに会いたい!(後編)

 前回に続いて、読売ジャイアンツの丸佳浩選手に登場曲の『夜をこえて』を提供されている、フォークデュオ『HONEBONE』のヴォーカル・EMILYさんとの対談です。前回は、どんなむちゃぶりにも応えてくれるお茶目な丸選手とのエピソードをはじめ、4月26日に発売されたニューアルバム『祝祭』に関するお話を聞かせてもらいました。今回は、EMILYさんと私が出会ったキッカケを振り返ってみたいと思います!

ゆま「今でこそ、プライベートで飲みに行ったり、川で遊んだりする仲だけど、出会ったキッカケは、すごく深刻だったよね」

EMILY(以下=EM)「そうだよね。私は月経困難症で、とにかく生理痛が重くて……。ひどいときは痛みのあまり、失神するぐらいだったから、“もう、子宮を取りたい!”って思っていたの。そんなとき、知人から“病気で子宮を摘出した女性がいるから、相談してみれば?”と紹介されたのが、ゆまちゃん」

ゆま「最初の頃は電話やメールだけでやりとりしていて、会ったことなかったもんね。ただ、私はそれがキッカケで、EMILYちゃんを知って、『HONEBONE』の音楽を聴いて、大ファンになったの」

EM「私のほうは、いつも電話やメールで相談に乗ってもらっているのが、“麻美ゆま”だなんて知らなかったよ。知人からも、本名しか聞いてなかったから」

ゆま「実は、こっそりライブも観に行ってたんだよ」

EM「ライブといっても、当時は20人ぐらいしか、お客さんも入っていなかったでしょ? よくも、あんな狭い所に、天下の麻美ゆまが、お忍びで来ていたものだよ(笑)。確かに、やけに帽子を深くかぶっている女性はいたけど」

ゆま「アハハ。私は『HONEBONE』の、自分の弱いところや、ネガティブな感情を赤裸々にさらしてくる歌が、ほんとに好きで……。かっこいいって憧れていたんだよ」

EM「こっちは、だいぶたってから、あるとき、“今日もライブに、麻美ゆまちゃんが来ていたね”って言われて……それで、いつも帽子を深くかぶって観に来ている女性が“麻美ゆま”だと知ったの。さらに、電話とメールで“子宮を取るべきか”相談に乗ってくれていた女性も、実は“麻美ゆま”だったと分かって、もうビックリしたよ!」

ゆま「別にわざわざ明かさなくてもいいかなと思っていて……。相談されている内容も内容だったからね」

EM「本当に感謝してる。結局、子宮は取らないことにしたのも、ゆまちゃんのおかげ。やっぱり、実際に子宮を摘出している女性の“しっかり考えたほうがいい”という言葉は、すごく響いた」

ゆま「よかった。また、歌の話に戻っちゃうけど、『HONEBONE』といえば、やっぱりオジサンファン。ライブに来ているファンも、年配の方が多いよね」

■中年男性を虜にする心に響く歌詞の魅力

EM「50代、60代の男性が一番多いかな。ちょっと人生に疲れたような(笑)。歌のタイトルも『生きるの疲れた』とか、『赤ちょうちん』とか、『酔いどれ数え唄』とかだから、オジサンの心に響くのかもね。逆に若い子にはあんまり、響かないらしいんだよね(笑)」

ゆま「私はEMILYちゃんのような美女が、オジサンの気持ちを代弁する歌を作れることが驚き」

EM「アハハ。私の中身が、オジサンっぽいのかな。飲むなら赤ちょうちんだし、逆にしゃれた場所とか、大嫌い」

ゆま「『東横戦争』という歌なんか、その気持ちが、すごく出ているよね」

EM「そう。東横線沿いって、しゃれすぎてて苦手なんだよね。あと、何かと渋谷に行きたがる人が嫌い。やっぱり、遊ぶなら中央線でしょ! って感情をのせた歌(笑)」

ゆま「そういう気持ちをストレートに歌ってくれるところが、聴いていて気持ちいいんだよね」

EM「お客さんからは、“自分では言えないことを『HONEBONE』が代わりに歌ってくれている”と、よく言われるよ」

ゆま「それ、すごく分かる。ふだん、言いたくても言えないって思っている人もいそうな歌詞が多いもんね(笑)」

EM「そういう歌を歌っていると、オジサンたちが、どんどん応援してくれる」

ゆま「ということは私も、オジサンってことじゃないですか!」

EM「アハハ!」

ゆま「ライブのMCも面白くて、正直、芸人さんのライブに来ているのかと思うときがあるからね」

EM「綾小路きみまろさんを尊敬しているからね」

ゆま「そうだったの!? ますます年配のお客さんが増えちゃいそう」

EM「たまに若い女の子も来るんだけど、だいたい一人でやって来て、帽子を深くかぶって、静かに見てる子が多い」

ゆま「それ、私じゃないですか!」

EM「ゆまちゃんも、また、ライブやろうよ」

ゆま「うーん。でも……」

EM「いつも悩みすぎだよ~。天下の麻美ゆまだよ。何をやっても、人が集まるし、盛り上がるのは間違いないんだから。まあ、それなのに、一人で細かく悩んじゃうところが、ゆまちゃんのいいところなんだけどね!」

ゆま「なんか、ありがとう。EMILYちゃんと話すと、いつも勇気がもらえるよ」

EM「私も、たくさん感謝しています。また、中央線沿いの、赤ちょうちんで飲もうね!」(おわり)

エミリ フォークデュオ『HONEBONE』のヴォーカル。2021年公開の品川ヒロシ監督の映画『リスタート』では、初の映画出演ながら主演を務めた。

2023/6/4 7:30

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