“キング”と呼ばれたライオンをオス3頭が襲う、壮絶で威厳ある最期に衝撃(タンザニア)

タンザニア北部のセレンゲティ国立公園東部に位置するナミリ平原で、群れのリーダーに7年間君臨してきたライオン、“ボブ・ジュニア(別名Snyggve)”が今月11日、若いライバルのオスライオン3頭によって殺された。

ボブ・ジュニアの父親は、2008年~2017年にプライド(群れ)のリーダーとして君臨した“ボブ(Bob、別名C-Boy)”で、この名はドレッドヘアのような黒いたてがみを持っていたことから、ジャマイカのレゲエ歌手ボブ・マーリーにちなんでつけられたという。

そんな偉大な父を持つボブ・ジュニアは2010年生まれで、父親譲りの黒いたてがみと琥珀色の瞳から“最高に美しいキャット”と慕われ、ツアーオペレーターや観光客に人気だった。

ライバルの若いオス3頭に襲われた時は12歳で、動画では後ろ足と背中を攻められ立てなくなり、まるで運命を悟ったかのように大地に横になる様子が映し出されていた。オスは7頭で連合を形成していたそうで、威厳ある最期には「以前ボブ・ジュニアに遭遇し、今年もう一度、ナミリ平原を訪れる予定だった。カリスマを持ったライオンだった」「言葉にならない」「直視できなかった」「これがサバンナの掟」「3対1はフェアじゃない」「残酷であり、美しくもある」「安らかに」といったコメントが寄せられた。

なおボブ・ジュニアを支えていたのは兄弟ライオン“マーリー(Marley、別名Tryggve)”で、ボブ・ジュニアの死後、同じオスの群れに別の場所で襲われ死亡した。これにより、「アフリカを象徴するライオン」とまで言われた兄弟が群れを率いた時代は7年で幕を閉じた。

セレンゲティ国立公園の観光局で自然保護官をしているフレッド・シリマさん(Fred Shirima)は、2頭の死について次のように語った。

「若いライオンたちはボブ・ジュニアをキングの座から引きずり下ろそうとしていました。これはプライド(群れ)のリーダーが年を取ったり、他のオスライオンたちが大きな縄張りを支配するリーダーを快く思っていない時に起きるのです。2頭は別の場所で殺されていますが、これは組織的な攻撃と言えるでしょう。」

また英ヨーク大学の教授で熱帯生態学が専門のロブ・マーチャントさん(Rob Marchant)は「これは生命のサイクルの一部であって、健全な群れでは普通に起きること。どのライオンがボブ・ジュニアを殺したのかは分かりませんが、若くて体力がある子孫であることも十分考えられます…。ボブ・ジュニアの遺伝子はこうして、子孫によって未来へと引き継がれていくのです」と述べた。

ちなみにアフリカ東部でツアーを行う「フォーカス・イースト・アフリカ・ツアーズ(Focus East Africa Tours)」によると、セレンゲティ国立公園には約3000頭のライオンが生息し、群れの数は300ほどあるという。一つの群れのライオンの数は少なくとも22頭で、野生のオスは長くて12年、メスは19年ほど生きるそうだ。

画像は『Asilia Africa 2023年3月14日付Instagram「Many have travelled long distances to catch a glimpse of the legendary lion with a distinctive and luxuriant black mane - King of the Serengeti (Snyggve) Bob Jr.」』『AGPfoto 2023年3月13日付Facebook「Heartbreaking news that Tryggve,」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 A.C.)

2023/3/17 5:00

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