婚約者を亡くした女性、彼の遺体から精子を採取し体外受精へ(米)

米フロリダ州オーランドで暮らすケイシー・ファイトさん(Casey Fite、26)は2月22日、婚約者であるディラン・ライオンズさん(Dylan Lyons、24)を亡くした。

地元のニュース番組『Spectrum News 13』の記者だったディランさんはその日、同州オレンジ郡で発生した連続銃乱射事件の取材中に銃撃に遭い命を落としてしまったのだ。

ディランさんは生前、ケイシーさんとの間に子供を授かることを強く望んでいた。そのこともあってケイシーさんは、彼の遺体から精子採取を行ったのち体外受精による出産を決意したという。ケイシーさんはこのように明かしている。

「ディランとはゲインズビルのテレビ局に勤務していた2020年に出会って交際し、昨年11月に婚約しました。彼は私が今まで見た中で最もハンサムな男性で、出会った瞬間から特別な存在でした。それにこれ以上ないほど素晴らしい人生のパートナーだったのです。私たちは子供を持つことを強く望んでいて、少なくとも2人は授かりたいと話していました。子供たちにはディランの祖父母のイニシャルであるAとEを使って『アレクサ(Alexa)』と『エリオット(Elliott)』と名付けることまで決めていたのです。」

「ディランが亡くなった夜、彼の母親のベスさん(Beth)から精子を採取できると聞き、すぐに泌尿器科医に連絡を取りました。その結果、8本分の精液を採取することができたのです。今の私にとってそれだけが支えなのでとても感謝しています。今後は体外受精を行って、私たちが切に望んでいた赤ちゃんを彼と一緒に授かるつもりです。」

また精子採取を提案したベスさんは、「ディランはずっと父親になることを夢見て、自分にとってのソウルメイトはケイシーだと信じていたんです。2人の愛は切っても切れないものでした。ケイシーが息子の遺志を受け継ぐことはとても素晴らしいことです。2人はお互いに心の底から愛し合っていたのですから」と語った。

不妊治療学会誌「Journal of Fertility and Sterility」によると、精子採取は死後24時間から36時間以内に行わなければ妊娠の成功率が下がるというデータがあるそうだ。ちなみにこの処置が初めて行われたのは1980年のことだが、倫理的および法的な問題が考慮されるため現在も一般的ではないという。

採取した精子は不妊治療クリニックで凍結保存されるそうで、ケイシーさんは現在、体外受精に必要な費用を募るためクラウドファンディングサイト「GoFundMe」に専用ページを設置している。そしてディランさんを失った悲しみを乗り越えるため専門家によるサポートを受けながら、精神的にも身体的にも妊娠の準備が整うまで待つつもりだとしてこのように述べた。

「子供を授かったら私ひとりで育てていくつもりです。チャンスは何度もあると思いますが、今すぐ体外受精を行うとなるとストレスが大きすぎてうまくいかないと思うんです。そんな結果は誰も望んでいません。それに子供を授かるためにこの先ずっとディランと協力し続けることもできないので、しっかりと考えながら進めなくてはなりません。生まれてきた子がディランに似ていたら、これ以上ないほど嬉しいでしょう。私は以前から子供は彼に似てほしいと話していましたから。でも彼はきっと『いや、とても美しい君に似てほしい』と言うでしょうけどね。」

画像は『Good Morning America 2023年3月7日付「Fiancée of slain reporter speaks out on decision to have his child via IVF」(Courtesy of Casey Fite)(Jonathan Galed/AP)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 上川華子)

2023/3/14 21:00

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます