俳優の斎藤工が8日、都内で行われた映画『零落』完成披露プレミア上映会舞台あいさつに共演の趣里、玉城ティナ、竹中直人監督、原作者の浅野いにおと共に出席。竹中監督が斎藤をキャスティングした経緯を語った。

　『ソラニン』などで知られる浅野いにおの同名漫画を映画化した本作。自堕落で燃え殻のような毎日を送る元売れっ子漫画家・深澤（斎藤）とミステリアスな風俗嬢・ちふゆ（趣里）との出会いを軸に、漂流する“表現者”の魂の喪失と覚醒を描く。

　斎藤は本作について「何かの役をいただいてそれを演じる、という通常の方程式とは違うベクトルでこの作品に向き合えたと思っております」と告白。主人公・深澤を演じてみての感想を斎藤は「痛いほどわかるというか、自分のことなんじゃないかな？というくらい。立場は違えど零落という感覚みたいなものは大いに共感しかない」と明かし「進行形の自分の出来事と思えるくらい共鳴しました」と口にした。

　竹中監督は、以前斎藤と山田孝之と共同監督を務めた映画『ゾッキ』の宣伝活動のときのことを振り返り「孝之が仕事で来れなくて、工と2人で宣伝をした帰りにごはんを食べに行って。『次は零落を撮りたいと思ってるんだよ』って言ったら工が『（零落を）大好きです！』って。『じゃあ深澤やる？』って言った」と回顧。続けて「その瞬間を何度も思い出すんですが、深澤は斎藤工しか考えられなかったです」とキャスティングのきっかけを語った。

　斎藤は竹中監督の話を受けて「もしそのとき山田孝之さんが竹中さんと食事をしていて、『零落』の話をして『大好きです』って言ったらここには山田孝之さんがいたかも」と話し、会場の笑いを誘っていた。

　映画『零落』は、3月17日より全国公開。