「日本の教育の問題点」とは? ライフイズテック・水野雄介代表取締役CEO「インプットの教育しかしてこなかった」

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。2月4日(土)の放送は、ライフイズテック株式会社 代表取締役CEOの水野雄介(みずの・ゆうすけ)さんをゲストに迎え、お届けしました。

(左から)水野雄介さん、笹川友里

1982年生まれ、北海道出身の水野さんは、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒、同大学院修了後、人材系コンサルティング会社に入社。その後退社し、2010年7月、ピスチャー株式会社(現:ライフイズテック株式会社)を設立。シリコンバレーIT教育法をモチーフとした、中高生向けIT教育プログラム「Life is Tech!」を立ち上げました。

◆ライフイズテックの事業内容

同社は中高生向けのIT・プログラミング教育を中心に、「例えば、春休みや夏休みなどにプログラミングキャンプに参加して、iPhoneのアプリやゲーム、デジタルミュージックなどを作ったり、毎週学びたいという子どもたちには『プログラミングスクール』という形でも実施しています」と水野さん。

さらに、2020年度より小学校、2021年度から中学校でプログラミング教育が必修化となり、2022年度からは高校においても「情報Ⅰ」が必履修科目となったことを受けて、「学校の先生が最先端のものを教えられるようにSaaS(Software as a Serviceの略)のプロダクトを全国の学校に提供しています」とも。

ただし、「高校で『情報』を(専門で)教えられる先生は、自治体によっては3~5校に1人しかおらず、いまだに数学や物理の先生が教えているところもあります」といった現状も。そうした背景もあって、同社が手がける中学・高校向けプログラミング学習用EdTech教材「Life is Tech! Lesson(ライフイズテック レッスン)」は、「ここ2年で、日本に約1万5,000校あるうちの約20%・2,650校に採用され、50万人以上が使ってくれています」と胸を張ります。

◆“教育を変えたい”思いで一念発起

子どもたちに楽しく学んでもらえるようなプロダクトを作るために、水野さんが最初にイメージしたのは“東京ディズニーランド”だったと言います。「ディズニーランドって、駅を降りた瞬間から音楽が流れていて“夢の国”に入っていくような感覚があるじゃないですか。(私たちのプロダクトでも)子どもたちがそういう非日常の空間に行くような、“学び心地”の良い状態をつくることを意識して、いろいろな方法を試していきました」と振り返り、起業理由についても「ビジネスになる・ならないで起業したわけではなく、“教育を変えたい”“もっと子どもたちの可能性が伸びる社会を作りたい”という思いでスタートさせました」と語ります。

また、たびたび取り沙汰される都市部と地方との“教育格差”についても言及。同社の専門領域であるEdTech(教育・Education×テクノロジー・Technologyを組み合わせた造語)を活用することで、「(どこにいても)格差なく教育が受けられる状況がつくれます」と強調。例えば、Web会議ツール「Zoom」などを使うことによって、都市部でも地方にいても同じコンテンツを見ながら学ぶことができます。

とはいえ、なかにはITに詳しくないなどの理由でEdTech導入に積極的でないところもあるとしたうえで「そういう意味では、今は地域によってばらつきがあるかもしれませんが、おそらく5年後ぐらいにはほぼ(全国の学校に)導入されている状態になるのでは」と予見します。

◆“日本の教育”を変えるには?

笹川は、水野さんが登壇した講演におけるとあるデータを目にして、驚いたことがあったそう。それは、日本財団が調査したアンケートで、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本に住む17~19歳の各国1,000人を対象に「自分で国や社会を変えられると思うか?」との質問に対して、「変えられると思う」と回答した人が最も多かったのはインドの83.4%だったのに対し、日本は最下位の18.3%だったこと。

この差について、笹川が「すごく悲しいし、衝撃的なデータだった」と嘆くと、水野さんはうなずきつつも、「もちろん、会社としての利益も大事ですが、僕たちはインパクトスタートアップ(※)として、インパクトをしっかり追っていこうという思いでやっていて、一番大事にしている数字がそこなんです。

※インパクトスタートアップ…「社会課題の解決」と「企業としての持続可能な成長」の両立を目指すスタートアップ

実際に僕たちが運営するキャンプやワークショップを体験した子たちに同じことを聞くと、(「変えられると思う」と回答した人が)80%ぐらいにのぼります。つまり、『自分が国や社会を変えられる』と思えないのは、“社会を変える経験をしたことがないから分からない”だけではないかと思います」と推測。

そして、現状の日本の教育についても、「『This is a pen.』と書くようなインプットの教育しかしてこなかったから、“自分が社会の何に役立っているのか”“どういう貢献ができるのか”などが分からないまま、ずっと勉強してきている」と指摘しつつも、「プログラミングキャンプなどを通じて自分で制作物を作って社会に出す体験をし、“社会を変える手段”としてプログラミングを学ぶと、『自分が国や社会を変えられる』という自信に変わるものなんです。だから、そこはすごく大事にしたい指標ですし、(私たちが)日本の教育を変えていきたいです」と力を込めていました。

次回2月11日(土・祝)の放送は、株式会社荏原製作所(えばらせいさくしょ)執行役 情報通信統括部長兼CIOの小和瀬浩之さん(こわせ・ひろゆき)さんをゲストに迎えてお届けします。多岐に渡る事業内容やDXの取り組みなど、貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2023年2月12日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:DIGITAL VORN Future Pix

放送日時:毎週土曜 20:00~20:30

パーソナリティ:笹川友里

番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

2023/2/8 21:30

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