37歳で実家に寄生。「子供部屋おばさん」になった高学歴女性がハマった罠とは

「子ども部屋おじさん」という言葉を知っている人は多いでしょう。某巨大掲示板から生まれ、ネットを通じて瞬く間に広がった造語です。

「子ども部屋おばさん」とはその女性版。自立をせず、実家暮らしを続ける妙齢の女性を指します。時に“こどおば”と略され、家事も何もかも親任せ。中には生活費を1円も入れずに過ごす人もいるのだとか。

都内でOLをするカナエさん(仮名・37歳)も、子ども部屋おばさんと呼ばれているうちの一人です。彼女は途中で自分自身に危機を覚え、婚活を始めましたが……。想像以上の苦戦を強いられたと言います。

◆高学歴でお嬢様、不自由のない学生時代

カナエさんは裕福な家庭に生まれたお嬢様。一人っ子だったことから欲しいものは何でも買ってもらえ、不自由のない幼少期を過ごしました。

勉強面ではとても厳しく躾けられたそうですが、彼女は頭が良く、何事もソツなくこなせたため両親にとって自慢の娘だったとのことです。

学生時代は私立に通い、学級委員や生徒会の活動をこなす超・模範的な生徒。誰もがこの話を聞けば、とんでもないエリートだ!と感心するでしょう。

楽しい10代を過ごし「このまま大学を卒業して就職、結婚の王道コースを歩むと思っていた」とカナエさんは語るのですが……。

◆推し活デビューが“こどおば”の原因に?

順風満帆な生活を送っていたカナエさんは、大学入学とともにアイドルオタクに目覚めます。

勉強と学校生活以外の世界を知らなかったために、とても強い刺激を受けたそう。片っ端から気になるグループのファンクラブへ加入し、コンサートのために遠方まで足を運ぶこともありました。

物凄い勢いで推し活に熱を入れた彼女は、授業をズル休みすることも増えてしまったとか。

推し活を続けるにはそこそこお金が掛かるもの。カナエさんはアルバイト経験がほぼないので、娯楽費は全て親御さんからもらっていたのです!

時に高額なチケットをオークションで落とす日もありましたが、そのお金さえ自分で出さず、ご両親に頼り切り……。

むしろお母様は「カナエちゃんに楽しそうな趣味ができて嬉しい」と言っており、追っかけに関しては肯定的だったご様子。

しかし、すっかり推し活が生活のメインになっていた彼女は、徐々に勉強が疎かになります。最初の頃はご両親から指摘が入りましたが、娘に甘い2人は次第に何も言わなくなったのです。

◆就職先は親のコネ……子ども部屋おばさんの日々

エリート学生からアイドルオタクに転生した出来事が、就活に支障をきたしてしまいます。

就活に身が入らないカナエさんの頭の中は常にコンサートや“推しメン”のことばかり。当時は働く自分が全く想像できなかったと言います。

いざ面接を受けてもアルバイト経験がほぼゼロ、追っかけの趣味以外を持たない彼女はなかなか仕事が決まりません。不採用通知のお祈りメールの連続、その度に就職を投げ出したい気持ちが強まります。

結局ご両親の知人に口利きしてもらい、中小企業の事務員として就職。無事に勤め先は決まったものの、手取りが15万円程度。一人暮らしをするにも、追っかけをし続けるのも少し難しい金額でしょう。

カナエさんはようやく現実の厳しさを知るのですが、それでもまだ焦りを感じなかったそうです。

「何かあれば親が出してくれる」。この考えが当たり前となっていたので、たとえお給料が低くとも気になりません。

実家を出ることもなく、家に生活費を入れることもなく……。カナエさんは推し活を続け、遂に子ども部屋おばさんと呼ばれる年齢まで自立しない日々を過ごすこととなるのです。

◆推し活にも飽き、次は婚活。だが現実は甘くない

アイドルオタクだけでは満足できず、時折ホストクラブに行く機会も作っていました。

30歳を超えると次々と友人がゴールインしていき、遊ぶ相手が減って退屈さを覚えていたからです。

もちろんお金は相変わらず、ご両親に頼り続けています。特にお母様とは共依存状態になっており「ずっと家にいてね」と言われていたほど!

けれども、カナエさんは35歳を過ぎて、はじめて自分に対しての危機感を覚えます。きっかけは、推し活仲間兼親友の女性が電撃結婚を果たしたから。

一緒に遊べる相手がほとんどいなくなり、徐々に追っかけにも飽きが来ていたので現実を見る気がやっと湧いたとのことです。

しかし、彼女は35年間彼氏ができたことがありません。一瞬友達以上恋人未満のような存在がいたものの、その恋は叶わずに終わりました。

「恋活」の前にいきなり「婚活」を始めたカナエさん。婚活アプリに登録し、街コンにも足を運んでみるのですが……。そこには厳しい現実が待ち受けているのです。(後編に続きます)

<文/たかなし亜妖>

【たかなし亜妖】

元セクシー女優のフリーライター。業界卒業後は一般企業へ入社。ゲーム制作に携わった過去を持つ。好きな物は漫画、アニメ、映画、美容、占い。そろそろ顔面課金額が数百万円を超えるとか。日刊SPA!等多方面で活躍中。

Twitter:@takanashiaaya

2023/1/29 15:47

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