「確定申告しない」ギャラ飲み女子が戦々恐々。税理士への相談件数は「去年の10倍に」

 いま、「ギャラ飲み」や「パパ活」をしている女性にとって、背筋が凍るようなニュースがSNS上で話題だ。

 それは東京国税局が、マッチングアプリを利用して知り合った相手と飲食を共にして金銭を得るギャラ飲みで約4000万円を稼いでいたにもかかわらず、“所得税”の申告をしていなかった女性に対して加算税を含めた約1100万円を追徴課税した、というもの。

 近年は気軽な“おこづかい”稼ぎの感覚で行っている女性が多く見受けられるが、それは立派な“所得”であると東京国税局が動いたのだ。

 そんななかで、今回は実際に「確定申告しない」というギャラ飲み女子たちの実情を紹介しながら、港区の税理士法人Bridge・代表税理士の黒田悠介氏に見解をうかがった。黒田氏によれば、彼女たちからの相談件数は去年に比べて10倍にも増えているというが……。

◆「絶対にバレない」と高を括っている

 東京都内在住の紗希さん(24歳・仮名)は、美容部員として正社員で働きながら、夜に時間が空いたときはギャラ飲みに参加している。今回の件で驚きはしたが「不安はない」という。

「私はすべて知人の紹介、同じ相手とのリピートです。ギャラは飲み会が終わったら現金でもらって、口座には入れずタンス預金します。月に5万円〜10万円程度かな。年間で“贈与税”にも引っかからないぐらいしか稼いでいないので」

 贈与は、年間110万円以下ならば非課税で申告の必要はない。ギャラ飲みが所得に当たるとしても現金のタンス預金ならば「絶対にバレない」と考えているのだ。

 今後もギャラ飲みをやめるつもりはなく、勤務先からも足がつかないように徹底している。

「アプリは絶対に使いませんね。アプリのギャラ飲みだと“振り込み”なので会社の経理にバレる可能性がある。副業をしている同僚がすぐ会社にバレていたので。私はその日に現金払いのギャラ飲みしかやるつもりはありません。まわりのギャラ飲み友達で会社に勤めている子はだいたいそうですね」

◆戦々恐々のギャラ飲み・パパ活女子も…

 その一方、「不安で不安で仕方がない」と打ち明けるのは結衣さん(32歳・仮名)。彼女は週2〜3回は派遣社員として働いているが、メインの収入はギャラ飲みで知り合った老人からの毎月の振り込みだと話す。

「2年ほど前にギャラ飲みで知り合ったおじいちゃんが、すごい私を気に入ってくれていて。以前、お茶をする約束が面倒くさくなって『風邪引いちゃった』って嘘をついたら、10万円を振り込んでくれたんです。これもパパ活になるのかな……」

 味をしめてしまった結衣さんは以後、病弱なキャラクターを演じている。今ではほぼ会っていないというが、毎月30万円が振り込まれているそうだ。

「難病がある、肌や胃腸が弱いから病院に通う、ストレスで太ったからエステに行かなきゃならない……ありとあらゆる嘘をつき続けています。相手は会わなくても毎日のLINEや電話が癒やしとかで、だんだん『会いたい』とも言われなくなりました(笑)」

 派遣の給料は月15万円だが、家賃10万円は同棲中の彼氏と折半。老人から振り込まれるお金を結婚資金として貯金している。

「たまにブランドものを買うくらいで、あとは基本貯金。いま600万円をこえました。彼氏も『会わないでカネもらえるなんて最高じゃん!』って肯定的でした。でも……」

◆「ヤバいかもしれない」「捕まらないといいね」

 そんな彼氏も今回のニュースを見て「お前大丈夫だよね?」と青ざめていたという。

「法律とか税金とかまったく詳しくないのでわからないのですが、なんにせよ、他人に嘘をついて長期にわたりお金を振り込ませているって、決して良いことではない……というか、犯罪ですよね? 年間110万円(贈与の非課税枠)も余裕でこえている。どういうルートで税務署にバレるのかわからないけど、振り込みにしたのでヤバいかもしれない……」

 友人数名からは「捕まらないといいね」などという皮肉めいたLINEが届いた。

「私はこんなに良くしてくれるおじいちゃんを捕まえたのが嬉しくて、けっこう自慢してたんですよね。カラダを使わなくてもお金くれるよって。それを『いいなぁ』なんて言っていた友人から、心配したフリをして明らかに面白がった連絡がきています」

 今後、結衣さんは老人との関係を清算し、派遣の仕事を増やしていきたいと考えているようだが、それもなかなか難しい。

「彼からすれば、私は彼女的な存在らしくて『別れたくない! 別れるならお金を返して!』と言ってくる。振り込むときは“くれた”のに、いざとなると“返して”に変わるんです。最悪ですよ。彼に訴えられたり、友人に通報されたりしないかずっと怯えています」

 弁護士や税理士の無料相談に行くことも検討したが「やっぱり怖くてムリ」と苦笑い。

 振り込まれたお金は「結婚資金」として手をつけずにいたが「どうしても返さなければいけなくなった場合は仕方ないですね」と肩を落とした。

◆今年はギャラ飲み女子たちからの相談件数が10倍に!

 今回はギャラ飲みやパパ活で得たお金の税務上の見解について、税理士法人Bridgeの黒田悠介氏に話を聞いた(以降は、取材・文/藤井厚年)。

​​ 実際にギャラ飲みやパパ活女子と呼ばれるような人たちからの相談はあるのだろうか。

「去年は年に数件程度でしたが、今年にギャラ飲みの税務調査が大きく報道されてからは10倍程度増えている印象です。

 弊社はいわゆる“マッチング”を生業としている法人顧客がいますが、そこに登録をして稼いでいる女性たちには、『確定申告が必要だよ!』と注意喚起をするように当該法人にもお願いしています」(黒田氏、以下同)

◆所得なのか、贈与なのか…

 黒田氏によれば、ギャラ飲みやパパ活で稼いだお金も原則的に確定申告=納税が必要なのだとか。

「ビジネスとして稼いだお金なのか、プレゼントとしてもらったお金なのかで課税関係は変わります。ビジネスとして稼いだお金は“所得税”の確定申告が必要ですし、プレゼントとしてもらったお金・物品の年合計額が110万円を超える場合には“贈与税”の確定申告が必要です。

 贈与(税)はざっくりといえばプレゼントされたお金や物品にかかります。一方で所得(税)はビジネスの対価なので、たとえばキャバクラのように接客による対価として受け取った場合は、所得となります。

 ギャラ飲みで運営会社から振り込まれるお金は所得、男性からのいわゆる“お手当”はケースにもよりますが贈与にあたります」

◆税務調査が活発化「今後は芋づる式にバレるケースが増加する」

 エピソードに登場した女性のように「振り込みじゃなければバレない」と考えている人も少なくない。だが、「それは甘い」と言わざるをえない。

「振込みじゃなければ“わかりづらい”だけで、バレないというわけでは決してありません。あなたには現金で渡しているかもしれませんが、その男性は自身の口座からお金をおろしているわけで、取引履歴は残っています。

 もらった現金を自身の口座に入金していれば、そこからも足はついています。またコロナ下において約2年間激減していた税務調査が、今年の半ばから通常稼働に戻ってきています。ギャラ飲み・パパ活アプリなどを多用する羽振りのいい男性やその運営会社に税務調査が入り、そこから芋づる式に稼いでる女子へ税務調査のメスが! というケースが今後も増加すると思われます」

◆「私は大丈夫!」という安易なノリで済まさない

 結衣さん(仮名)は、老人に嘘をつきながら長期にわたってお金を振り込ませ続け、それを結婚資金として貯めていた。その行動に対して彼氏も肯定的だったが……。

「バレなければ……と怯えながらも老人をだましつつお金を貯めているあなた。そして、そんな彼女を横目に『会わないでカネもらえるなんて最高じゃん!』とそれを止めようともしない彼氏。本当のいい彼氏なら彼女にそんなことさせますかね? 彼氏と二人でまっとうな方法で貯めないと幸せな結婚生活が続くとは思えません(苦笑)」

 最近では、ギャラ飲みやパパ活をネタにしたTwitterアカウントも多数見られるが、黒田氏がチクリと釘を刺す。

「国税局がギャラ飲みの税務調査事案を公表しているのは、“これからは取り締まりをより強化していく”というアナウンスです。また、悪質な脱税と見られれば、刑事罰の対象にもなります。『私は大丈夫!』と安易なノリで済まさず、所得税・贈与税の申告納税をきちんと行いましょう。あなたの派手なSNSを税務署はチェックしているかもしれません」

黒田悠介

税理士法人Bridge代表、税理士・政治資金監査人。

大手税理士法人で相続対策・事業承継業務に従事。 その後、金融機関・IPO企業・富裕層コンサルティング会社を経て、税理士法人Bridge東京・静岡事務所を創設。現在まで代表を務める。「幸せの架け橋を」というビジョンを掲げ、IPOコンサル・相続・事業承継対策など多角的な税務サービスを行っている。Instagram:@yusuke.tax.bridge

<取材・文/吉沢さりぃ(前半エピソード部分)、日刊SPA!取材班>

―[日常に潜む「うっかり法律違反」]―

【吉沢さりぃ】

ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。『bizSPA!フレッシュ』『BLOGOS』などでも執筆。Twitter:@sally_y0720

2022/12/10 8:54

この記事のみんなのコメント

15
  • トリトン

    12/11 14:37

    ↓パチンコ屋とソフトバンク(ダミーで赤字にして税金払わず)今孫は莫大な借金あるからますます税金払わないし、潰れたら日本の税金で払わせる気満々ですが税金を払う義務はやる気なしだねちなみにひろゆきなんかかなり莫大な税金払いたくなく海外逃げてるそんな奴らは税務署も手が出せずひろゆきなんか未だに偉そうに言ってるよね、日本は大企業やひろゆきみたいな悪党は税金払わなくても良いからねまあ在日企業もそうかな?。

  • TOMO

    12/11 14:07

    国民の三大義務。この記事にあるギャラ飲み♀は日本国民なのかどうかは知らんが、もし日本国籍の♀ならば、国民の三大義務をちゃんと果たせや!っていう話。いかなる状況であれ、所得を得たならちゃんと申告し、税金払えよ!手続きなんて、色々な方法あるやろうし。払わないのなら、日本で収入得るなよ!

  • グレイス

    12/11 13:50

    ↓わざわざ御回答ありがとうございます。

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