「15%が就労不能」新型コロナ後遺症の衝撃 予防する方法は?

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感染症法上の2類から5類への分類見直しも始まった新型コロナウイルス感染症。

「すでに第8波の渦中とされますが、感染者数が増えれば増えるほど、間違いなく『コロナ後遺症』に苦しむ患者さんも増えていきます。現在のところコロナ後遺症は治療方法がないも同然。このまま推移すればコロナよりも後遺症のほうが社会問題になる恐れもある」と警鐘を鳴らすのは免疫学者の新見正則医師。

前編記事『「今はコロナよりコロナ後遺症を全力で避けてほしい」免疫学者が憂慮する第8波が「過ぎたあとの惨状」( https://otonasalone.jp/315660/ )』に続く後編です。

 

苦しむ後遺症の典型は「重力に逆らえない」「パフォーマンスが戻らない」

もうひとり、印象的な典型症例に苦しんだのはタクヤさん(38歳)。夫婦とも上場企業に勤務する2人暮らしのパワーカップルで、お互い仕事を順調にこなしていた矢先にコロナに感染しました。

 

「昨年12月、オミクロンに置き換わる前のコロナに2人が続けて感染したそうです。奥さんはそれほど悪化しなかったのですが、タクヤさんはちょっと太目なこともあり、呼吸器に強めの症状が出ました。そのまま、タクヤさんだけが治らず半年以上も苦しんでいました」

 

タクヤさんもまた、さまざまな病院を渡り歩きました。最後に感染症の最高峰と言われる病院で検査を受けて異常なしと診断され、苦しい状態の中で本当にできることがなくなり、万策尽きた状況の中で担当医師の善意で新見医師に紹介を受けたそうです。

 

タクヤさんは「クラッシュ」と呼ばれる状態に陥りやすいのが特徴でした。

 

「イズミさんと同様、2つの典型症状が出ています。まず『パフォーマンスが戻らない』。体を使うことも頭を使うことも、ゆっくりならできるが、たくさんやると簡単に疲れ、破綻して倒れてしまいます。これが『クラッシュ』で、タクヤさんは病院に通うたびに2週間以上寝込んでいました。『重力に逆らえない』ほうは人によってさまざまで、座れるけど箸を持てない、トイレに座れるけれど高いところのタオルには手が上がらず届かないなど千差万別ですが、タクヤさんはそもそも完全に重力に負けて半年ベッドに寝た切りでした」

 

頭も働かず、常に熱っぽく、寝たきりなので筋力も低下。なぜか音に過敏になってしまい、辛さに拍車がかかります。

 

「タワマン住まいですが、上下階の生活音が異常に気になるそうです。音が拷問のように脳に響くので睡眠も不安定になり、なるべく静かな夜起きていようとして昼夜逆転に陥っていました。ニオイや味にも敏感になり、甘いものしか食べられないため、もともと太目なのにさらに太りました。髪もバサバサ、不健康にむくみ、息も絶え絶えで身体をひきずるような状態での来院でした」

 

すでに検査は済んでいたため怖い病気が隠れていないことはわかっていましたが、かといって治療方法もないのがコロナ後遺症です。保険適用の治療は鼻の奥を洗浄するBスポット療法と漢方。タクヤさんはいちどは他院で漢方を治療を始めましたが、効果が見られず止めていました。

 

「イズミさんと同様、辛さをじっくりと聞き取ったあと、大変だったでしょう、あなたはコロナ後遺症で間違いないと思いますという診断を伝え、『治るから大丈夫だよ』という助言からスタートしました」

 

自費での漢方と併せ、新見医師が普及を行う抗がんエビデンスを持つ生薬フアイアも追加して治療を開始。結果、8月の初診から3か月程度で短時間の外出も可能なところまで回復したそうです。

 

「調子に乗ってちょっと遠出をしたらまたクラッシュしちゃいましたと笑っていましたが、不調が残るにせよ、ある程度自分の健康のコントロールを自分の手に取り戻すことができたことが大きい。ここからは快癒していくと思います」

 

治療法が確立されていない中、医師たちは手探りで対策を探している

これら2つのエピソードからは、前述の広島県の調査による「15%」に該当する後遺症が「具合が悪い」というレベルではなく、「まとまった休職期間を要する重症」だとうかがい知ることができます。

 

「たまたまぼくは自費診療を行っているため、こうした患者さんたちの辛さに寄り添い、共感して訴えを聞き取る、時間をかけた診察ができます。ですが、通常の保険診療ではそんなことはできません。日本の保険診療は短時間で命に関わる異常を見つけ出すことに特化されているため、5分10分以上は話を聞けないんです。コロナ後遺症は最初に辛さに寄り添うことから治療をスタートする、明らかに保険診療には向かないタイプの病気。従って、第8波が過ぎたあとは治療にたどり着けない患者さんたちが行き場をなくす可能性があります」

 

このような後遺症に陥らないためにはどうすればいいのでしょうか?

 

「コロナ後遺症が発生する要因もまだ未解明のため、具体的に何をすればいいのかは残念ながらまったくわかっていません。ですが、免疫学者と同時に漢方医でもあるぼくの元では漢方が一定以上の奏功を見せているため、全国の医師に漢方の使い方を伝える啓もうも行っています。コロナに感染し発症しても軽く素早く治すことができれば、後遺症の発生リスクは下がる可能性があります。ですからこの冬は免疫力を高く保ち、抵抗し修復するレジリエンスの力を高めることが大事です」

 

では、免疫力を高めるために具体的に何を心がければいいのでしょう?

 

「ごく当たり前の、健康的な生活を送ることです。免疫力を高める食品みたいなものは、ダメとは言いませんがそれほどあてにせず、カードの1枚として活用します。早寝早起きを心がけ、深酒をせず、運動をなるべく多く行い、日光によくあたってビタミンDを体内に合成します。肉、魚をよく食べて良質のたんぱく質を摂り、炭水化物は控えめに。ストレスを解消し、無理をしない、疲れを残さないことです。良質の睡眠、毎日の入浴も大切。こんなふうに、特別なことをしようとせず、よりよい習慣をコツコツ増やしていってください」

 

仕事の上ではどうでしょうか?外出や旅行も控えたほうがいいでしょうか?

 

「いいえ、もう経済優先のウィズコロナ体制でいいと思います。誰も参加したくない忘年会を開催する必要はないですが、もうやりたいのに我慢をすることもない。そのうえでぼくの勝手な提言ですが、全国の上司の皆さんは『この冬はコロナ後遺症予防のため残業を減らします』くらいの思い切ったことで部下の健康を守ってください。データ通りならば後遺症は15%の確率で就労不能レベルに至る可能性が否定できないため、部下が10人発症したら1人は休職するかもしれません。ぼくが第8波のあとのことを心配しているのは、診断がつかず病院をさまよう患者さんたちの大量発生が予想できるからです。これが、みんなで乗り越えていく最後のコロナの山場ではないかと思っています」

 

▶【前編】「今はコロナよりコロナ後遺症を全力で避けてほしい」免疫学者が憂慮する第8波が「過ぎたあとの惨状」( https://otonasalone.jp/315660/ )

お話/

院長 新見正則先生

1985年慶應義塾大学医学部卒業。93~98年英国オックスフォード大学大学院留学。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する生薬、フアイアの普及も行う。最新刊の『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』(新興医学出版社・刊)がアマゾンでベストセラー。

Amazon( https://www.amazon.co.jp/dp/4880028940 )

 

 

編集部より*「免疫力」という表現は人体の免疫機構は数値で測定できないため誤用とされてきましたが、京都大学名誉教授・本庶佑先生がノーベル賞受賞後にご自身でも使うようになりました。「人体の免疫機構を総合的に向上させる状態」を示すのにわかりやすい言葉であるため、本稿でもこの表現を使用しています。

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  • 12/4 12:01
  • OTONA SALONE

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この記事のみんなのコメント

1
  • いち(

    12/5 12:44

    要は程度の大小はあるけどその内治る。いうことやね。

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