『ヒロアカ』主題歌の秋山黄色、傷害の疑いで逮捕。音楽にも透けて見える“薄さ”

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◆『ヒロアカ』歌手が傷害罪の容疑で逮捕

 11月23日の深夜、シンガーソングライターの秋山黄色こと新井悠也容疑者が交際する女性への傷害罪の容疑で逮捕されました。

『文春オンライン』(11月26日)によると、事件当日の夜、新井容疑者が女性の髪を引っ張りマンションの廊下を引きずり回していたとのこと。それ以前にも深夜に大声で喧嘩していたとか、テキーラを一気飲みするなど新井容疑者自身の酒癖の悪さを心配する声もあったそう。もともと嫉妬深かったという新井容疑者の乱暴がエスカレートしてしまったのでしょうか。

 思いがけない形で名前が広まってしまった秋山黄色。もしかしたら“名前を初めて聞いたよ”という人もいるかもしれません。

 改めてどんなミュージシャンで、どんな曲を書くのかおさらいしておきましょう。

◆「まさにこれから」なときに…

 高校時代から作曲活動を開始した秋山は、YouTubeなどに自作曲をアップすることからキャリアをスタートさせました。その後ライブ活動を展開し、2018年にはサマーソニックへの出場をかけたオーディションに勝ち残り、ステージでパフォーマンスを披露。

 そして2020年3月にアルバム『From DROPOUT』でメジャーデビューを果たすと、その後「モノローグ」、「サーチライト」、「ナイトダンサー」などがドラマ、CMのタイアップソングとなり、順調にステップアップしてきました。

 最新曲「SKETCH」も人気アニメ『僕のヒーローアカデミア』のエンディングテーマに起用され、まさにこれからといったときに事件が起きてしまったのです。

◆豊かな感受性ゆえ?素直すぎるオマージュ

 では、ミュージシャン、ソングライターとしての秋山をどう評価するか。これは難しいところです。おそらく感受性が豊かなのでしょう。リスペクトしていたり、影響を受けたりした音楽が、とても素直に楽曲にあらわれているのですね。

 たとえば「モノローグ」を聞けば、多くの人が米津玄師を思い出すでしょう。メロディと言葉の組み合わせ方や好んで使うコード、そして楽曲全体の起伏が「まちがいさがし」(菅田将暉)そっくりなのです。

 本人が米津からの強い影響を認めていたとしても、ふつうもう少しヒネるだろと言いたくなるほどの素直なオマージュ。よく言えば裏表のない性格の持ち主なのではないでしょうか。

◆一言でいえば“器用なワナビー”

 ところが、米津LOVEから一転。最新曲「SKETCH」では見事なまでにKing Gnuを模倣しています。ピアノをフィーチャーしたアレンジに、憂いを帯びたメロディと転調が絡む。そして要所要所で裏声のボーカルが切なさを強調する。これは「白日」だろう、と。

 もちろん流行りの音楽を取り入れること自体は何も悪くありません。けれども秋山黄色がめずらしいのは、そうして取り入れた表現をものすごくドラマティックに、あたかも自分の内側から湧いてきたかのように見せてしまうところなのですね。誤解を恐れずに言えば、とても器用なワナビー(何かに憧れ、なりたがっている人)なのです。

 だから彼をソングライターとしてどう評価したらいいか困ってしまう。曲の中に恐ろしいほど“自分”がないのですから。

◆作品と人格は切り離して考えるべきか?

 アーティストが不祥事を起こすと、作品と人格は切り離して考えるべきかという問題が浮上します。最近の例でいえば、カニエ・ウェストですね。反ユダヤ主義や人種差別的発言を繰り返した挙げ句、コラボしていたファッションブランドとは契約を打ち切られ、多くの同業者からもそっぽを向かれてしまいました。

 そんな中、“芸術家としてのカニエ”の価値は認め続けると公言したのが、オーストラリアのシンガーソングライター、ニック・ケイヴでした。当然カニエの発言には同意しかねると前置きをしたうえで、「自分の人格の最悪な面に永遠にとらわれたままではないだろう。作品と人格は別物だ」(AFPBB News 2022年10月28日)と持論を述べました。

◆露呈した“薄さ”

 では、この論法で秋山黄色もフォローできるのかどうか。それはなかなか難しいものがあります。好きな音楽をすぐに取り入れてしまう気軽さと、酒に飲まれて嫉妬から女性に手を上げる癇癪も、同じ“薄さ”で通じているように思えるからです。

 そう考えると、今回の一件でアーティスト、秋山黄色の評価が定まったと言えるのではないでしょうか。

文/石黒隆之

【石黒隆之】

音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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  • 11/30 8:53
  • 日刊SPA!

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この記事のみんなのコメント

3
  • ***

    12/1 12:21

    クズめ

  • こういった事件は、許されることではないし、反省して欲しいとは思いますが…こういった事件が起きてから、さも『こんな性格の人』的なニュースを配信するのはいかがなものだろうか?100%事後に便乗した配信に他ならない。「あー、やっぱりね。そうなると思ってた。」事実が判明してからの『そう思ってた』発言である。ニュース性の欠片すらない。日刊SPA!よ、恥を知れ!!

  • ファンが泣いているよ。

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