滑走路で飛行機と消防車が衝突 事故直後にセルフィーを投稿した乗客夫婦が物議(ペルー)

ペルーの首都リマに位置し、主要空港として機能するホルヘ・チャベス国際空港で現地時間18日午後3時半、離陸中のラタム航空LA2213便(エアバスA320neo)と訓練中の消防車が滑走路で衝突する事故が発生した。

衝突の瞬間を捉えた動画では、離陸に向けてスピードを上げるLA2213便の機体の前方に入り込んだ数台のトラックが確認できる。

飛行機の存在に気付いたのか、先頭を走っていたトラックは旋回して滑走路から離れようとするが間に合わず、トラックの左側と飛行機が接触してしまった。

そしてLA2213便の機体後部からは炎と煙が上がり、黒い煙が機体を包み始めた。同機はその後、ゆっくりと滑走路上で停止し、その前方からは消火および救助のために緊急車両が駆けつけていた。

機体からはなおも黒煙が上がり続けていたが、迅速な消火および救出活動により飛行機の乗員・乗客らに死者は出なかった。ペルー保健省によると20人の乗客が治療を受け、そのうち2人は重傷だという。

同機の乗客だったエンリケ・ヴァルシ・ロスピリオーシさん(Enrique Varsi-Rospigliosi)と妻は恐ろしい体験の直後にセルフィーを撮影、現地時間19日に「人生があなたに二度目のチャンスを与える時」と言葉を添えてTwitterに投稿し、無事生還できた喜びと安堵を伝えた。

写真は消火剤で白く染まった事故機を背景に、ほっとしたような笑顔を浮かべるエンリケさん夫婦が写っており、エンリケさんの顔には脱出の時のものであろうか、消火剤が付着している。

エンリケさんのTwitterには彼らの無事と幸運を喜ぶ声が寄せられたが、中には「不謹慎だ」という批判的な言葉も見受けられた。

実は今回の事故で、衝突したトラックに乗っていた消防隊員のアンヘル・トーレスさん(Angel Torres)とニコラス・サンタ・ガデアさん(Nicolas Santa Gadea)が命を落としていたのだ。

そのような最中に、旅客機「エアバスA320」に関する情報を紹介するFacebookページ『A320 Systems』がエンリケさん夫婦の写真を公開。「今年一の自撮り。彼らが無事でよかった」と綴ったこの投稿が拡散されると、夫婦の行動について以下のような賛否両論の声が寄せられた。

「消防隊員の遺族がとてもかわいそう。この人たちは、死亡者に気付いていなかったのかしら?」

「自分が助かってホッとしていたのだろう。もしくは家族らに無事を伝えたかったのかもしれない。」

「恐ろしい場面で笑顔が浮かんでしまう人もいる。私も、緊張した場面で笑顔を浮かべてしまうもの。」

「亡くなった人のことを考えろよ。」

「彼らの行動が愚かだろうが、共感性がなかろうが、彼らは生きていることに大きな安堵を浮かべている。セルフィーぐらいいいじゃないか。」

同空港を運営するリマ・エアポート・パートナーズによれば、当時LA2213便には離陸の許可が出ていたそうだ。なお同空港では消防隊による定期的な訓練が行われているが、滑走路への侵入は許可されていなかったという。

事故当時の状況について、同社は以下のように詳細を発表している。

「11月18日、午前中から訓練開始までの間、消防隊は訓練を実行するために必要な手配を全て終えていた。」

「管制塔は、演習開始時刻が15時10分と定められており、同時刻に開始していたことを確認している。そして15時11分、ラタム機との衝突が発生した。」

しかしペルー空港・商業航空公社(CORPAC)の取締役会会長であるホルヘ・サリナスさん(Jorge Salinas)はこれを否定し、「滑走路への車両の乗り入れは許可されていない。演習を行うための認可はあるが、それは現在、飛行機の乗り継ぎなどが行われるトランジットオペレーションの区域外である」とも明かしている。

ペルーの検察庁は今回の事故を過失致死の可能性として捜査しており、現在も詳しい調査が続いているようだ。

画像は『Enrique Varsi-Rospigliosi 2022年11月19日付Twitter「Cuando la vida te da una segunda oportunidad」』『A320 Systems 2022年11月19日付Facebook「More video of the LATAM accident.」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 YUKKE)

2022/11/29 22:02

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