『ねほりんぱほりん』労働者の手配から覚醒剤の運搬まで 「手配師」は闇キャリアをどう積む?

 11月4日放送『ねほりんぱほりん』(Eテレ)のテーマは、「手配師」であった。

 手配師……港区女子を手配してくれるような、いわゆるガーシー的な人を思い浮かべそうな響きだ。でも、今回紹介するそれは違うらしい。ならば、ドヤ街にいるような方々のこと?

 今回、スタジオにやって来たのは、元手配師のマサヒコさん(50代)である。彼が従事していた「手配師」とは、どんな職業なのだろう?

「定職がない人に仕事を紹介する。私は建築系の職人の手配をしていて、職場と職人を直接つなぐ。ただ、(自分は)免許を持ってるわけではないので、一応、法律的にはアウトというか」(マサヒコさん)

 つまり、職業斡旋を生業とする人たちのようだ。ただ、労働者斡旋は許可制(認可制)である。無免許のマサヒコさんは、いわば“闇の派遣業”だ。あと、山谷やあいりん地区にいる人たちとも別種の手配師っぽい。当日に募集をかけるのではなく、マサヒコさんが持つ人脈を生かし、職人を手配するのだ。

 さらに、徐々にそこから仕事の幅を広げていったマサヒコさん。彼の活動範囲は、「人の手配」から「モノを運ぶ」へシフトチェンジしていった。

山里 「どういうモノを運ぶようになっていくんですか?」

マサヒコ 「俗に言う、覚醒剤とか大麻とか」

 番組開始2分で、いきなり真っ黒な話へと突入した今回。果たして、これはEテレで扱うテーマなのか?

【ある手配師】

マサヒコさん「サウナはマッパなので、録音されてたりとか、録画されてたりっていう心配がなくて、いろんな情報が飛び交ってるし、もめない。自分たちの居場所がなくなるから、不文律として、そこでは何もしないよっていう。」#ねほりんぱほりん pic.twitter.com/NMb1ffEZo3

— NHK ねほりんぱほりん@nhk_nehorin) November 4, 2022

人を手配しているうちに「不法滞在」「証明書偽造」に手を染めていた

 話を「人の手配」に戻そう。「職人を手配してくれ」と発注を受けても、手持ちの人脈では追いつかないケースだって出てくる。そういうとき、マサヒコさんは外国人労働者に頼ったようだ。

「自分が取り扱っている中には(日本に在住する)外国の方もいらっしゃったので、その人から紹介してもらって、その方の母国に連絡をしてもらう。でも、あくまでも“ツーリスト”なので就労はできない。(大きい現場は)半年近くかかるので、オーバーステイで確実に不法滞在です」(マサヒコさん)

 無認可の手配だけじゃなく、不法滞在にまで手を染めていたマサヒコさん。留学ビザで来日する外国人の中には、こういうケースが一定数いるのだろう。マサヒコさんからすると、背に腹は代えられない。不法滞在で就労した人たちのお陰で、東京のビル群は造られたとも言える。ただ、現在の日本は円の価値が低くなる一方だ。今後、違法就労の数は少なくなっていく気もするが……。

 ところで、その外国人労働者たちはどこで寝泊まりしたのか? 

「オーナーさん直の物件を借ります。二段ベッドに目いっぱい入れるとかですね」(マサヒコさん)

 いわゆる、タコ部屋だ。

山里 「不法滞在はバレないものなんですか?」

マサヒコ 「世の中に絶対はないので、現場にも抜き打ちで入管さんが来て。そうすると外国人登録証を出さないといけないし、持っていなかったりもするので、不法滞在で御用(逮捕)ということに。なので、自分のほうで外国人登録証を作り直します」

山里 「自分のほうで……?」

マサヒコ 「正規じゃない外国人登録証を。偽造ですね」

 不法滞在者のための偽造証明書である。人の為と書いて「偽」と読むが、言い得て妙だ。

 というか、話を聞いていくほどに「この人、大丈夫なのか?」と、マサヒコさんの出演が不安に思えてくる。ペラペラと裏社会の情報をおおっぴらにしゃべるのも心配。「よく、NHKに出られたな」「よく、NHKは出演させたな」と、ネガティブな意味で驚いてしまう。

 ちなみに、偽造のパスポート・免許証を作る職人のことは「ニンベン屋」と呼ぶそう。偽造の「偽」は人偏(にんべん)だから、そう呼ぶのだ。そういえば、千原ジュニア主演ドラマ『新・ミナミの帝王15 ニンベンの女』(関西テレビ)で、小芝風花が演じていたのがまさにこの「ニンベン屋」だった。

 ちなみに、外国人登録証明書の作成にかかる料金は5000円。透かし入りになると、2万円だそうだ。正直、良心的な価格だと思う。

マサヒコ 「自分がお付き合いしてたのは、池袋にあるニンベン屋さんです」

YOU 「ありそう~、池袋に」

 池袋に対する、市井からの容赦ない偏見。まあ、いかにもありそうな気がするけども……。ところで、「ニンベン屋」さんの素性はどういう人たちなのだろうか?

「そういう商売をしているので、自分たち以上に稼いでると思うんですよね。でも、野暮ったい。(頭を)ボリボリってかくと(フケが)パラパラってするような。ただ、時計だけは一点豪華主義にされてましたね」(マサヒコさん)

 つまり、昼行灯を装っているわけだ。反社の下請けでないと、こういう仕事はできない。闇業務なので競合も少ないし、きっと儲かる仕事だろう。もちろん、捕まるリスクは高いのだけれど。

 ところで、マサヒコさん自身の稼ぎはどうなのか? 最初は建築会社の社員として、まっとうなカタギだったマサヒコさん。ひょんなことから職人の手配をするようになり、この道で活動するようになったわけだが。

マサヒコ 「最初はまともな給料(建築会社の給料)のほうが多かったんですけど、あっという間に逆転」

山里 「そこから、ドンドン抜け出せなくなっていくと」

マサヒコ 「そうですね」

 闇の信頼と実績を積み重ね、自ずと手配師の報酬が増えていったわけだ。いわば、“闇のキャリアアップ”である。

 実績が増えるということは、比例してヤバい案件にドンドン足を突っ込んでいったということ。マサヒコさんが闇人脈と接触する場所といえば、サウナが相場であった。もちろん、普通のサウナじゃない。入れ墨している人でも入れる、“お絵描きサウナ”である。

「そういうところってマッパ(真っ裸)なので、録音されたり、録画されたりする心配がない。いろんな情報が飛び交っているし、絶対揉めない。なぜかと言うと、(揉めると)行けなくなるから。自分たちの居場所がなくなるから。不文律として、『そこでは何もしないよ』っていう」(マサヒコさん)

 たしかに、現代は“入れ墨の人お断り”のサウナが多い。彼らも、数少ない居場所は失いたくないだろう。でも、1歩サウナから出たらどうなるか……? それを考えると、やっぱり怖い。

「僕は、豊島区のとあるサウナを使ってたので、そこに行くといろんな人(反社)がいました」

 豊島区? やっぱり、池袋なのか……。

 前述の通り、覚醒剤の取り引きにも手を染めていたマサヒコさん。どんな流れで、この手の案件に行き着いたのか?

マサヒコ 「その話を持ってきたのは、自分の息子の同級生のお父さん。“現役”だったんですけど(苦笑)」

YOU 「パパ友が(苦笑)」

マサヒコ 「タカちゃんっていうんですけど、とある組織の若頭補佐をしてたんです」

 まさかの、パパ友経由で“闇の仕事”に行き着いていたマサヒコさん。

「タカちゃんから、『自分の兄弟分が面白いことしてるんだけど、どう?』って。『え、なに?』って言ったら『海外からシャブでも入れない?』みたいな」(マサヒコさん)

 Eテレでどストレートに「シャブ」と口にする、マサヒコさん。なるほど、タカちゃんが「こいつなら」と見込める要素が、彼にはあったのだろう。同じ穴のなんとか……というやつだ。

山里 「それは、さすがに……ってなりませんでした?」

マサヒコ 「まあ、それを必要とする人がいるからですよね」

いや、そこでプロ意識を主張されても。この人の話を聞いていると、倫理観がわからなくなってくる。

アジア諸国と中東でギャングと打ち合わせ

 覚醒剤の取り引きといっても、マサヒコさん自身は運ばない。それは、リスキーだ。あくまで、彼は仲介役である。

 仲介役が果たす仕事内容は、何? まず、運搬前に近隣のアジア諸国と中東へ赴く。そこで何をするかというと……。

「ある程度の期間、そこに滞在をして普通にギャングと打ち合わせです」(マサヒコさん)

「普通にギャングと打ち合わせ」という、パワーワードが登場! そこで、先方と取り引きの量や日時を話し合うのだ。ものすごいクレイジージャーニーである。 

「(現地に)住んでる日本人になりすましたいんで。馴染むために何をするかっていうと、髪の毛を切る。で、現地で流行ってる服装にする。床屋に行って『おまかせ』と言うと、流行ってる頭にしてくれるんで。ひげそりも、糸でやられたりとか」

「(打ち合わせは)『寺院の前のカフェにいますよ』って言うと、ギャングが来ます。『あ、君、マサヒコさん?』みたいなノリで」(マサヒコさん)

 糸を使ったフェイス脱毛、寺院の前で待ち合わせ……なんとなく、国が絞られてきた。

YOU 「ギャングのビジュアルは?」

マサヒコ 「ビジュアルは、『新宿スワン』って映画が流行りましたけど、ああいうグレーか黒のスーツでビシッとされてます。ビシッとスーツを着て、ビシッと道具を忍んでみたいな」

山里 「道具?」

YOU 「おチャカのほうを」

 いくら「お」を付けても、丁寧にはならない。拳銃は拳銃だ。

 話を聞いていると、マサヒコさんの安否が心配になってくる。反社からもギャングからも、さらに警察からも彼は狙われるんじゃないだろうか……?

 覚醒剤の受け渡しで用いるのは、キャリーバッグが主である。

「(飛行機に)持ち込みOKのちっちゃいやつがあるじゃないですか? あれ、溝がいっぱいありますけど、内張りを剥いで溝に入ってる発泡ウレタンを取って、あそこの中に(覚醒剤を)きっちり詰めて。で、もう1回閉めて。すると、だいたい1キロぐらい入るんです」(マサヒコさん)

 覚醒剤1キロの密輸か……。国によっては死刑になりかねない量である。で、もしも無事に運べたなら、そのときの成功報酬は?

「1回で200~300万円ですね」(マサヒコさん)

 いや、リスクを考えると安すぎると思うのだけど……。

山里 「『捕まるかも』って、不安はなかったですか?」

マサヒコ 「もちろん、なきにしもあらずですけど、別に刑務所が嫌だっていうのもないし。ただ、対価と合わないとダメですよね。たとえば、懲役何年打たれるか? そのへんの計算はします。それで、『捕まるかもしれない。過去の判例で、量刑はこのくらいになるよね』、『3年食らうか。でも、3000万円儲かる。学もない俺が年収1千万円。普通に働いても稼げるわけない……GO!』みたいな」

 そもそも「刑務所が嫌じゃない」という考えが、常人のそれじゃない。罰を受けるから「やめよう」という考えには至らず、「3年食らっても3000万なら良し」と導き出す思考回路が、理解不可すぎて興味深いのだ。究極の合理主義だし、ぶっ飛んでいるとも言える。報酬と懲役年数の両者をかけ合わせ、勘定して判断するのだ。つまり、彼は刑罰が重い国での“運び”は避けてきたのだろう。この人の地頭の良さは、なんとなく伝わってくる。

山里 「でも、そもそもは違法行為なわけじゃないですか。どういう気持ちでやってらっしゃったんですか?」

マサヒコ 「やっぱ、ワクワク感です(笑)。フフ」

YOU 「最初は、ちょっとドキドキしました?」

マサヒコ 「でも、楽しいですね。根底にあるのは『楽しい』なんですよ。楽しくないと、嫌なんです。僕、本を読むのが好きなんですけど、“ワクワク”とか“ゾクゾク”とか。自分のシナリオ通りにっていうか、『今回はこういう人選でこういうアプローチで』って。それをどっかで“しくる”と、たぶん自分に火の粉がかかる。そこだけは慎重に。でも、楽しみながら」

 万引きでスリルを味わいたい中高生と、同じノリなのか? ある種、彼はスリルジャンキーだと思う。こういう人種こそ、悪事は天職なのだろう。

 あと、気になったのは、マサヒコさんに罪の意識がないことだ。過去の取り引きを思い出し、“ワクワク”、“ゾクゾク”と言いながら、笑みを抑えきれずにいる。彼が日本に持ち込んだ覚醒剤のせいで、どれだけの人が不幸になったろうか? その事実を無視し、今も“ワクワク”の感情を忘れられずにいる。こんな彼の性分を、“パパ友”タカちゃんは見抜いていたのだろう。

 繰り返すが、マサヒコさんの任務は「仲介役」だ。では、「運び屋」の人材はどうやって見つけてくるのか?

「パチンコ屋さんでしきりに負けて、お金をおろしに行って、また来て、負けて……みたいな人の隣に行って『どうっすかね。出てます?』みたいな」(マサヒコさん)

 パチンコ屋でターゲットを見定め、フレンドリーに接し、そこから食事に誘うらしい。つまり、ダメ人間にロックオンするのだ。そこから「自分、こんな仕事をしてるんですけど、ちょっと手伝ってもらえますか?」と、探りを入れつつ切り出す。

「『3泊5日でこういうところ行ってくれたら、50万ぐらい払えるんだけど』って。すぐ乗っかってくる人限定です。そこで考える人間は、もう面接落ちですね。即答のみ。変なリスクとかより、『金!』っていう人だけをチョイス」(マサヒコさん)

 繰り返すが、覚醒剤の密輸で捕まると死刑になる国もある。だからこそ、目先のお金に目が眩むタイプ……すなわち、後先考えないイケイケドンドンの人材のみを雇うわけだ。「3泊しただけで50万円あげる」と言われたら、その時点で普通は怪しむはずだし……。

 番組は、過去に「運び屋」をやったことのある経験者・マヤさん(30代)にも話を伺っていた。

「昔、働いてたキャバクラの黒服さんから、何年ぶりかに電話があって。『大事な書類とか(海外から)運べる人がいないか?』みたいな。2泊3日で、報酬は30万円」

「旅行がてら、お小遣いをもらえるなら『私が行ってくる』みたいな」(マヤさん)

 なぜ、この条件で大丈夫だと思ったのだろうか……? そこで疑うのは当然なのだけど、疑わないタイプだからこそ彼女は選ばれてしまったのだろう。

「(現地で)30代半ばぐらいの白人さんに、無言で黒いスーツケースを渡されて」

「『何か入ってるかな?』と思って、ちょこっとファスナーを開けてみたんだけど、洋服が上にたんまり入っている。他人の荷物だと思ってたから、下まで探ったりはしてなくて」(マヤさん)

 もう、すでに話が何カ所も破綻している。そもそも、「大事な書類」という話じゃなかったっけ!? “雇う側”が悪人なのは大前提として、“受ける”側も何も考えてなさすぎだ。

兎にも角にも、そのスーツケースを持ってマヤさんは空港に向かった。そして、そのスーツケースは手荷物検査で引っかかってしまった。即、職員に連れて行かれたマヤさん。

「ひたすら待たされて、呼ばれた頃にはスーツケースが壊されていて。白い粉が出されてる状態でした。薬物に対する関心がなかったので現物も見たことがないし、『なんだろう?』って感じだったかなあ」(マヤさん)

いや、現物は誰だって見たことないよ! 「なんだろう?」という戸惑いも、リアクションとして呑気すぎる。

そもそも、空港で他人の荷物を受け取るのは、運び屋にさせられる流れの典型である。観光客のスーツケースが盗難に遭い、ツアーガイドから代用のスーツケースを手渡され、観光客が持ち込もうとするとそこにヘロインが隠されていた「メルボルン事件」は、この手の事件の代表例だ。つまり、どんな人からも荷物を受け取ってはならないということ。

 さて、その後のマヤさんはどうなったのか?

「(その後は)もう、留置所じゃないですかね。1番、あのときが怖かったなあ……。最終的には、覚醒剤の密輸で刑務所に入れられました」(マヤさん)

 不幸中の幸いだったのは、捕まったのが日本だったという点だ。だから今、こうして娑婆で話せている。発見されたのが海外だったなら、今もまだ彼女は帰ってこれていないはずだ。

運び屋本人は何を運んでいるか知らないのに、税関で引っ掛かり、そして死刑になってしまうケースは少なくない。割に合わないどころの話じゃない。しかも、仲介役からしたら「弾の1つが外れた」程度の結果である。彼らは、ほぼノーダメージなのだ。“人を使う側”と“人に使われる側”の格差を思うと、悲しくなってくる。

 現在、この手の流れで犯罪に巻き込まれるケースとして、「運び屋」以上に「オレオレ詐欺の受け子」が多い気がする。あと、マサヒコさんはパチンコ屋で直接声をかけていたようだが、今はもうそんなアナログじゃない。SNSを通じたスカウト行為が幅を利かせているように思うのだ。

 その後、仲間の逮捕をきっかけにマサヒコさんの違法行為は警察に知られてしまう。そして、彼は刑務所に入った。

 そりゃそうか……。これだけのことをしてきたのだ。さすがに、服役を済ましていないとテレビには出られなかったはずである。

山里 「捕まったときは、どういう思いでしたか?」

マサヒコ 「『ああ、終わったな』っていう。『もう、いいや』と。ちょっとホッとしてました、変な言い方ですけど。『ああ、捕まったな』と」

 麻薬中毒者が捕まったときも、「ホッとした」と思うそうだ。スリルジャンキーだった彼も、同じ感情だったらしい。

 加えて、マサヒコさんには改心するきっかけがあった。子どもの存在である。

マサヒコ 「息子も、ちょっとやんちゃで。でも、やっと高校も決まって。で、(中学校の)卒業式の3日前ぐらいに(自分は)捕まったんですけど」

YOU 「(刑務所に)入ってるときは、心配だったでしょう?」

マサヒコ 「(パパ友の)タカちゃんがずっと(見てくれて)。タカちゃんはわかってるんですよね。仕事を紹介してる人間のことだから、『あいつ、捕まったよ』って連絡が来るんで、息子の卒業式の準備も全部してくれて、(刑務所への)差し入れに卒業式の写真も入れてくれて」

 さすが、若頭補佐である。やはり、面倒見がいい……いや、そんな単純な話ではないはずだ。マサヒコさんが捕まれば、タカちゃんが捕まるリスクも自ずと高くなる。彼だって、芋づる式に捕まりたくはないだろう。だから、マサヒコさんが最も望むことをしてあげた。息子の世話をすることで、自分の身の安全を守る……という目算があったと思うのだ。

山里 「(卒業式の)写真を見たとき、どうでした?」

マサヒコ 「『うわぁ、(式に)出たかったなあ』っていう(苦笑)。そのときしか見れないときがあるじゃないですか、子どもの成長の中で。でも、そこで自分は何年か欠落してるんです。自分はもっとしてやりたかった、子どもに、本当は」

 切ないBGMを流し、家族愛を込めたいい話風にまとめようとする番組の演出が気になる。正直、見ていてビタイチ気分が乗らなかったのだ。いい話でもなんでもない。こういう仕事をする人間が、人並みの幸せを望むのは違うと思うのだ。この結果は、単純に因果報応である。

 その後、出所したマサヒコさん。現在、彼はどういう人生を歩んでいるのか?

「(刑務所を)出てからは福祉の学校を通って、国家資格を取って、今は知り合いのツテで、昔の自分みたいな人が社会復帰したときの施設で働いています。自立や定着支援をしています」(マサヒコさん)

 とんでもない話の連続だったのに、意外ときちんとした結末へ着地した今回。なんだかんだ、マサヒコさんは人脈が豊富だ。逮捕前に培ったコネのお陰で、彼はちゃんと社会復帰できたと思うのだ。

YOU 「マサヒコさんが現役のときに感じてた“ドキドキ感”とか、そういう感情は今はもうまったく求めないですか?」

マサヒコ 「……う~ん、まあそうですね。今は、普通がいいのかなっていう。その頃(手配師の頃)は、今日と明日はまったく違ってた。前は“当たり前”が窮屈だったんですけど。サラリーマンをしていると、(日々が)だいたい一緒じゃないですか? でも、“当たり前”っていいんだなっていう」

 マサヒコさんからほのかに漂う、他人事っぽい雰囲気はなんなのだろう? 手配師時代の生活に恋い焦がれる未練も、確実に伝わってきてしまった。それ以前に、「こんな人に“当たり前”を語られたくない」という感情を筆者は抱いていた。

 今回は、番組史に残るスレスレな内容だった。「手配師」、「ニンベン屋」、「覚醒剤」と、とてもEテレで放送する内容ではないようにも思った……が、よくよく考えると、こんな内容を放送できるのはNHKくらいしかない気もする。

 おそらく、これ以上に放送不可なヤバい案件と人脈を、『ねほりんぱほりん』は少なからず抱えているだろう。そう考えると、改めて世の中は広いし恐ろしい。

  • 11/15 20:00
  • サイゾー

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