「スーパーパン」という小さなパン屋 「DCコミックス」に商標権侵害で訴えられるも勝訴(チリ)

南米チリの首都サンティアゴでパン屋を営むゴンサロ・モンテネグロさん(Gonzalo Montenegro、41)が、最近地元で多くの関心を集めている。彼の店は数年前にアメリカ最大手のコミック・ブック出版社「DCコミックス」に商標権侵害だと訴えられていたのだが、今月9日にその訴えが却下されたのだ。

ゴンサロさんは「スーパーパン」というパン屋を2000年初頭に創業し、地元に美味しいパンやケーキを提供してきたのだが、のちに彼は店名である「スーパーパン」を商標出願しようと思い立ち、2019年11月にチリ工業所有権庁(INAPI)に出向いたそうだ。

ところがゴンサロさんの商標出願に“待ったの声”が上がってしまった。米最大手DCコミックスが、彼らの出版するコミック・ブックのスーパーヒーローである「スーパーマン」に店名が似ているとしてINAPIに商標権侵害にあたると訴えを起こしたのだ。同社は店名の他にもゴンサロさんの店のキャラクターがスーパーマンにそっくりなことに対しても訴えていたようだ。

またDCコミックス以外にも、地元チリの大手食肉加工品メーカーの「アグロスーパー(Agrosuper)」が、商品名に「スーパー」と入っている自社ブランドの“Superpollo”や“Supercerdo”などのブランドを侵害していると訴えてきた。

大手2社に訴えられたゴンサロさんは為す術も無く「スーパーパン」の商標登録ができないまま、3年近くもの月日が経ってしまった。ところが半ば諦めていたであろうゴンサロさんに吉報が届いた。なんと今月に入って、INAPIが2社の訴えを全て却下し、「“スーパーパン”は如何なる知的財産も侵害しておらず今後もゴンサロさんは商標として自由に使用できる」と判断を下した。

大手2社との戦いで町の小さなパン屋に軍配があがったことで多くの人が注目し、一部の地元メディアは「スーパーマン対スーパーパン」と見出しに入れ、ゴンサロさんの勝利を伝えている。ゴンサロさんは今回の結果に非常に満足しており、「10歳の頃から私自身がスーパーパンというニックネームだったので本当に幸せです」と語った。

ゴンサロさんは10歳の頃から母親の手伝いでパンを売り始めたようだが、当時は裕福とは言えない生活の中で、洋服もあまり持っておらず、いつも「ピーターパン」と「スーパーマン」のTシャツを着まわしていたという。そんな彼を、いつしか地元の人は「スーパーパン」と呼ぶようになった。

長い間地元に愛されてきたパン屋「スーパーパン」のInstagramには「おめでとう」「DCコミックスを倒したなんて、あなたは超スーパーパンだ」「あなたはみんなのお手本だ」といった称賛の声が相次いで寄せられている。

画像は『Oddity Central 2022年9月21日付「DC Comics Sues Chilean Bakery “Superpan” Over Copyright Infringement」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

2022/9/24 6:00

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