3200日間“ビールを飲む”動画を続けたリングガール。9年間の努力の対価は

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◆3200日間ビールを飲み続けたリングガール

 今年に入り「村田諒太VSゴロフキン戦」や「井上尚弥VSドネア戦」といった、ボクシングのビッグマッチでリングガールを務め話題となった、タレントの天野麻菜さん。雑誌のグラビアや舞台俳優などマルチに活躍する彼女が、9年にも及ぶ間、毎日欠かさずに続けてきたものがある。それは「ビールを飲んでいる動画を投稿する」ということだ。

「かんぱ〜い!」と合図の後、ビールをゴクゴクと飲む。1つにつき10秒程度の動画で、編集もなくその場で投稿できるという点では一見簡単そうに見えるかもしれない。

 しかしこの動画投稿が、3200日以上毎日欠かさず続いていると考えるとどうだろうか。1つをとって見れば簡単そうに見えても、これだけの期間を毎日投稿し続けることは努力なしでは不可能だ。9年も続けていれば、自身の体調が悪い日や、心が折れそうになった日もあったのではないだろうか……。

 そこで今回は、天野麻菜さんにインタビュー取材を行い、ビール女子動画を始めたきっかけや「継続することの大切さ」について話を伺った。

◆始めたきっかけは「ビールのCMに出たい」

 そもそもビールを毎日飲み続けるというだけでも、相当のビール好きでないとできないだろう。まずは「なぜビールを飲む動画の投稿を始めたのか」についての話を聞いた。

「もともとビールが大好きだったので、タレントとして活動を始めた当初は『いつかビールのCMに出たい!』という気持ちがありました。その気持ちをアピールするため、当時広告代理店に飛び込み営業に行ったんです。その時に営業の方から、要約すると『お前なんか出られるか!』ということを優しい表現で言われました(笑)。たしかに21歳で芸歴も浅くて名前も売れていないのに『ビールのCMに出たい』なんて大風呂敷広げたら、そう言いたくなりますよね……。

 その時その方から『ビールのCMに出るには、石原さとみさんや綾瀬はるかさんみたいに有名になるのが早いけど、そうなるのは相当難しい。だからとりあえず、ビールに関する発信を始めてみたら?』と言われました。『例えば自分が美味しそうに飲んでいる動画をコツコツ上げ続けたら、いつか誰かが見つけてくれるかもしれないから。でもやるなら毎日やらなきゃダメだよ?』とアドバイスをもらい、その帰りに立ち寄ったカレー屋さんで早速撮ってみたんです。それが1本目の動画として、今もインスタに残っています」

◆「誰のためにやっているのか」と葛藤する日々

 ビール女子動画の投稿は、広告代理店からのアドバイスにより、話をした当日から見切り発車的に始まったという。アドバイスした人も、まさか9年も続くとは思っていなかっただろう。ただ「毎日やらなくてはダメ」というアドバイスが、長年続いている原動力になっているようだ。

「勢いでその日に投稿しましたが、その時に『あれ? 毎日ってことは明日も投稿しなくちゃダメかな?』って思ったんです。広告代理店の方のアドバイスが、ある種の強迫観念になっているというか(笑)。

 その後もしばらくは『これをやってて何になるんだろう……』と思い、心が折れそうになることは多々ありました。例えば大人数での飲み会に参加している時も、たった10秒でも自撮りをしたいと言えなくて、家に帰って1人で撮ったり……。そういう手間が掛かった時に『これを誰のためにやっているのか』とか『続けて芽は出るのか』を考え、日々心が折れかけましたね」

◆辛い時は「今日だけ頑張ろう」の連続で3200日

 実を結ぶかわからない手探りの状態で投稿を続けて「3200日中3190日くらいは心が折れかけましたよ(笑)」と語る天野さん。それでも、1日1日の“ひと踏ん張りの連続”が今も続けられている要因だという。

「モチベーションが下がった時も意地で続けてきて、100日目のときにキリが良いからやめようとしました。でもその時は、少しコメントやいいねがついていたので『じゃあ1年続けようかな』となりまして……。それで実際に1年経った時は『1000日までいけば話題になるかな?』と思い、1000日いった時にやめようと思ったら『明日も楽しみにしています』というコメントを見て、やっぱりもう少し続けようかなと。

 メイクすることや撮影するモチベーションが上がらない時は『明日やめればいい。今日だけ頑張ろう』と自分に言い聞かせ、その積み重ねで続けてこられました」

◆地道な努力が仕事に繋がるとき

 ビールCMに起用されることを目指し、毎日ビールを飲む動画の投稿を続けた天野さん。地道な努力を続け、初投稿から5年が経ったあたりから仕事にも変化が現れたそうだ。

「たしか2000日過ぎたあたりで仕事に繋がることが多くなりました。ビールのイベントのゲスト出演や、バラエティ番組で『ビール動画をひたすら上げ続けている女の子』といったキャッチコピーで出ることもありましたね。それによってインスタグラムのフォロワーも増えて、コメントもいいねも増えて、ある程度モチベーションが保たれるようになったんです。

 その後、アサヒビールさんから『ポップアップ店でビールを飲んでいる動画を上げてほしい』という依頼を頂いたこともありました。こういう形で仕事に繋がる度に『投稿をやめなかったおかげだなぁ……。心折れてもやめなかったあの時の私ありがとう!』と思います(笑)」

◆叶わなくても何かに繋がる

 “継続は力なり”とはまさにこのことだ。たしかに現時点でビールのCMという目標には届いていないが、天野さんは「叶わなかったとしても失敗とは思いません」と力強く語った。

「人生において、自分で仕事を辞めたことがないんです。上京するときのアルバイトみたいに物理的に不可能で辞めたことはありますけど、芸能の仕事は自分から辞めようと思うことはありません。もともと諦めることをしない人間なんですよね。だから何度心が折れかけてもビール女子動画をやめないんです。

 ただ、仮にこれがバズったとしても、しっかりとした知名度がないとビールのCMには出られないことは理解しています。もちろん諦めてはいませんが『これを続ければ絶対にCMに出られる』とは思っていません。でもこれを続けることで、仕事に繋がることや、知り合う人が増えることはあります。そういったツールとして続けていきたいんです。CMしか目標がなかったら『もう無理かな……』と思ったタイミングでやめていたかもしれませんが、多くの人と出会えたことで“やめない理由”がハッキリと見えてきました。

 たしかに今のところビールのCMには出られていません。でも夜中に流れる尺の長い『スポットCM』には出たことがあります。これも担当者の方が『ビール女子』で調べて、たまたま見つけて起用してくださったようです。誰が見ているかわからないですし、何が起こるかわからないので、健康でいる限りは続けていくつもりです!

 何事も継続していくことが大切だということは、人間わかっていてもなかなかできないことである。何をやっても3日坊主で終わってしまう人が多いなかで、1人の女性が映像としてネット上に残り続けるものを毎日撮影し、3200日以上投稿を続けていることは「偉大なこと」と言えるのではないだろうか。小さいことを積み重ね続ける彼女が、今後どのような“祝杯”を上げるのか注目したい。

取材・文/セールス森田

【セールス森田】
Web編集者兼ライター。パチンコライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント

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