恐怖…ハワイで女性がアザラシに噛まれケガ、なぜ襲われたの
観光客が多く訪れるハワイのビーチで7月下旬、海水浴中だった女性がアザラシに襲われる事故が発生しました。原因は、女性が子どもを産んだばかりのアザラシがいるエリアに近づきすぎたこと。ハワイの海で遊ぶとき、どんなことに気を付ければいいのでしょうか? 海の生物に近づきすぎたり触ったりすると罰金対象になることもあります。
◆観光客の多い人気ビーチで起きた事故
ワイキキから徒歩で15分ほどの場所にあるカイマナビーチ。すぐ目の前には小規模ホテルや観光客がステイするコンドミニアムが建ち並ぶエリアのため、地元住民も観光客も訪れる人気のスポットです。そんなカイマナビーチの沖45メートルあたりで7月下旬、カリフォルニアからハワイを訪れていた60歳の女性が、「ハワイアン・モンクシール」と呼ばれるアザラシに襲われたのです。
◆悲鳴をあげながら襲われる女性
このときの様子を撮影した動画が地元ニュースやSNSで拡散され、それによるとハワイアン・モンクシールは女性を見つけると一直線に向かって行き、頭や背中などに噛みついたのです。
https://youtu.be/bp3YjfswNhU
ビーチにいた人たちがハワイアン・モンクシールに気づき「逃げて!」と叫び、女性もすぐに逃げようとしたもののハワイアン・モンクシールの方が動きが早く、襲われ悲鳴をあげることになったのです。
その後、カヌーに乗った人が近くを通りかかりアザラシから女性を守るようにブロック。なんとかビーチまで戻り、女性は病院に運ばれ治療を受けました。
このハワイアン・モンクシールは2週間ほど前に子どもを産んだばかりで、女性を襲ったときも子どもと一緒に海を泳いでいました。モンクシールはもともと縄張り意識が強く、特に子どもと一緒だったことから子どもを守ろうとする防衛本能が強かったものとみられています。
◆ハワイのビーチで気を付けること
ハワイアン・モンクシールは生息数が1600頭ほど。絶滅危惧種に指定されていて、ビーチや海で見つけた場合は、15メートル以上の距離をあけるのが現地のルール。女性が襲われたカイマナビーチは、たびたびハワイアン・モンクシールが目撃されている場所で、ハワイアン・モンクシールの親子がビーチにいたことから、近づかないよう看板が出ていたそうです。
今回の事件後、カイマナビーチはハワイアン・モンクシールの周囲45メートルが封鎖され、もしビーチや海のなかでハワイアン・モンクシールを見かけた場合は45メートルは離れるように呼びかけられています。
◆ウミガメやイルカに近づくのも禁止
ハワイでは、ハワイアン・モンクシールのほかに、ウミガメは3メートル以上、イルカは45メートル以上の距離をとることが必要。この距離より近づいたり、触ったりした場合は罰金が科せられます。今回の女性の場合は、海に入ったときハワイアン・モンクシールがいたことに気づかなかったうえ、誘発するような行動は何もしていなかったことから、連邦政府からの罰金は科せられないとのことです。
ハワイ州観光局では、観光客も責任ある行動をとって現地を守ろうとする「レスポンシブルツーリズム(責任ある観光)」を呼びかけています。そのなかのひとつが、現地の動物に出合ったときの対応。ぜひハワイを訪れるときは、こんな現地のルールをチェックし、ハワイの地域環境や動物たちに悪影響を及ぼさないような行動を心がけていきませんか。
<文/佐藤まきこ>
【佐藤まきこ】
女性誌のエディターやファッションビルの広告・プロモーションのプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのエディター・ライターへ。ハワイ在住。Instagram:@hawaii_milestone