“誰もが知る名曲”の歌姫、73歳で死去。乳がんと闘い続けた

 世界的歌手のオリビア・ニュートン・ジョンが、今月8日、73歳で亡くなった。「カントリー・ロード」など日本でも大ヒットを飛ばし、2021年には日本の勲章の一つ「旭日小綬章」を授与されたオリビア。出身地であるオーストラリアでは、公葬が計画されているという。

◆乳がんで30年以上にわたり闘病生活

 イギリスで生まれたオリビアは、のちにオーストラリアに移住。1970~80年代にかけてポップス界を席巻したが、1992年に最初の乳がんと診断された。いったんは病を克服したものの、再発を繰り返し、約30年以上にわたり闘病生活を続けてきた。

 がんと診断されて以降、積極的にがん患者の支援や啓発活動を行ってきたオリビア。そうした活動が評価され、2019年にはオーストラリア最高の栄誉の一つとされるオーストラリア勲章を受章した。

 生前、偉大な功績を残したオリビアの訃報に接し、ビクトリア州のダニエル・アンドリュース首相は“公式の追悼式典”を行うことを発表。遺族もこの申し入れを承諾したと伝えられている。

◆「葬儀というよりコンサートにしたい」

 甥のトッティ・ゴールドスミスさんは8日、豪番組に出演し、多くの人々から愛された伯母を偲んだ。2013年に亡くなったオリビアの姉ローナの娘であるトッティさんは、「自分や兄弟にとって、オリビアは母のような、もしくはそれ以上に大切な存在で、私たちの人生の一部だった」と心情を吐露。そのうえで、豪から公葬の話があったことについて明かし、次のように語った。

「私達はその申し出を受け入れようと思っています。それは家族のためというだけではなく、オーストラリアも必要としていることだから。彼女はとても愛されていたのです

「私達の国がそれを必要としている。だから、われわれ家族も受け入れることにしたのです」

 公葬の日時や会場など詳細については、現在、遺族と関係者の間で調整が続いているそうだが、アンドリュース首相は「葬儀というよりコンサートのようなものにしたい」と話している。

◆「静かに息を引き取りました」夫が妻のSNSで伝える

 現地時間8日、オリビアの夫ジョン・イースターリングさんが、妻に代わり公式SNSを更新。「今朝、家族や友人に看取られながら、カリフォルニアの自宅の牧場で静かに息を引き取りました」と訃報を伝えた。

 乳癌の治療で痛みを軽減するため、医療大麻を使用していたというオリビアは、薬用大麻が合法とされているカリフォルニア州で暮らし、治療を続けていた。長い間、病と闘ってきた妻について、ジョンさんは「30年以上にわたり、乳がんとともに歩んできた彼女は、勝利と希望の象徴だった」と称えた。

 オリビアはまた、自身も闘病しながら、がん患者を支援する基金「the Olivia Newton-John Foundation Fund」を設立し、啓発活動を行ってきた。ジョンさんは妻の遺志は受け継がれるとしたうえで、「故人を偲び、花束の代わりに、基金への寄付をどうかご検討ください」と呼びかけている。

◆「日本公演拒否」で物議を醸したことも

「愛の告白」「そよ風の誘惑」「フィジカル」「カントリー・ロード」など、数々のヒット曲を生み出したオリビア。

https://youtu.be/uHOTmMpux9E

 さわやかで透明感ある歌声は日本のお茶の間でも親しまれた。大の親日家としても知られ、来日回数は10回以上。ただ、1978年には長崎県で漁師がイルカを駆除したことに抗議し、日本公演を拒否するなどして、物議を醸したことも。

 漁師たちが自分たちの生活を守るために、養殖の網を破ったイルカを捕殺したことを、のちに知ったというオリビア。さらに、日本のファンたちが強く要望したことで、日本公演は最終的に実現した。来日公演の際に開かれた会見でオリビアは「イルカと人間が共存できる方法を考えてほしい」と訴え、公演の一部を研究施設に寄付した。

◆日本の歌謡界に与えた影響

 ちなみに、日本の有名歌手である杏里が1978年にリリースしたヒット曲「オリビアを聴きながら」は、オリビアの曲からインスピレーションを得て作られたもの。このように、日本の歌謡界にも大きな影響力を及ぼしたオリビアは、2021年秋、「日本国の音楽文化の発展及び友好親善に寄与した」として旭日小綬章が授与された。このとき、日本のファンに向け、こんなふうに語っている。

「日本は大好きな国の1つ。日本の皆さんも大好きです。特に忘れられないのは、震災から4年後の2015年に福島市でコンサートを行ったことです。被災地のみなさんの粘り強さに深い感銘を受けました。また日本を訪問して、みなさんにお目にかかれるのを楽しみにしています」

<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>

2022/8/13 8:44

この記事のみんなのコメント

2
  • 残念です。ご冥福を お祈り申し上げます

  • トリトン

    8/13 12:02

    学生の頃連れが好きでカセットを録音してもらいファンになったなそよ風をの誘惑が初めて利いた好きな歌ですね。

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