稲川淳二が語る「本当にあった怖い話」福井の宿泊先で現れた男性の正体は…

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 独特の語り口調で、人々を魅了する“怪談家”稲川淳二。彼のライフワークである『怪談ナイト』は、このコロナ禍にも熱狂的なファンに支えられ、中止することなく今年30周年を迎える。

 そこで今回、稲川の怪談話の中でも、本人が体験した、テレビの地方ロケで起きたエピソードを特別に語ってもらった。

※    ※

 テレビの番組ロケで、福井へ行ったんですがね。

 東京で仕事を終えてから、出かけたもんですから、現地に着いたのが、だいぶ遅い時刻になってしまって、宿に入ると、すぐに休むことにしたんです。

 で、いつものことなんですが、出演者はスタッフと離れた別の部屋になるんですよね。まぁ、いい部屋を取ってくれているわけなんですが、このときも、私一人、皆と離れた別棟に案内されて、薄暗い廊下をヒタヒタとしばらく行くと、それは古い木造なんですが、立派な建物だったんです。

 で、襖を開けると、黒光りした床板があって、その先の襖をもう一つ開けると、突然、大広間が現れた。

 高い天井から下がっている電気コードの先には、年代物のしゃれたガラスの笠がついていて、そこから、茶色味を帯びた明かりが、ボンヤリと、照らす下に、布団がポツンと敷いてある。

 これが、なんとも心細いというか、妙にもの寂しい。で、その向こうに、障子があって、開けてみると、廊下のようなわずかなスペースと窓だった。

 そして、布団の足元のほうが壁で、頭の先に、少し距離をおいて、黒くつやのある、大きな板戸が4枚、閉まってる。

 自分が寝る部屋に板戸があるっていうのは、どうも気になるんで、(向こうは、何だろう?)と開けて確かめようとしたんですが、鍵がかかっていて、ピクリとも動かない。

 自分の寝ている頭の先に、鍵のかかった板戸があるというのは、なんだか気味が悪いんですが、気にするのはやめて、寝ることにしたんですよ。

 就寝用の小さな明かりの下で、ジッと目をつむっているんですが、どうしたわけか、いっこうに眠れないまま、時間が過ぎていく。

■「ごめんください……」と女の声が

 あたりは静まり返っていて、物音ひとつ聞こえない。(眠れないなぁ……)と思っていると、不意に、

「ごめんください……」

 と、女の声がしたんで、ドキッとした。(何だろう?)と思っていると、また、

「ごめんください……」

 という声がした。

 この別棟には、他に泊まっている人はいないようだし、(これは、自分のところかな?)
と、思って起き上がって。

「はい!」

 と返事をして、出ていって襖を開けると、暗い廊下に、着物姿の仲居さんが立っていて、

「夜分、遅くに申し訳ございませんが、ただいま、下に先生を訪ねて、人がみえてます」

 と言ったんで、(えっ? 福井に来ていることは、関係者しか知らないのに……いったい誰だろう?)と思いながら。

「ああ、それはどうも」

 と仲居さんに、軽く礼を言って、暗い階段をトントン……トントンと下りてゆくと、薄暗い裏玄関に、げっそりと痩せた、五十絡みの男が立っていて、私を見るなり、わずかに頭を下げて、2〜3歩近づいてくると、まったく表情のない顔で、

「あの……私に、憑いているものが見えますか?」って言ったんで、(ああ、またかぁ……)と思った。

 以前にも、こんなことが二度ほどあったんですよね。(この人、少しやられてるなぁ……)と思ったんで、

「さァ? 何も見えませんがねぇ……」

 と答えると、

「私の祖先は、あこぎな金貸しをしていて、借金のカタに、人から物を取り上げては、さんざん人を泣かせた祟りで、うちは代々、男はみんな短命で、私も、もうじき迎えが来るんです」

 と言ったんで、

「短命なのは、祟りか遺伝か分かりませんが、人を思いやる心があれば、おだやかな気持ちになれますよ」

 って答えると、この男が、深く頭を下げたんですが、下を向いたその瞬間、薄暗い闇の中で、男の顔がニターッと、うれしそうに笑うのを見てしまったんですよ。

 それが、してやったりといった感じで、気味が悪くて、思わずゾーッとしましたね。

 怪談の続きは、8月8日発売の『週刊大衆』8月22・29日号で。

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  • 8/7 18:00
  • 日刊大衆

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この記事のみんなのコメント

1
  • 観音寺六角

    8/14 19:59

    借りて来たのやら?次は誰にしようか探してる😱

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