「SASUKE」の五輪採用はデメリット!? お祭り騒ぎのTBSだが「不都合な事態」

 TBSにとって久々に明るいニュースといえば「SASUKE オリンピック種目になる可能性浮上」だ。SASUKEといえばTBSの大晦日の顔、さまざまな障害物を己の体のみで超えていくスポーツ・エンターテイメントだが、国際近代五種連合(UIPM)が今年5月、2024年のパリ五輪後に近代五種から馬術を外し、新たな競技として『障害物レース』を試験導入すると発表。トルコで行われたテスト大会にTBSが協力。ヨーロッパの現地版収録で使われているセット、障害が使用されたのだ。

 このニュースは当然TBSの「ひるおび」でも紹介。恵俊彰、八代英輝のメインMCを始め出演者たちが嬉しそうに話題を盛り上げる中、立川志らくだけは「SASUKEを見たことがない」と場を読まない発言で一瞬周りを凍りつかせるものの、SASUKEが世界で放送されていることなどを紹介。トルコで行われた大会も「後日番組内で紹介します!」と明るい雰囲気でコーナーをしめくくっていた。

 日本オリンピック委員会のサイトにある「オリンピック憲章」から抜粋すると、

 

〈男性によっては、少なくとも75か国、4大陸で、女性によっては、少なくとも40か国3大陸で広くおこなわれている競技のみ〉

〈競技人口数のうえでも、地理的にも両方で公式に認められた国際的な地位をもち、少なくとも2度は世界選手権大会もしくは大陸選手権大会に含められた実績をもっていなければならない〉

 とあり、世界160以上の国と地域で放送し、現地版も20カ国以上で制作されているサスケなら、国の数や競技人口、男女の条件でも十分クリア。世界大会も2014年にマレーシアで「SASUKE ASEAN OPEN CUP 2014」が開催されている上、今回トルコで開催されたテスト大会が、大陸選手権大会に準ずるものとされるのかもしれない。ただしこの条件は新種目。近代五種の馬を障害物レースに変える、というだけならハードルはもっと低くなる。

 もしSASUKEがオリンピック競技となれば、テレビ番組から登場する、おそらく世界初のオリンピック競技となるわけだが、TBS側が得られるのは”栄誉だけ”になるだろう。というのも、

「オリンピックの種目となる場合、本来ならTBSが海外展開で得られてきた、また今後得られるであろう権利の全移譲、ライセンスを放棄しろとIOCまたはUIPMなどの競技団体が言ってくる可能性がありますね。ここまで築き上げた番組のノウハウやコース構成、障害物の構造など知的財産も要求するはずです。ただの”障害物競技”という名前になれば別ですが、『SASUKE』の名前は世界的に認知されているので、この名前を競技名として残したいとなれば、『SASUKE』『KUNOICHI』『NINJA warrior』といった関連用語もIOCやUIPMなど競技団体の管轄下として、今後TBSが勝手に使用できない、使用許可を得なくてはいけなくなるかもしれません」(スポーツライター)

 しかも、だ。

「サスケが競技になる、ということは、これまでの障害物が”運動器具”になる、ということです。サーモンラダーや反りたつ壁、フィッシュボーンなどの障害物が今後、器具として世界的に販売される、つまり新しいビジネスになります。そうなると世界のスポーツメーカーなどが当然、IOCやUIPMなどに公認を、ライセンスを、ということになるでしょう。世界中の人が使いたい今までにない大型運動器具、その利益はどれくらいになるのか。いくらTBSから生まれたものだとしても、権利移譲していれば利益は入りません」(同)

 ネットでは「山田勝己が五輪育成コーチ!」「A.B.C-Zの塚っちゃんがオリンピック出場の可能性出てきた」「風雲!たけし城も忘れちゃいけない」など盛り上がっているが、果たしてSASUKEはオリンピックの種目になるのか。2024年のパリ大会までに形になるのか、そしてTBSはどう出るのか。今から展開を期待しよう。

(ロドリゴいしざわ)

2022/7/5 10:00

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます