『やんごとなき一族』松下洸平、あふれ出す愛しさ “家族の味”が導く幸せの描き方

健太(松下洸平)の記憶喪失、家を出た佐都からの、深山家女性陣の大逆襲。そして大団円のハッピーエンドとなった『やんごとなき一族』最終回の第11話。

※以下最終回ネタバレあり

冒頭は久美ママ(木村多江)の「もう限界だわ、こんな人間の面倒なんかみたくない!」と圭一パパ(石橋凌)へのストライキ宣言からスタート。この啖呵がかっこよすぎると思った矢先、今度は佐都(土屋太鳳)の実家「まんぷく屋」を訪ねた久美ママ。ひょんなことからお店のお手伝いをして「たのしい!」と。給仕をして、こんなに感謝されたのが初めてなんて、どれだけ圭一パパに虐げられてきたんだ。

お次に「まんぷく屋」にやってきたのは美保子(松本若菜)。場違いな衣装で、おなじみ“松本劇場”を繰り広げ、佐都に嫌味でも言うのかと思いきや、まさかの謝罪。

「だから、ほら、あれよ。あ、ありがとう(変な発音)。それから、ごめんなさい」。圭一パパをナイフで刺そうとした自分を止めてくれた佐都に、ついに美保子も気持ちを入れ替えたのだ。しかも「何かあったんですか?」と聞く佐都に、顔をくちゃくちゃにして、うなずく美保子が面白過ぎる。やっぱり、どこまでいっても“松本劇場”になってしまう美保子こそ、影の主役といってもいいかもしれない。

一方、家を出た佐都のことが気になって仕方がない健太。「まんぷく屋」にきた健太は、佐都に出されたもつ煮を食べて

「知ってる、この味。なんというか、家族って味だ」

「俺好きです。この味。なつかしくて、あったかくて…」

まだ言葉遣いは丁寧だし、佐都のことは「佐都さん」と呼ぶけれど、昔の健太が少し顔を出す。涙声で話しながら、記憶が戻らないことを謝る健太の顔には、優しさが滲みだしている。そう、それこそが健太だよ。記憶喪失になっても、根底にある大事な感情はちゃんと覚えている。

そんな健太に佐都も「健太が健太でいる限り、私は支え続ける!」。やっと2人の子ども、凛ちゃんを抱っこした健太は深山家に戻り、圭一パパに3人でやり直すことを宣言。

こうなったら、残る敵は圭一パパだけ。明人も簡単に改心しちゃったし。といっても、これは美保子のおかげ。自分が深山家の跡継ぎになれないから、離婚したほうがいいと言おうとした明人に「私は深山家の長男でも王子様でもなく、明人さん、あなたが必要なの」。キメてくれたね、美保子さん。「これからも私の尻に敷かれてなさい」という美保子に、うれしそうに「はい」とうなづく明人は完全なドM体質? まぁ、健太への確執より、美保子への愛のほうが大きかったということにしておこう。

圭一パパは会社の損失を隠し、ドバイの大富豪サイード(竹財輝之助)から巨額の投資を受けようとするが、健太はサイードにすべてを告白。健太の肩を持つ佐都に「女ごときがでしゃばってくるな!」と圭一パパ。すると「そこまでよ」と颯爽と現れたのはマダムキリコ(長谷川京子)に有沙(馬場ふみか)、リツコ(松本妃代)、美保子に久美ママ。まるで国民的海賊マンガの名シーンを思い起こさせるようなカッコイイ登場の仕方。佐都が麦わら帽子被っていてもいいぐらい。今までの10話は、この瞬間のためにあったといっても過言ではない。

佐都を応援にきた女性陣。久美ママから「立派な女主人におなりなさい!」と言われ、「はい」と佐都。そこで「でないと、わたくしがいつでも下剋上してさしあげますわ」という美保子に「まぁ、美保子さんたら」と久美ママがドスンと強いツッコミ。しかも久美ママ、美保子さんっぽいポーズ。これからの深山家は笑いが絶えない優しい家族の未来しか見えない。

この後、サイードは正直な健太が代表になるならと巨額の投資を約束。圭一パパは深山家から姿を消し、なんとみすぼらしいホームレスとなっていた。拾った雑誌に掲載されている健太を見て、うれしそうな表情を見せる圭一パパ。そこへ久美ママが現れ、匂いを気にしながらも、握り飯を差し出す。「どうして?」という圭一パパに「お金を稼ぎはしませんけど、あなたを支えることが私の仕事です」という久美ママに「ありがとう」と。深山家を出て、世間で生きていくことがどれほど大変か。きっと、深山家に縛られていた自分がどれだけ、おろかなことをしていたのか、わかることができたのであろう。だからこそ、素直に感謝の言葉をかけることができたのだ。

身支度を整え、「まんぷく屋」を訪れた圭一パパは佐都に謝り、「健太のこと、深山のこと、よろしく頼みます」と頭を下げた。そこには、もう憎たらしい圭一パパはいない。息子のことを思う父親の顔だった。

最後は佐都と健太の結婚式。凛ちゃんに、いないいないバァをする圭一パパはただの優しいおじいちゃん。深山家の家族が仲良く会話をする景色こそ、健太の求めたものである。真っ白な着物を着た佐都を見て、健太の記憶が!「おかえり、健太」「ただいま、佐都」と2人はチュ~。家族で撮った記念写真は、ポスターと違い、家族みんなが満面の笑顔。めでたし、めでたしとなったところ、佐都と健太、凛ちゃんが散歩をしていると、何やら見覚えのある柴犬が。『ナンバMG5』に登場している難波家の愛犬、松が登場。うれしいコラボにほっこりとするエンディングとなった。

SNSでは「終わりとか寂しい~嫌だぁ~」「ハッピーエンドで良かったね」「最高だったな」「すでに美保子さんロス」「確実にロスになるけど、とりあえず、たくさんの幸せありがとう!」「さとけんたも元通りになってくれてこれ以上ないくらいの満足感です」と幸せな終わり方に満足し、すでに“やんごとロス”になった視聴者も多かったようだ。これからの深山家に幸あれ。

文:今 泉

©フジテレビ

2022/7/1 21:10

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