2年前に亡くなった夫の凍結精子で妊娠、出産した女性「まるで夫と再会したよう」(英)

イギリス在住のローレン・マクレガーさん(Lauren McGregor、33)は5月17日、亡き夫クリスさん(Chris、享年37)との間に授かった息子セブ君(Seb)を出産した。

クリスさんは脳腫瘍のため2020年7月に他界しており、ローレンさんはこのほど彼の凍結精子を使って妊娠、出産したという。

ローレンさんはクリスさんの闘病生活をこう振り返っている。

「クリスとは幼なじみで子供の頃から知っていましたが、交際して数か月後の2013年10月に症状が出始めました。クリスは体調を崩すことが多くなり、ちょっと立ち上がるだけでほてりが出るようになって。12月のある日、私たちは電話をしていて途中で切れてしまったんです。そういった場合はクリスがかけ直すと決めていたので、私は電話を待っていました。でもかかってきたのは1時間後で、彼は私の名前が分からなくなったと言ったのです。」

「すぐに家庭医に予約を入れましたが、医師からは救急病院に行くように勧められ、いくつかの血液検査を行い、CTスキャン検査で脳に腫瘍があることが判明しました。そして2014年3月に脳外科手術を受けて腫瘍の95%を取り除くことができ、1年後にはほぼ完治していました。」

2016年に再発が確認されたクリスさんだったが、手術できるほどの大きさではなかったため化学療法と放射線療法を行ったそうだ。そして2019年11月には2つ目の腫瘍が見つかり、2020年1月に再び化学療法を開始した。その結果、3か月後には2つ目の腫瘍は消え、1つ目の腫瘍の成長も食い止めることができたという。

そんな中パンデミックが起こり、免疫力を低下させたくないという理由から彼の化学療法は一旦中止となったが、2020年5月に症状を訴えたクリスさんが詳しい検査を受けたところ、腫瘍は想像以上に大きくなっていた。同年7月、彼は帰らぬ人となった。

その後、クリスさんの凍結精子を使って妊娠、出産することを決意したローレンさんは「赤ちゃんを授かることは私たちが何年も望んでいたことで、クリスは闘病中に精子を凍結していたんです。彼を亡くしたことは人生で最悪な出来事でしたが、いなくなった後も私たちの愛を育むことができるようにしてくれたのです」と話した。

クリスさんが亡くなってから9か月間は悲しみに向き合い、本当に体外受精をするかどうか自分の気持ちを確かめたローレンさん。のちに体外受精プロセスを開始して妊娠し、5月17日に「リバプール産婦人科病院(Liverpool Women’s Hospital)」で体重8ポンド11オンス(3940グラム)のセブ君を帝王切開で出産した。

「セブの体格が大きかったこともあり、事前に医師と相談して帝王切開を計画しました。クリスは背が高かったので、息子も大きいのは当然です。通常だと手術中はアクセサリーをすべて外さなければならないのですが、スタッフのみなさんが状況を本当によく理解してくれていて、結婚指輪とクリスの遺灰を入れたネックレスをつけたまま出産しました。手術室には彼の写真も置いてくれて、本当に素晴らしかったです」と明かしたローレンさんは、現在の生活についてこのように語っている。

「セブは日に日にクリスに似てきました。生まれた時も髪が濃く、M字型の生え際がクリスとそっくりだと笑われたものです。もう父親の写真を見せる必要はないと思うほど似ているので、私はセブを通じてクリスの存在を感じることができます。これから毎年、父の日にはクリスのお気に入りの場所をリストアップして、クリスの連れ子のウェイド(Wade、18)と家族3人で新しい場所を訪れたいです。セブが父親に会うことはないけれど、これからの冒険が本当に楽しみです。クリスと過ごした楽しい日々の話を聞かせてあげたいと思っています。」

ローレンさんとクリスさんの凍結胚はまだ4つ残っているそうで、ローレンさんは数年後にセブ君のきょうだいを作ってあげたいと考えているという。

画像は『WalesOnline 2022年6月20日付「Lauren has husband’s baby two years after he died from brain tumour」(Mercury Press)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 上川華子)

2022/6/24 23:30

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