「中古スマホ」ブームの光と陰!? ネットオークション、フリマアプリの「個人売買」にはリスクが...

最近、中古スマートフォンの人気がうなぎのぼりだ。新機能搭載のハイスペックスマホが次々と登場、型落ちでも十分使える安くなった中古が狙い目、という面も大きい。

そんななか、モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」が中古スマホの関する調査を相次いで発表した。「中古スマホの現状と課題」(2022年6月20日付)と、「2022年中古スマホに関する調査」(5月19日付)の2つだ。

中古スマホの魅力を紹介しつつ、その危険性も同時に警告している。

中古スマホがブームになった3つの理由

中古スマートフォン人気の背景として、MMD研究所は次の3つの理由を挙げている。

(1)近年、スマホの機能・性能が成熟し、ハイスペック端末の価格が高騰しているため、機能としては十分使える、新品でも型落ちのモデルの人気が高まっている。たとえば、昨年(2021年)9月、「iPhone13シリーズ」が登場すると、「iPhone12シリーズ」の価格が数段安くなり、話題になった。
(2)2019年、改正電気事業法が施行され、携帯電話の通信料金とスマホの端末代金の分離が義務化された。「端末購入を条件に、通信料金を値引きすること」と「一定期間の契約を条件に、端末代金を割引すること」が禁止され、端末の大幅な価格値引きが抑えられてしまった。
(3)昨年(2021年)10月から、端末にICカードをはめ込み、他の携帯電話会社の回線を使えなくする「SIMロック」が原則禁止になった。これによって、いろいろなキャリアを自由に使えるようになり、中古スマホの買い取り・販売がスムーズになった。

こうして、中古スマホ市場が活発化する一方、それまで中古市場への参入を控えていたNTTドコモが今年4月、認定リユース端末(中古スマホ)の取り扱いを始めた。そのため、大手キャリアの揃い踏みとなり、中古スマホ市場が一気に拡大した。

大手キャリアのリユース品購入が1位

さて、MMD研究所の調査では、まず、スマホを所有する18歳~69歳の男女1万人を対象に、現在利用しているメイン端末の入手方法を聞いた。結果は、「新品のスマホ」が84.5%と最も多く、次いで「中古スマホ(修理・整備品も含む)」が11.6%、「友人・家族から譲り受けた」が3.3%となった。

2020の調査と比較すると、「新品」が6.5ポイント減、「中古」が5.5ポイント増の2倍となった。また、2016年からの中古スマホの所有率の推移を見ると、年々増加し、9.8ポイント増加していることがわかる=図表1参照。(ただし、いずれも母数が異なる)

続いて、メインで利用していた端末の処分方法を聞くと、「自宅に保管している」(52.4%)が最も多く、次いで「通信会社の下取りサービス」(17.3%)、「携帯電話買い取り店への売却」(7.1%)となった=図表2参照。これを年代別で見ると、「自宅に保管している」と回答した年代で最も多かったのは60代(60.4%)、最も少なかったのが10代(38.2%)となった。

さらに、中古スマホを持っている500人に、買った店舗やサービスサイトなどを聞くと、「キャリアのオンラインサイト(認定リユース品)」が13.6%と最も多く、次いで中古品リユース販売業の「ハードオフ」(13.2%)、同「ブックオフ」(11.6%)と続いた。また、さまざまなネットオークションサイトから購入していることがわかる=図表3参照

いったい、どうして中古スマホを購入したのだろうか。その理由を聞くと(複数回答)、「新品より価格が安い」(36.2%)が最も多く、次いで「オンラインで購入できる」(13.8%)、「SIMフリー端末が欲しかった」(12.8%)、「欲しい製品が店頭で販売していない」(10.4%)、「ハイエンドモデルが定価より安く手に入る」(9.6%)となった=図表4参照

やはり、「安さ」「自分の好み」「高機能」を探し求めてのことのようだ。

中古の個人売買は個人情報漏えい怖い

ところで、今回の調査で目を引いたのは、自分のスマホを家族や友人に譲った人が2.1%、オークションサイトやフリマアプリで売却した人が1.8%いたことだ。また、オークションサイトやフリマアプリから買った人が10.4%と、個人売買の経験者が一定数いることがわかった。

MMD研究所では、「中古スマホに潜むリスクをきちんと把握して」と、こう警告している。

「おサイフケータイ対応端末に搭載されている『FeliCaチップ(ICカード)』の情報は利用者自身では初期化できません。自身が利用している通信キャリアの店舗の専用機器で初期化する必要があります。初期化せずに家族や友人へ譲ったり、フリマアプリなどで販売したりすると、次の利用者はおサイフケータイを利用できない、ということになります」
「個人情報の漏えいが気になるのなら、データ消去ソフトを導入している買い取り・販売店に預ける、キャリアに下取りしてもらう、もしくはキャリアに赴いて専用機器でデータを初期化してもらうことが必要です」

なかでも、おサイフケータイは個人売買の危険性の一例だ。MMD研究所では、

「中古スマホ売買に対するハードルは低くなった今こそ、スマホ端末内に個人情報を残したまま売買するリスクを知り、どのような手段で個人情報を消去すればいいかの知識を身につける必要があります」

と、呼びかけるのだった。

調査は2022年4月21日~4月24日、スマホを所有する18歳~69歳の男女1万人を対象に行い、そのうち中古スマホを持っている500人に集中的に聞いた。

(福田和郎)

2022/6/23 8:15

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