獄中で見た性犯罪者たちの異常な素顔。刑務所での更生に期待できないワケ

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(※編集部注 この記事は特定の心的外傷を刺激する可能性があります。ご注意下さい)

◆性犯罪者90人をインタビューして把握した、彼らの共通行動

 地方刑務所でのPrisoner氏の同期には、名の知れた元性犯罪者もいた。当時20歳の女性の自宅に侵入し、性的暴行を加えたA。そして女子中学生を数十回にわたり盗撮したBだ。

「彼らのパターンは大体同じ。まず、ターゲットをストーキングして、生活圏をくまなく調べることから始める。そうして家の鍵を手に入れ、1年ほどかけて盗撮など盗聴をし、本人がいない時に家に忍び込んで下着などを拝借するんです。Aもそうでした」

 ほか、睡眠時間を削ってまで1日何軒というノルマを決めて住宅街を周り、ポストに鍵が入っているか確認する、ドアノブを回してみるなど、「地道な努力」を惜しまないのだという。

「知能犯は、犯行までの間をなるべく長く引き伸ばして楽しむ。バードウオッチングをするかのようなノリで、女性の観察を楽しんでいるんです。たとえばAは一人暮らしの女性の家の鍵を10個ほど持っていて、被害者の手帳を見てスケジュールを把握していた。

 そして被害者のアルバイト先に赴き、働く姿を見ながら被害者の下着を使って物陰で自慰をし、汚した下着は被害者宅に戻って洗濯機に入れていた。暴行に関しては、たまたまいつも通り部屋に入り込み、タンスの中で自慰をしていたら目が合ったのでやってしまったということでした」

 鍵は植木鉢の下や郵便ポストから見つけ出してその日のうちにコピーを作成。ほか、自転車のサドルを抜いてGPSを仕込みパソコンで監視する。2階、3階の部屋は窓の鍵を閉めていない場合が多いため、外のパイプなどを伝って侵入するなどの手口が一般的だとか。

◆「出所したら被害者の女性に会いに行く」

 また、Bは「小学校5年生くらいの子が、女性の中で一番美しい」が持論だった。

「Bは『女子中学生にイタズラしちゃおう』みたいなゲームを作っている途中で捕まったんですね。愛読書は『L』というロリコン雑誌でした。しかも、なんと出所したら当時の被害者の女性に会いに行こうと思っていると。『今度、中学を卒業するんだよ』などと笑顔で言っていました。

 しかも出所後、Bから15〜20人ほどの小学生の裸の写真が送られてきて……試しに『L』を読んでみましたが、私は娘がいるので胸がムカムカして無理でした」

 ほか、接触した元性犯罪者たちには様々な類型が見てとれたという。

「まず典型的なのは、『ムラムラしたからやっちゃった』といった、知能が足りない衝動的なタイプ。とある元介護士は、夜道で目出し帽をかぶって同僚を襲った。すぐに声でバレて、『何やってんの』と言われたのですが、それでも普通に暴行したというから驚きです」

◆「堂々とやれば暴行にはならない」という歪んだ認知

 ほか、アルコールの勢いで事を起こす輩はもちろん、「堂々と男らしくやれば許される」と本気で思っているタイプもいたとか。

「柔道の某金メダリストみたいな感じでしょうか。レイプだと思っていないんですよ。『いいじゃん、いいじゃん』と言ってなし崩しにやれば許されると勘違いしている輩がいる。元暴走族にもこのタイプが多くて、しかも彼らは押しに弱い女性を見極める精度がものすごく高いんですよ。

 今は懐かしのSNS『ミクシイ』で、地元のヤリマンを根こそぎ食ったという話を自慢げにしているのですが、今で言うネットナンパのような感じで会い、ユルそうな女性なら密室で15分ぐらい話した後に、なし崩しに押し倒す。よく聞いたらレイプなんですけどね。

 そして、私が接した性犯罪者のほとんどは、事後に同意があったと勘違いしていました。女性側がそれ以上の加害を恐れておとなしくしているのを、合意されているものと思って犯行に及ぶんです。前出のAは、忍び込んでレイプした後に被害者とベッドでイチャイチャしたので同意があったと思ったとか」

 家宅に不法侵入し、かつ性的暴行を加えて同意を得られたと思い込めるのは理解し難いが、みな全般的に自分に都合の良い解釈をしがちだとPrisoner氏は話す。

 むしろ、総じて被害者意識が強く「『俺はこうじゃなきゃ興奮できないのに』とか、『なぜみんなやってるのに俺だけ捕まるんだ』と思っている」という。また年代的にも差が見られたというが、特に50代前後の性犯罪者は被害者に対し「逆ギレ」しているケースが多かったとか。

◆暴行した被害女性に対し「許せない」

「デリヘル嬢に覚醒剤を混ぜたローションを使った上、パソコンで盗撮していたとして捕まった50代の男は、何故か私に被害者の住所やフルネームなど個人情報を全部教えながら『ここまで知っている間柄だから、合意の上だった』と主張していました。『さんざん指名してやったのに訴えやがって』とも言っていましたね。

 よくわかりませんが、手塩にかけて育ててきた作物を収穫する感覚に近いのだろうと思いました。レイプをしたという自覚はあるが、丹精込めて育ててきたんだから摘む権利があるだろうという考えなんです。

 そして普段、『一軍』の前ではおとなしくしているくせに、僕があと少しで娑婆に出ると知ったら、『あいつ(被害者)だけは許せないから報復してくれ』などと普通に言う。女性を下に見てるんですよ。いじめられっ子のくせに先生にチクりやがって……というのと同じなんです」

 また、義理の父親による性加害も多いが、連れ子を数年間に渡りレイプしていた40代後半の男は、「誰のおかげで生活できてたと思ってんだ」「俺が養ってやってたんだぞ」と居直っていたという。

「私が今、LINEでやり取りしている相談者は小学校2年生から中学校3年生まで、同居している母親のパートナーにずっとイタズラされていた人で、いずれユーチューブなどで有名になって報復したいんだと言ってました。そういう人からの連絡は多く、やっぱりよくある話だなと思いますね。母親にはほぼバレているのですが、生活基盤を失うのを恐れて見て見ぬふりをされているケースが多いです」

◆刑務所の中は、「新しい犯罪の勉強会」

 それにしても、これほどまで常識外れの人物たちと立て続けに接触し、Prisoner氏はいかにして平常心を保っていられたのか?

「さすがに声を荒げてしまったことが一度だけあります。21歳の元大学生で、先輩に連れて行かれたデリヘルで、本来オプションである精液を飲むサービスを無料でしてもらったと。それについて『飲みやがった、汚ねえ』などと笑顔で言い放ったので、つい激昂してしまいまして。

『てめえの汚ねえ〇〇〇〇飲んでくれたんだから、「ありがとうございます」だろうが!』と机を蹴って、説教してしまいました。彼だけはまだ更生の余地があると思ったからこそなのですが……ほかは正直、絶対に治療が必要と思えるレベルでした」

 性犯罪者の再犯防止については、GPSによる監視などさまざまな議論がなされているが、一般的な再犯率自体が非常に高い。法務省が2021年12月に発表した「犯罪白書」では、2020年に刑法犯で検挙された人のうち、再犯者率は過去最悪の49.1%。性犯罪者の再犯率については平成27年犯罪白書によると13.9%であり,全再犯を行った調査対象のうちの約7割を占めていた。性犯罪者の矯正・治療はほとんど行われておらず、国内では唯一「NPO法人 性障害治療センター SOMEC」が実施しており再犯率も低いというが、それなりの費用(自費)や年月がかかる。

 Prisoner氏はこれについて、以下のように考察する。

「刑務所って、囚人どうしで世間話をするうちにどんどん犯罪の知識が深まってしまうんですよ。いわば犯罪の勉強会みたいになってる。本当に更生させたいならば、私語禁止にすべきでしょうね。一年半しかいなかった私ですらかなり耳が肥えてしまったので、3年、5年いる人は相当の集積があるはずです。

 前出のBなどは『こんなところ、ゴキブリに耐性与えているだけじゃないか』と言っていましたが、まさに正鵠を射たりです。再犯した出戻り組が、お茶に覚醒剤入れるととばれないとか、何とかと何とかを混ぜて入れたら一発で女の子が気を失うとか、そういう新しい情報を仕入れてくるので、出所を控えた受刑者はそれを娑婆で試そうとする。そういう悪循環が起きているんです」

◆反省していない囚人の口癖は「今度こそ捕まらない」

 その際、彼らが共通して言う言葉が「今度こそ捕まらない」なのだとか。

 そんな中、なんとPrisoner氏は刑務所内で関係した囚人の本名、連絡先、SNSのスクリーンショットをすべてエクセルにまとめて保存しているという。メモを残せなかった環境で、どのようにして可能だったのか?

「私は、情報を映像記憶として残せるタイプなんです。人の顔や電話番号、免許証やアンケートカードに書かれている言葉などは、パッと見たら忘れない。それでも限界はあるので、たとえば数字なんかは連想記憶にして忘れないようにする。こうした技は、不動産の営業で身についたもの。たくさんの顧客を相手にしているので、一人ひとりの特徴や話したことを覚えてないと仕事にならなかったのです」

 そこまでの驚異的な努力を持ってしてまで、囚人の個人情報を保存している理由は「同様に、自分の個人情報も知られてしまっている。しかも相手は全員反省していないので、油断できない。先回りして防衛が必要だからです」という。

 犯罪者の世界を知ってしまった以上、もはやかつてのような完全なカタギには戻れないというPrisoner氏。だが、服役した経験は前向きに捉えていきたいと語る。

「実は、再審請求をして逆転無罪を勝ち取りたいと思っているんです。自分がハメられた経験から、今後の自衛のためにも超法規的な視点を多少は持っておいたほうが良いと痛感しました。もちろん、それを性犯罪被害の相談にも生かしていければと思います」

【Prisoner氏】
2013年、親族トラブルが原因で逮捕・起訴され、敗訴。実刑判決を受け地方刑務所に収監。2017年に出所した際の全財産はわずか45000円、その上借金1億円を抱える。現在、自営業をしながらツイッター、公式LINEで性犯罪被害者の相談を行なっている。ツイッター:Prisoner1773

取材・文/日刊SPA!編集部


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  • 6/19 15:54
  • 日刊SPA!

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