38歳の怪演女優・松本若菜、ブレイクのわけ。性悪女もセクシー不倫妻も演じきる

ドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系、毎週木曜夜10時~)に出演中の松本若菜を皆さんご存知でしょうか。ヒロイン・土屋太鳳をいじめる義姉役での怪演が第1話から話題に上り、その豊かな表現力で毎週私たちを楽しませてくれています。

『やんごとなき一族』のストーリーは途中から観始めても十分に楽しめるので、まだ見ていない方もぜひ一度視聴を。後悔はさせません。

◆『やんごとなき一族』で一気に注目!ハンパない表情筋

下町育ちのヒロイン・佐都(土屋太鳳)が、上流階級に嫁ぎそこで奮闘する姿を描く『やんごとなき一族』。昼ドラ感が全開の欲にまみれた一族の争いっぷりと共に、その中心人物のひとりである兄嫁・美保子を演じている松本若菜による“松本劇場”が話題になっています。

不敵な笑みで嫌味たっぷりの替え歌、感情を爆発させて相手につめより罵倒、美人なのに……その豊かな表情筋を駆使した変顔。強烈なインパクトを残しています。5月26日に放送された第6話では、美保子の生い立ちが明らかとなり、出自が名家のお嬢様ではなかったことが発覚しました。そして、6月2日に放送される第7話では佐都が妊娠。過去を知られ、跡継ぎをもてていない美保子が追い詰められていくことは明らかです。そんな美保子を松本がどう演じ切るのか、ますます目が離せません。

◆『コウノドリ』『僕キセ』そして『金魚妻』でも幅広い演技

松本若菜が女優デビューをしたのは15年前。特撮ドラマ『仮面ライダー電王』(テレビ朝日)で、主人公(佐藤健)の姉役に抜擢(ばってき)されました。弟思いで優しくも天然な性格という役どころで出演シーンも多く、デビュー作とは思えない演技を披露しています。

その後もコンスタントにドラマ・映画に出演。松本は常に、端役でもしっかり爪痕を残している印象です。筆者も彼女に初めて惹かれたのは、ドラマ『ラッキーセブン』(フジテレビ系)の第1話で冒頭に主人公の松本潤と不倫する人妻を演じたときでした。美しい裸体のお背中とセクシーな仕草がすごかった。それからも「あっ、ラッキーセブンの人妻!」と、色々な作品で見かけるのが楽しみになりました。

『コウノドリ(シーズン2)』(TBS系)でのシングルマザーの産婦人科医(しかも元ヘビメタ)役に、『僕らは奇跡でできている』(カンテレ制作・フジテレビ系)での少し変わった小学生の息子に対峙する母親役は、心に残った人も多いのではないでしょうか。その頃から徐々に出演作も増え、お嬢様にキャリアウーマン、悩める母や偏屈なリケ女など、幅広い役柄を演じてきました。

最近では『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ)での女刑事役で、クールでかっこいい一面を見せたかと思えば、『金魚妻』(Netflix)ではたびたび謎の頭痛に襲われる人妻を演じ、眞島秀和と濃厚なラブシーンを披露。一つひとつの役を大小に関らず真摯に向き合い、磨かれてきた演技力を発揮しています。

◆松本の実力が開花した映画『愚行録』

松本の女優としての大きな魅力は、役に与える“リアリティ”です。人間味といっても良いかも知れません。一見、嫌味な女、性格が悪そうな女、偏屈な女であったとしても、どこか憎めない……嫌いになれない。『やんごとなき一族』の美保子もまさにそれです!スタイルもよくて美人なのに、野心丸出しで自分の欲望に忠実。強烈なキャラクターですが、松本により人間らしさと愛らしさが加わったことで、観る人に嫌われない役に仕上がっているのだと思います。

そんな松本の実力が開花した作品は、2017年の映画『愚行録』ではないでしょうか。妻夫木聡演じる週刊誌の記者が、未解決の一家惨殺事件の真相を追うなかで、理想の家族と思われた被害者一家の実像が明らかになっていくという物語。松本が演じたのは、殺されたエリート一家の妻であり、大学時代はマドンナ的存在の女性でした。美人で完璧……一見悪意もないのに、大学内のマウントトップに上り詰める女子大生の嫌らしさを見事に表現

この作品自体が、人間の弱い部分や嫌らしさを題材にした傑作で、妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、中村倫也がもの凄い人間味あふれるキャラクターを演じて話題になりました。そのなかでも、松本は第39回ヨコハマ映画祭 助演女優賞を受賞。彼女の魅力を語るには欠かせない作品になっています。

◆『復讐の未亡人』でも松本の魅力が一段と爆発

そんな松本は、7月から放送のドラマ『復讐の未亡人』(テレビ東京)で初主演を務めます。愛する夫が自殺に追い込まれた真相を調べ、復讐を果たそうとする未亡人役。すでにParaviの先行配信で観られるのですが、松本の魅力がまた一段と爆発する作品に仕上がっていて必見です!

多岐にわたるキャラクターを演じ分け、私たちを魅了する松本からますます目が離せそうにありません。

<文/鈴木まこと(tricle.llc)>

【鈴木まこと】

tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201

2022/6/2 15:46

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