「4630万円誤振込」ネットカジノで使い切った? カネの流れに違和感あり

◆10日間で4630万円全額を海外に?

 山口県阿武町で起きた「4630万円誤振込騒動」。コロナ禍で困窮する463世帯に、1世帯あたり10万円の臨時特別給付金を振り込むはずが、職員のミスにより、全世帯分の金額である4630万円が、一人の男性に振り込まれた一件だ。

 誤振込があったのは4月8日。一時は資金の返却に応じたものの、心変わり。「金は別口座に動かし、元に戻せない。罪は償う」と一貫して返還を拒否していた。そして今月18日、男性の弁護士が登場し4630万円はネットカジノで使い切った旨を説明した。同日、山口県警萩署は田口翔容疑者(24歳)を電子計算機使用詐欺容疑で逮捕した。

 田口容疑者の弁護士が、誤振込後の銀行口座の出金記録をまとめたものによると、4月8日に残高665円だった田口容疑者の口座に特別給付金の10万円を加えた4640万円が振り込まれ、口座残高は4640万665円に。4月10日〜18日にかけて100万円を超す出金が続き、18日時点での残高は約6万8000円だったという。

◆カジノ決済代行会社とは何なのか

 出金先はいずれも海外のカジノ決済代行会社というが、そもそもこのカジノ決済会社とは何なのか。海外のネットカジノ事情に詳しいA氏は次のように語る。

「国際送金など、電子決済サービスを行う会社です。通常、ネットカジノは賭博が違法である日本では、銀行、カードから直接入金することができないので、これらカジノ決済会社を挟む必要があります」

 田口容疑者の弁護士が公表した出納記録によると、4月10日にカジノ決済会社A社に約125万円を出金したのを皮切りに、11日には同じA社に127万円、131万円、131万円と立て続けに出金しているというが、A氏は疑問を呈す。

「カジノ決済会社はドル建てが基本なので、為替相場を考えて、それぞれ1万ドルずつ入金していると思われますが、カジノ決済会社もロンダリングを防止するため、いきなり日本の銀行から、それほどの大金を送金することは不可能です。田口容疑者が誤振込があった以前からカジノ決済会社に口座を開設していて、期間的にも金額的にもそれなりの取引実績があるという話ならわかるのですが…」

◆仮想通貨を経由した可能性

 A氏が「日本の利用客が多い」と語る某カジノ決済会社の取引上限を見ると、入金できる残高上限は“ランク”によって変わってくる。

 取引実績がない状態での1回あたりの入出金額の制限は2500ドル(約32万5000円)で残高上限は1万5000ドル(約195万円)。その上のランクになるには、30日間以上の口座保持期間と2万5000ドル以上の取引実績(ギャンブルサイト等への送金)が必要となる。

 田口容疑者が送金した会社は明らかになっていないが、これはたいていのカジノ決済会社においても同様だという。つまり、田口容疑者が誤振込を受ける以前から、数百万円レベルでネットカジノに入金していたのではない限り、そもそも銀行からこれほどの大金を送金すること自体が不可能だということだ。

「実際に入金したのであれば、仮想通貨を経由しての入金はマストだと思います。一度、日本円を仮想通貨に替えたあとであれば、カジノ決済会社へ大金を送金することもできます。ただ、仮想通貨の取引所への入金にしても、取引所がそれだけの額をハイハイと送金させてくれないので、考えられるケースとしては、相対取引(個人間で仮想通貨を取引すること)で仮想通貨を持ってる線ですかね。いずれにしろ、相当なマネーリテラシーがないと実行することは難しいです」

◆お金はどこに消えた?

 田口容疑者は「少しずつでも返していきたい」との意向を示しているが、4630万円すべてをネットカジノですったのが事実かどうか以前に、それだけの大金をネットカジノに移すこと自体に疑問符がつくとすれば、そのお金はどこに消えたのか。

 阿武町は「包み隠さず真実を語っていただくことが一番大事」と、田口容疑者を相手取り現金の返還を求め山口地裁萩支部に提訴している。

 何より、誤振込された金額は国民の血税だ。ギャンブルですった、すってないと不毛な水掛け論で終わることのないよう、捜査当局には、カネの流れの追及が望まれる。

<取材・文/日刊SPA!取材班>

2022/5/20 8:54

この記事のみんなのコメント

6
  • いち(

    5/23 18:56

    対象世帯にはすべて支払われてますよ。

  • ネットカジノで使い切ったは嘘でしたね(笑)残り一千万も戻るかしら?

  • 剣飛竜

    5/20 14:32

    役場が無能だとか、男がクズとか言う問題より、支払われるべき非課税世帯にお金が支払われてない事が何より肝要で、その方法だが、この男が出所したらYouTuberになって、チャンネル登録者数多いYouTubeと協力して、ライブ配信でスパチャ等で金をかき集め、一人一人に土下座して十万円直接手渡してまわる企画を立ち上げたら、すぐ4600円集まるんじゃないのか。

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます