充実一途をたどるソダシの快勝 活力旺盛なシラユキヒメ一族

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・5/15 ヴィクトリアマイル(GI・東京・芝1600m)

 好位を追走したソダシが直線で豪快に抜け出し、ファインルージュに2馬身差をつけて快勝しました。これで3つめのGIタイトルです。前後半46秒3-45秒9というGIにしてはゆるい流れ。にもかかわらず、馬群がバラけて縦長となったため、中団以下につけた馬たちはほぼノーチャンス。先行馬同士の決着となりました。

 ソダシの上がり3ハロン33秒4は自己最速。これまでは粘りが身上の馬というイメージがあったのですが、決め手を要求されるレースで楽勝したのは馬が充実している証拠でしょう。父クロフネ、母ブチコ、母の父キングカメハメハ、2代母シラユキヒメはすべて金子真人さんの持ち馬(法人名義を含む)。白毛の祖であるシラユキヒメにさかのぼるファミリーは活力旺盛で、土曜日の京王杯スプリングCを勝ったメイケイエールもその一頭です。

 父クロフネは今年の3歳がラストクロップなので、ソダシは最後から2番目の世代となります。種牡馬としては最晩年だったので、ソダシの世代は血統登録頭数がわずか25頭でした。クロフネはブルードメアサイアー(母の父)としても定評があるので、いずれソダシが繁殖牝馬となれば、このファミリーの勢いもあいまって優れた仔を出すのではないでしょうか。

◆今週の血統Tips

 ディープインパクトは現時点で日本ダービーを7勝、オークスを4勝しています。その父サンデーサイレンスは、ダービー6勝、オークス3勝ですから、この両レースの合計勝利数は史上1位です。

 ディープインパクト産駒が初めてこの両レースに挑んだのは2011年のこと。東日本大震災が起こった直後の、少し暗い世相のなかでした。まず、オークスには6頭の産駒を送り込みました。フルゲート18頭の3分の1です。しかし、1番人気に推されたマルセリーナを含めて1頭も馬券圏内に入れませんでした。翌週の日本ダービーは4頭。こちらも揃って討ち死にです。合計10頭出走して1頭も馬券に絡めなかったのですから、ディープインパクト産駒は東京2400mが苦手なのではないか、という説が流布されたのも致し方ありません。

 しかし、いまになってみれば、単なる早とちりだったというべきでしょう。翌2012年はジェンティルドンナがオークスを、ディープブリランテが日本ダービーを制し、両レースともリベンジを果たしました。そして冒頭に記したように、現在までに日本ダービーを7勝、オークスを4勝し、史上最高の実績を残しています。若い種牡馬を評価するときは3世代の産駒を見る必要がある――というのは個人的な持論です。早い段階で乏しい材料をもとに判断を下してしまうと、いいことはありません。

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2022/5/16 22:00

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