夜の店のトイレでは珍事件が多発。扉を開けると新人スナック嬢が…

◆夜の店のトイレで起きた珍事件

 神奈川県のコンビニなどでトイレ公共化の動きがある。だが、ネット上では掃除の負担増や客のマナー問題から懸念の声も見られる。

 コンビニに限らず、客のトイレ利用にまつわるトラブルは少なくないのである。では普段、酒に酔った客にトイレを貸し出しているキャバクラやホストクラブなど、夜の店ではどうだろうか。

 夜の店のトイレ事情について少し説明すると、キャバクラでは黒服のアルバイトが掃除や備品の買い出しを行う。一方、スナックではママやスタッフが掃除をする。ホストクラブに関しては新人ホストの仕事はトイレ掃除から始めるのがしきたりである。

 キャバクラでは男女別で別れているが、スナックや小箱のクラブではトイレは1つしかなく、男女共用のことも。そのため、トラブルや仰天事件が起こることも多い——。

◆1つしかないトイレに客が籠城

 都内のスナックに勤務するナオさん(仮名・26歳)に話を聞いてみた。

「1つしかトイレがないと、お客さんに占領されてしまうと困るんですよね。前に、お客さんが飲みすぎてお腹を壊しちゃったことがあって、長い時間トイレにこもっていたんです。ようやく出てきたので中に入るとものすごい悪臭が……。

 消臭スプレーを撒いても全然とれないので、しばらくドアを開けて換気していたんです。すると店内中に臭いが充満して、他のお客さんも『なんかクサくない?』とザワつき始めたんです。でも、さすがに『あのお客さんが……』とは言えなかったので、『ごめん、私がさっき入ったからかも~(笑)』とごまかしました」

 また、別の日にはこんなこともあったという。

◆扉を開けると衝撃の光景が

「体験入店で働きに来た子なんですが、普段はあまりお酒を飲まないと言っていたのにお客さんとゲームをしていたんですよね。負けたほうが飲む、みたいな。

 お客さんには『弱いみたいだから、あんまり飲ませないでね』と言っておいたのに、その子は『全然、大丈夫です! まだまだイケます!』と焼酎のロックをがぶ飲み……。しばらくすると、トイレに駆け込んで出てこなくなったんです。他にもトイレを待っているお客さんがいたので、何度もノックしてようやくドアを開けてもらいました。

 すると、そこには吐瀉物まみれになって潰れている新人の姿が……。トイレは詰まっていてとても使える状態じゃない。週末で忙しく、女の子が全然足りていないので、掃除をする余裕もなくって。トイレは営業後に掃除することにして、酔い潰れた新人の子はキッチンで寝かせることに。お客さんには平謝りして、トイレは隣のスナックで借してもらうことになりました。隣のスナックのママには感謝しかなかったですね」

 トイレが1つしかない場合、このようなトラブルは「割とある」とナオさんは語る。

◆新人ホストのトイレ修行

 だが、これが男女逆となるとまた状況も変わる。前職はホストクラブで働いていたリュウヤさん(仮名・28歳)は、新人ホストの頃に体験したトイレでの苦い思い出を語った。

「トイレ掃除は新人の仕事なのですが、中でも大変だったのは備品の買い物でしたね。綿棒、オーラルケアグッズはもちろん、女性客が使う生理用ナプキンも買いに行かないといけないんです。

 先輩ホストに『ナプキンも買って来いよ』とだけ言われて、どれを買えばいいのか分からず適当に買ったら『お前、これ羽つきじゃねーじゃん!』とめちゃくちゃドヤされたことがあります」

◆便座のない状態にホールイン!

 また、使用するたびに忘れてはいけないのが女性客への気遣いだという。 

「男女共用だったので、女性のお客さんのために便座を毎回下ろしておかないといけないんです。用を足した後に入れ違いでナンバー1を指名しているお客さんが入ってきた。酔った勢いで飛び込んできたので、便座のない状態に座ったものだから見事にハマってしまい……。店中にお客さんの絶叫が響き渡りました。お客さんには笑って許してもらえましたが、その後ナンバー1に呼び出されてこっぴどく怒られましたね……」

 これが逆にスナックやクラブとなると、男性客のために便座を上げておかなければならない。普段、我々が何気なく使っている夜の店のトイレ。常に気持ちよく用を足せるのは、従業員の細かな気遣いや苦労があるということを忘れないようにしたい。

<取材・文/カワノアユミ>

【カワノアユミ】

東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウントは @ayumikawano

2022/5/14 15:54

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