夫が「しない?」と誘ってきた。私のルックスにムラッと来たに違いない

かつて夜のお店で働いていたときのことでした。席についた初見客の男性と話が盛り上がっている最中、しみじみとその男性客が言ったのです。

「君は、ちょっとだけ惜しいっていうか、あとちょっとどうかしたら、ものすごく可愛くなると思うんだけど……」

そこで湧いたのは「なんて失礼な!」という憤慨ではなく「正直かよ!」と妙に愉快な気持ちであったのは、「ものすごく可愛くなる」というのは「いまもそこそこに可愛い」という意味も含まれているようなニュアンスがあったことと、「めちゃ可愛い」「すごく綺麗」とまで言われたら、嘘くさいと感じてしまうわたしの自意識と、うまいこと重なったからだと思います。

あるときから、男性に口説かれる場合に、ルックスを褒められるよりも、やっていることや性格、仕事の成果といった“中身”のようなものを讃えられたほうが嬉しいと思うようになりました。むしろ「可愛いよね」とか「綺麗ですよね」なんて言われた際には「ああ、知ってるんで~!」と塩味たっぷりに返していた時期もあり、それは「適当にガワだけ褒めてんじゃねーぞこのヤロウ」という考えが根本にあったからです。いま思えばなんと穿っているのだろうと思うのだけど、とにかくわたしは、ルックスに惹かれて寄ってくる男は、蹴散らして当然という妙な気概を持っていた。

しかし、もちろんルックスを褒められるのがまったく嬉しくないというわけでもない。わたし自身、「もうちょっと可愛く生まれたかった」「美人といわれるルックスの持ち主であれば……」とも思っているところもあり、ゆえに可愛いとか綺麗とか言っていただけるのは、場合によってはすごく嬉しいことでもある。

ルックスを褒められるのが嬉しい場合

その場合というのは何かというと、ひとつが「同性にルックスを褒められる場合」で、もうひとつは「わたしの中身に好意を抱いているらしき異性に、外見“も”褒められる場合」、そしてもうひとつは「とにかくルックスがドンピシャに好みの異性に、褒められた場合」のおおよそ三つのパターンなのです。一つめ、二つめはともかく、三つめはどうなんだと自分でも呆れるのは、ようするに「ヤリたい」と思う男性から褒められるのは、悪い気がしないということ。わたしもまたルックスで発情するという意味で、まったく同じ穴の貉です。

美容室に行ったあとの夫の反応が…

というわけで先週に続いてダイエットの話に戻りますが、ちょっと痩せた後、美容室に行って夫に「髪の毛を切ったんだけど!」と報告したところ、わたしの顔をじっと見つめた後、「しない?」と誘ってきたから、あれはおそらく、わたしのルックスにムラッと来たに違いない。もう十年以上も一緒にいて、よくよく中身を知った間柄であっても、「したい」と思う発端はルックスなのだなぁと感心すると同時に、愛情と性欲は別のところにあることを深い再確認した次第です。

Text/大泉りか

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  • 5/14 11:00
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