サウナ×瞑想で究極のととのい。涅槃の果てまで飛ばされた「寺フェス×寺サウナ」体験ルポ

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◆お寺は日本のサウナ発祥の地

 今年も、サウナがアツい。

 京急川崎駅からほど近い瑞龍山宗三寺にて、【アウトドアテントサウナ】×【お寺での瞑想】×【縁日やプロレスなどの催し】という、まったく新しい形のイベント「寺フェス」が1月15日と16日の2日間にわたり開催された。

「寺フェス」の主役は、なんとっても寺の境内を贅沢に使って堪能できる「寺サウナ」だ。2020年に日本サウナ大賞を受賞したサウナー垂涎のイベント「寺サウナ」が今回、「寺フェス」とコラボレーションしたことにより、宗三寺にお目見えしたのである。

 そもそも「なぜお寺でサウナ?」と疑問に思う人もいるだろう。実はお寺は日本のサウナ(蒸気浴)発祥の地と言われ、食事、瞑想とともに蒸気浴は修行の一つだったとされている。

 サウナと言えばフィンランドのサウナやロシアのバーニャというイメージが強いが、日本にも長いサウナの歴史があるのだ。かつてお寺は地域の寄合や交流の場としても機能しており、お寺によっては浴室も一般開放されていたという。よってこのイベントは、昔の日本の風習を現代に蘇らせる画期的な試みとも言えるだろう。

 1月15日の東京の最低気温は、マイナス0.2℃。絶好のサウナ日和に本誌記者は寺フェスに参加。究極の“ととのい”を体験してきたので、詳述したい。

◆川崎駅前の喧騒を抜けると現れた非日常的空間

 品川駅から10分ほど電車に揺られ、降り立ったのは京急川崎駅。喧騒のなかを5分ほど歩くと、突如として現れたのが、今回の目的地である「曹洞宗瑞龍山宗三寺」だ。

 今回体験するのは「サウナ3時間コース(瞑想体験込)」、7000円。流れは以下の通りだ。

(1)サウナ体験(90分)
(2)瞑想・座禅体験(30分)
(3)有料・無料エリアで休憩(30分~)

 持ち物はタオル、水着、サンダル、ポンチョなど。有料レンタルもあるが数量限定なので、これらを持っていない人は事前に「手ぶらセット」を予約しておくと安心だ。

 宗三寺に入りまず目に飛び込んできたのは、テントサウナに水風呂、五右衛門風呂、そして1月の寒空のもと水着にもかかわらずホクホク顔で歩く人々だった。サウナスペースの横には簡易こたつや焚火が置かれ、それぞれ鍋をつついたりBBQを楽しんだりしている。

 そのさらに奥にはまるで縁日のように屋台が並び、ラーメンや鮎の塩焼きなどを頬張る人でごった返していた。しばらくして始まったのは、なんと路上プロレス。雄たけびを上げるプロレスラーの姿と、厳かな雰囲気漂う境内とのギャップがなんだかおもしろい。

◆ロシアから上陸した最強のテントサウナ

 いよいよお待ちかねのサウナタイムが訪れた。係の人に連れられて宗三寺を巡り、各場所の説明を受ける。そして早速水着に着替え、サウナ体験だ。

 サウナエリアには真っ黒なテントサウナが4つ並んでいた。使用しているのは、昨年日本に上陸したばかりのロシア産テントサウナ「TERMA(テルマ)」なんだそう。

 テントサウナは初体験だったが、結論から言えば想像していたより遥かに熱かった。

「今、テントサウナの中は100℃を超えています。お好きなタイミングでロウリュしてください」

 とサウナに薪を供してくれる専属スタッフに促され、中に入ってみる。

 滝のように汗が噴き出してくる。サウナストーンに水をかけると、ジュワっとなんとも小気味のいい音が。上からゆっくりと降りてくる蒸気に包まれ、さらなる発汗が促される。言いようもない心地よさだ。

 テント内には香草を束ねた榊が置かれており、水をたっぷりと含ませて身体を叩く。添えてあるアロマ水もユーカリやシダーウッドアトラスなど、各テントで異なる香りを楽しめるとのこと。その爽やかな芳香は、サウナにいながらまるで森林浴をしているかのようだ。

◆10℃以下に冷えた水風呂にダイブ!

 サウナと言えば、温冷交代浴。大切なのは水風呂だ。簡易プールに水道水を入れただけというが、これがまたキンキンに冷えている。

 お墓参りで使う手桶で少しずつ冷水を体に馴染ませる。最高だ。肩までどっぷりと水風呂に浸かると、気分スッキリ、雑念消滅。脳内には快楽物質が溢れ出た。

 水風呂からあがり、リクライニングチェアで休憩をとる。1月の寒空にもかかわらず、体はポカポカだった。

 ふと横を見ると、シンギングボウルによるヒーリング体験が行われている。別途予約が必要とのことだが、寺フェスではテントサウナ内でヴィヒタ(白樺)を使った話題のトリートメント、ウィスキング体験もできるらしい。

 極寒の中での鉄湯舟、五右衛門風呂体験もおもしろい。温冷交代浴の合間にしっぽりと嗜むと、より穏やかな「ととのい」が得られた。

◆「文殊菩薩による励まし」をいただく瞑想タイム

 セルフロウリュができる熱々のテントサウナからの極寒シングル水風呂。体が求めるままこれを繰り返し、境内でのゼロ・グラビティチェアによる外気浴。そして、五右衛門風呂――とてつもなく贅沢な時間を過ごしていたら、あっという間に90分が過ぎた。ここからは、いよいよ瞑想だ。

 住職から簡単な説法があったのち、まずは座禅の組み方を学ぶ。右足を左の腿の上に、左足を右の腿の上に乗せて両足を組むのが正式な形らしいが、足がつりそうになったのですぐさま断念した。

 しばらくすると、住職が警策をそっと背中に当てて姿勢を正され、肩をピシャっと叩かれる。警策で叩くのは罰ではなく、「文殊菩薩による励まし」という意味があるらしい。

 目を閉じ、呼吸に集中する。こんなにも心静かになったのはいつぶりだろうか。住職は言う。

「自分ただひとりと向き合う時間。こんなに贅沢な時間はありません」

 外に出ると、すっかり日は暮れていた。「竹あかり」という新しい日本の工芸アートでライトアップされた境内が、幻想的で美しい。

 サウナ、瞑想体験のあとは、全国から集結したというよりすぐりのサ飯をいただく。周りを見ると、皆が穏やかな笑みを浮かべ、思い思いに語らっている。暗くなっても子どもたちは元気に境内を駆け回り、ときおり嬌声が上がる。

◆2日間で5000人が集まった

 イベントの物珍しさから足を運んでみた記者だったが、正直、その魅力にすっかり参ってしまった。サウナや水風呂が気持ちよいのはもちろん、満たされた気持ちに包まれたのだ。

 この「寺フェス」自体、サウナ好きの間で開催前から話題になっており、チケットは完売という人気ぶり。運営の高瀬加奈さんはこう語る。

「お寺の境内でテントサウナや水風呂、外気浴を楽しみ、そのあとで瞑想に耽る。すると“ととのいの相乗効果”が生まれ、とてつもないリラックス効果が得られます。今回の寺フェス開催を通じて寺サウナを多くのお客様に知っていただけたのは、大きな収穫でした。

 宗三寺の住職直々の“サウナ説法”も好評で、お寺というサウナの聖地への没入感に浸りやすいプログラムを組めたと思います。何より、寺フェスとしてサウナだけでなく屋台や縁日を催すことでサウナに入らないお客さんもたくさん足を運んでくださり、結果、2日で5000人近い人が集まりました。寺サウナの立ち上げ当初から、『コミュニティとしてのお寺の復活』を目指していたので、人がたくさん集まって楽しそうに過ごしている姿を見るのは何より嬉しかったです。ありがたいことに、『ウチでもやれませんか?』と他のお寺からもオファーをいただけて。励みになりますね」

 そんな寺フェスだが、次回は3月を予定。早くも準備に取り掛かっているという。

「3月12日、13日に川崎の宗三寺で予定しています。チケットが完売してしまったので、次回はテントサウナを増設して臨む予定。詳細はこれから詰めていきますが、寺サウナのSNSや寺フェスの公式LINEを通じて逐一発表していきますので、ぜひチェックしてください。究極のととのいを感じていただけると思います」

 忙しい都会の毎日に、ひとときの週末オアシス。至高のマインドフルネスを、ぜひ皆さんも体験してみてほしい。

取材・文/桜井カズキ 撮影/ヤナガワゴーッ! 取材協力/寺フェス実行委員会


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