娘のがん克服をきっかけに募金活動を始めた夫妻、40年間で寄付総額約1億5千万円に(英)

英ウェールズのニューポートに住むマイク・ロックさん(Mike Locke、90)と妻のブリジットさん(​​Bridget、88)は40年前、当時18歳だった娘のサリー・ケイさん(Sally Kay、59)ががんを克服したことをきっかけに募金活動を始めた。

がんの研究費としてこれまでに総額95万6000ポンド(約1億4900万円)を寄付してきた夫妻だが、マイクさんはこの活動を始めた時のことをこう明かしている。

「1982年、末娘のサリーががんに侵されました。まだ学生だったサリーはロンドンの病院で素晴らしい治療を受けた結果、がんに打ち勝つことができました。最後の手術と化学療法を終えて家に帰る途中、サリーは『私はとても運が良かった。何かお返しができたらいいのに』と言っていて。それで何かできることはないか考えて、募金活動を始めることにしたのです。」

またブリジットさんは「募金をするのは私の血筋だと思います。戦時中でも幼い頃からよく募金をしていて表彰されたこともありましたから」と話す。

その後、マイクさん夫妻はスーパーマーケットでの募金活動や朝食会、ゴルフイベントの開催、ラッフル(慈善福引)などを通じて寄付金を集めた。

30年前にマイクさんが退職してからはフルタイムでこの活動に専念しているそうで、マーマレード作りに夢中になったマイクさんはこれまで2000個以上を販売してきたが、それもすべて寄付のためだという。

そんななか、2007年にはがん研究への貢献が認められたマイクさんに大英帝国勲章(MBE)が授与された。

「エリザベス女王が与えてくださったMBEは、私だけのものではありません。これはマイクのM、ブリジットのB、協力してくれたみなさん(Everyone)のEです。私はこの活動を楽しんでいます。何かの役に立つことができるのは本当に楽しいですよ。いいことをしたと実感できますし、目的を持つこともできます。お金をもらわずに仕事をしているようなものですね。最初は50万ポンドを超えたらペースを落とそうと思っていたのですが、そのまま続けてしまいました。」

そう語るマイクさんだが、この2年間はパンデミックのせいで以前のような活動ができなかったという。それでも夫妻は今年7月までに44000ポンド(約680万円)を集めて寄付総額100万ポンド(約1億5600万円)を達成することを目標にしているそうだ。

「パンデミックは私たちの募金活動に大きな影響を与えました。しかしパンデミックが去った後もがんはなくならないでしょう。数年前、私は募金金額をグラフにして90歳の誕生日までに100万ポンドを達成するように計算しました。年間1万5000ポンド(約234万円)を集める予定だった大きなゴルフイベントは中止せざるを得ませんでしたが、7月に予定しているイベントが開催できることを願っています。」

それに対し、がん研究慈善団体「キャンサー・リサーチ(Cancer Research UK)」のソフィー・バッソン氏(Sophie Busson)は次のように述べている。

「マイクさん一家が成し遂げたことは驚異的なことです。彼らの献身的な努力により科学者たちはがんの予防、診断、治療のための新しい方法を見つけることができるでしょう。本当に感謝しています。現在、2人に1人が一生のうちにがんになると言われています。マイクさんのような人のおかげで、より多くの人ががんを克服することに一歩近づくことができるのです。マイクさんのこれまでの功績に深く感謝し、今後の活躍にも期待しています。」

画像は『WalesOnline 2022年1月10日付「Inspiring couple on cusp of raising £1m after decades of charity work」(Image: Mark Lewis)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 上川華子)

2022/1/17 7:00

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