予測通り発生し、予測を超える規模となるオミクロン株の第6波

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―[コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」]―

◆世界で猛威を振るうο(オミクロン)株Surge

 2021年11月24日に配信した拙稿「コロナ第6波はすでに始まっていた!統計から導かれる事実 | 日刊SPA!」および11/15放送の文化放送、大竹まこと ゴールデンラジオ!「大竹メインディッシュ」にて、筆者は「極大期がδ株の再燃であるか、新たな変異株によるものかは執筆時点でデータが無く不明であるが、既に本邦ではδ株Surgeの再燃によって第6波エピデミックSurge(うねり、波)が始まっており、その極大期は1月下旬から2月である。但し、極大期の規模は分からない。ワクチン接種率と接種後の経過時間を考えると恐らくδ株Surge程にはならないのではないか。」と本邦における第6波エピデミックSurgeを予測しました。

 その後、11月中には一旦第6波エピデミックSurgeの拡大が鈍りましたが、11月末から再度拡大に転じ、12月には全国で第6波エピデミックSurgeの拡大が特に人口の多い都道府県で見え始めました。

 この時点では、主たる地位を占める(ドミナント)株は、統計の挙動からδ株またはその変異株であったと考えられます。

 奇しくも拙稿の発表日である11/24に、南アフリカ共和国(南ア)から、極めて憂慮すべき新たな変異株の発見が報告され、世界保険機関(WHO)は、直ちに緊急会合を開き、この新たな変異株をο株(オミクロン株)と命名、懸念すべき変異株(VOC)としました。このときは、BBCワールドニュースで連日午前1時からWHOによる記者会見が同時通訳付きで放送され、事態が極めて憂慮されるものであることが実感出来ました。

2021年10月頃から、北半球の多くの国では、δ株*による夏の再燃という形で季節性のエピデミックSurgeが発生していましたがο株は、侵入から数週間程度でδ株を駆逐してドミナントとなり強烈なエピデミックSurgeを発生させています。これは本邦も同じです。
<*本稿ではAY.29などのδ株系変異株もδ株と表する>

 ο株は、第一世代COVID-19ワクチンとモノクローナル抗体治療薬を回避する進化を遂げており、一部の抗原検査試薬・キットも回避するために特にワクチン偏重政策(ワクチン一本足打法)を採用してきた国々では防疫の根本からちゃぶ台返しされた形となり、CNNやBBCでは「帰ってきたCOVID」と報じられる有り様でした。帰ってくるのはウイルスでなく赤いストライプが入った白銀の巨人であってほしいものです。街中で暴れられるのはどちらも困りますが。

 11月中旬時点での筆者の予測はほぼ的中していますが、残念ながら、筆者の予測を遙かに上回る威力のο株の発生によって第6波の社会的影響と脅威度は、第5波を遙かに上回るものとなります。

◆世界の統計でο株Surgeをみる

 ο株Surgeは、これまでのパンデミックと異なり、非常に特異的です。それは、拡大速度が立ち上がりでδ株の10倍ときわめて速く、南アを見る限り収束区間も含めてδ株の2〜3倍と早く変化することと極大値がδ株Surgeを上回ることです。

 昨秋には、さすがにδ株を上回る感染性の強い株はもう現れないだろうと言われていただけにウイルスの進化は、人間の都合など関係ないことを思い知らされることとなりました。δ株は、水疱瘡と同程度の感染力とされていますが、ο株は麻疹を上回る感染力とされ、最強の感染力を示すとされています。

 7日移動平均の片対数表示でフランス、英国、合衆国、南ア、日本、インドネシアにおける百万人あたり日毎新規感染者数をグラフ化すると、南アで11/16から突然新規感染者数が大きく増加に転じており、ちょうど1カ月後の12/16〜18にかけて極大値(7日移動平均で390ppm、Raw DATAで12/12に630ppm)となって減衰していることが分かります。

 南アでは、δ株Surgeでは330ppm(ピーピーエム;百万分の一)が7日移動平均での極大値でしたので、ο株Surgeはδ株Surgeを上回っています。米英欧では、α株やδ株Surgeの10倍前後の極大値になりそうです。

 また南アにおいてδ株Surgeが始まって極大値になるに要した期間は、4/9〜6/8でちょうど2ヶ月間です。対してο株Surgeは、半分の期間で極大に達したことになります。

 12月にδ株Surgeからο株Surgeへドミナントが移行した多くの国では、ο株Surgeの立ち上がりと極大の期間を評価することがやや難しいのですが、英国でもほぼ1カ月でο株Surgeが立ち上がりから極大に達したとみられます。

 合衆国でもニューヨーク州やコロンビア特別区(ワシントンD.C.)を筆頭に東海岸では1/9以降に極大に達した可能性が高く、やはり立ち上がりから1カ月程度でο株Surgeは、極大に達したものと考えられます。

 従って本邦では、合衆国同様に地域差が大きいのですが、例えば沖縄県では統計上ο株Surgeが始まったのがクリスマス前の12/20頃と評価出来ますので早ければ1/20頃までには極大に達すると考えられます。

 その他の地域も1月下旬から2月上旬にかけて順次極大に達し、減衰してゆくと考えられます。日毎新規感染者数の極大値は、地域性が強く表れ、δ株Surgeに比して数割増から10倍程度になると考えられます。

 なお、まだ基礎的なデータが十分に揃っていませんのであくまで南ア、米英欧の先行例からの予測となります。

◆「オミクロン株は重症化しない、死なない」は本当か?

 次に死亡統計を見ます。ο株は、そんなに重症化しない、死ぬことはないという裏付けのない風聞をパニックに陥った米英の保健当局者が発言してきた為もあって「ο株はたいしたことない」という風評が定着してしまいました。しかしこれには科学的に誤ったものや根拠の乏しいものが多いです。

 ο株Surgeでは、重症者=入院者の率はδ株Surgeに比して1/2〜1/3になっている可能性があります。これはο株の病原性が弱くなったためなのか、第一世代COVID-19ワクチンの接種率が高く、英米では3rd-Shot(「ブースター」と呼ばれている)も急速に進んでいるためなのかがまだ分かっていません。

 さらに死亡者に至っては、漸く初期の感染者の死亡が統計に表れているに過ぎず、まだ殆ど見えていません。ο株Surgeでは、その急峻且つ巨大なSurgeの為に保健医療が圧倒され、BBC報道中での解説によると英国では、新規感染者統計に死亡統計は35日と大きく遅行しているとされています。

 実際、南ア、英国に続き合衆国でも入院者が激増しており、特に子供の重症化が目立ちます。加えて死亡者の急増が1/6から見えています。但し死亡者の増加については、まだ12月初めのδ株感染者によるものであり、ο株による死者はこれから現れます。

 ο株による入院「率」は、確かにδ株の1/2〜1/3とみられますが、感染者数が国や地域によってはδ株の10倍に達する勢いであり、既に米英では医療が限界に達しつつあります。仮に個人にとっては、ややマシであったとしても社会にとっては保健医療と社会そのものへの圧力がδ株と同等かそれ以上となり、大きな脅威です。

 次に各国のゲノムサーベイランスについて統計を見ます。ゲノムサーベイランスの確定値が出るまでには本邦ではおよそ8週間前後を要しますので、現時点では、暫定速報値ですがο株とδ株の占める割合が報告されています。南アでは11月中旬にο株がドミナントになったと考えられます。

 米英欧では、クリスマス前からクリスマスにかけてο株がドミナントになったと考えられます。δ株Surge以降、似た推移を示している謎々効果(Factor X)覆域*でのδ株対応大失敗国である本邦、インド、インドネシアでは年末年始にかけてο株がドミナントになったと考えられます。
<*COVIDー19、感染拡大! 日本の統計がすでに破綻している、これだけの理由2021/8/18牧田寛 日刊SPA!:一部修正があり、δ株Surgeでの観測結果から、謎々効果によるSurgeの抑制は、日毎新規感染者数100ppmを超えても存在し、概ね1/10程度にSurgeの規模を抑えていると評価している>

◆国内統計でο株Surgeを見る

 次に本邦の統計を見ましょう。ο株Surgeは、本邦の空港検疫には大穴が空いているという世界で本邦のみの致命的欠陥*から主として成田、羽田、中部国際、関西各空港から市中へο株感染者が流れ込んでいます。
<*東京五輪ウガンダ選手団から陽性者続出。日本の空港検疫はどうなっているのか? 2021/06/25 牧田寛 日刊SPA!>

 加えてο株Surgeでは、在日米兵による持ち込みが市中感染を広げ、沖縄、山口、広島で先行して大きなSurgeが発生しています。

 日本全体では、クリスマス前後からδ株Surgeがο株Surgeに入れ替わり日毎新規感染者数が激増しています。連休効果で最新統計が過小評価となっていますが、既に67ppmを超える日毎新規感染者数となっており、大きな介入がない限り今週中に100ppmを超えてδ株Surgeの最大値を超えると予測されます。

 日本全体では倍加時間(感染者数が2倍になる時間)が2日未満と、δ株Surgeの10倍の増加速度となっています。この急激な立ち上がりを筆者は「コブラヘッド」と表現しています。現在、47都道府県全てでコブラヘッドが現れています。

 沖縄県では、12/20頃からδ株Surgeがο株Surgeに入れ替わり日毎新規感染者数が激増しています。連休効果で最新統計が過小評価となっていますが、既に1000ppmを超える日毎新規感染者数となっており、既にδ株Surgeの最大値の二倍となっています。

 沖縄県では倍加時間(感染者数が2倍になる時間)が2日未満と、δ株Surgeの10倍の増加速度となっています。

 沖縄県では、今後10〜14日で極大値となり、減衰に向かうと予想されますが、困ったことに1/9以降、検査飽和、統計崩壊が始まっており*、すでに1/9以降の統計はそれ以前の統計より大幅な過小評価になっていると考えられます。δ株Surgeでも極大値の2〜3週間前に厚生労働省が検査抑制の号令をかけるまでに追い込まれ、8月1日に全国で統計が壊れました。統計が壊れると現状把握と短期予測すら困難になります。これが第3波以降毎回繰り返されています。
<*那覇市保健所の疫学調査 業務ひっ迫で9日から一部取りやめ2022/0109 NHK沖縄>

 結果、沖縄では悲観的には再来週までに10000ppm(1%)越えもあり得ましたが、この先実態は見えなくなっています。勿論、さすがにそこまで無茶な数値は出ないとも考えられ、精々数千ppmで飽和する可能性が高いと考えています。これも統計崩壊で見えなくなります。

 広島県では、12月に入り検査不足で検出下限が3ppm程度と高すぎるために実態が見えなくなっていましたが、12/22頃から倍加日数2日未満のο株Surgeが始まりました。1/10現在で300ppm近くになっており、δ株Surge(第5波)の最大値を上回っています。このまま介入が無く、検査が飽和しなければ今週中に500〜1000ppmを超えると考えられます。

 広島県でも倍加時間が2日未満と、δ株Surgeの10倍の増加速度となっています。

 東京都では、12月20日から30日の間にδ株Surgeからο株Surgeに移行したと考えられます。

 1月9日現在、東京都では日毎新規感染者数が87ppmであり、倍加時間は、2日未満です。従って、このまま介入が無く、検査が飽和しなければ来週中に200〜1000ppmを超えると考えられます。

 東京都でも倍加時間が2日未満と、δ株Surgeの10倍の増加速度となっています。

 東北と北陸は、日本国内でο株Surgeの立ち上がりが遅い地域です。

 宮城県はその中でも最も遅くο株Surgeが始まった県で、1/2にο株Surgeが立ち上がっています。宮城県は、連休中の検査不足もあって筆者は1/8現在の13ppmを採用して評価しています。この値は、沖縄県の1/100です。

 宮城県も倍加時間が2日未満であり、このまま介入が無く、検査が飽和しなければ再来週に100〜500ppmを超えると考えられます。その後、2月初めに極大値となって減衰すると考えられます。

◆これからどうなるか、どうするか

 まだデータの蓄積が足りないので国際間の統計比較による推測が多く入りますが、南ア、英国、欧州、合衆国の先行事例と沖縄県の国内先行事例から、ο株Surgeは、発生から4週間で極大値に達すると予測されます。

 また、謎々効果による抑止効果を1/10とすれば最大値は百万人あたり日毎新規感染者数300〜500ppmと予測出来ます。これは昨夏のδ株Surgeを大きく上回る値です。但し、沖縄県で1000ppmを超えており、広島県も1000ppmに迫っていますので、一部の都道府県では米欧並みの1000ppmを超えるまで日毎新規感染者数が増える可能性があります。

 筆者は、現在極大値500ppm前後を採用して予測しており、これは最も悲観的な2000ppmより大幅に引き下げています。引き下げた理由は、海外の先行事例から1月末までには多くの都道府県で極大値に達し、減衰に転じると予測しているからです。

 本邦でο株Surgeは、δ株の10倍の速度で拡大が進んでおり、人間の対応が全く間に合いません。これは海外でも同じで、あっと言う間に交通機関や医療機関の労働者が感染し病欠となり、労働力の確保ができないということで社会と医療が機能不全を起こしています。

 このため合衆国疾病予防管理センター(CDC)がクリスマス明けに突如、無症状者は陽性判定後5日間で隔離を止めるという隔離ガイドラインの変更を行いましたが、これには医学的、科学的根拠が無く、CDCは激しい批判に晒されています。

 このガイドライン変更は、科学や医学的根拠の無い政治決定として合衆国では袋だたきですが、合衆国政府は、僅か数週間でそこまで追い込まれたと言えます。執筆時点で合衆国の1/4の病院では、労働力の確保ができず、危機的状態であると報じられています*。合衆国では、これまでに生じなかった規模で感染による労働力の枯渇が生じており、クリスマス休暇には1日千便以上の航空便が欠航となり、1日5千便近くが遅延するなど現在も物流と人流が大混乱し、学校も大規模な労働力問題が生じています**。
<*Coronavirus US: Nearly a quarter of hospitals are reporting a critical staff shortage as Omicron drives a rise in Covid-19 cases 2022/01/09 CNN>
<**Omicron surge leading to worker shortages across nation 2022/01/11 CNN>
 ο株Surgeは、短時間で社会の機能を破壊するという非常に厄介な特徴を持ちます。政治的に何らかの決断をせねばならないことも事実です。

 当初の、ο株はたいしたことは無いという風聞に反して、既に合衆国では医療が強い圧力を受けており*、死者数も急増しています。またο株Surgeの特徴として子供が多く感染し、入院しています**。
<**Covid News: U.S. Hospitalizations Break Record as Omicron Surges 2022/01/10 The New York Times>
<****Covid Updates: Number of Hospitalized Young Children Who’ve Tested Positive Is Jumping, C.D.C. Says 2022/01/07 The New York Times>

 また感染者はCOVID-19 Long-Hauler(長期COVID)となり、生活の質が大幅に低下する危険があり、これをトロイの木馬に例える疫学者も居ます。

 ο株Surgeは、日本などではδ株の10倍の速度で拡大しており、これまでの時間感覚では対応に失敗します。筆者は時速80キロの通勤電車がδ株Surgeであり、時速800キロのジェット旅客機がο株Surgeの速度であるとよく評しています。

 その一方で、1月下旬から2月上旬には極大から順次減衰に転じて、3月にはかなり落ち着くのではないかと筆者は予測しています。

 2022年1/11以降、大都市圏では数百人程度の集団でも空気感染の可能性が生じますので、KF94などの高性能マスク着用と換気は必須となり、勿論通勤電車でも換気と高性能マスク着用は必須となります。

 また100人規模の大人数の居る屋内での飲食も感染の危険がありますので寒いですが入試などでは、厚着をして屋外で社会的距離を確保の上で飲食すべきでしょう。勿論、2月中旬までの一月はリモート就労であることが強く勧められます。

 極大期となる再来週以降、二月上旬までは、数十人規模の不特定多数の人で構成される集団は原則として避けるべきです。

 筆者は、大学入試共通試験と国公立大2次試験はかろうじて実施可能と評価していますが、私大入試は労働力確保と受験生の欠席率で非常に厳しいことになると考えています。

 一方で、現在の統計を見る限り、δ株以前のように3ヶ月間社会が混乱することは無く、その半分の期間で済むのではないかと考えています。

 ワクチンパスポートは、ο株では全く無意味です。第一世代COVID-19ワクチンは、ο株に対して感染回避有効性が非常に低く実用の域で無いことが分かっています。一方で、最新のCNN報道によると合衆国の統計では、入院者の大部分は非接種者という結果が出ており、重症化回避の有効性は対δ株よりは大きく劣っていても実用の域にはあるようです。

 このようにο株Surgeでは、米英欧の事例を本邦の2週間先行事例として大いに参考に出来ます。これから1カ月、海外情報と統計に学び、できる限り用事は3月以降に延期して閉じこもることがο株Surge対策の基本です。

 そしてこれが大切です。「ウイルスには、人間の都合など関係ない」。
 希望的観測は一切捨て去り、防疫は、数字(統計)に始まり数字(統計)に終わります。数字の裏付けがない風聞は相手にする必要はありません

<文/牧田寛>

―[コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」]―

【牧田寛】
まきた ひろし●Twitter ID:@BB45_Colorado。著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

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