メタバース大注目なのに? アバター作成サービス「Vカツ」終了の衝撃

最近話題の仮想世界メタバースなどで、自分の分身として使う「アバター」。そのアバターを簡単に作れるサービスの先駆けだった「Vカツ」がサービス終了になることが1月13日に発表され、激震が走っている。

運営会社シスによると、6月のサービス終了以降、Vカツで作ったアバターは使えなくなるという。「ネット上の分身」に突然の終了カウントダウンを突きつけられたユーザーたちからは、驚きの声があがっているのだ。(文:昼間たかし)

誰もが自分の「分身」をつくった

「Vカツ」は2018年7月に始まった。YouTube配信など様々な用途・プラットフォームで使える「アバター」を簡単に作れるサービスの先駆けとして、多くのユーザーを獲得した。

いまでは競合サービスも出てきたが、黎明期にあって「Vカツ」の衝撃は大きかった。理想のアバターを作成してSNSにアップロードする人も広く見られた。「バ美肉(「バーチャル美少女受肉)」という言葉が盛んに使われるようになったのも、「Vカツ」が登場した時期だ。

現実世界では冴えないおっさんでも、美少女VTuberになれる。さらには異性どころか、人間以外の「ファンタジー世界の種族」にもなれる。そんな「バ美肉」への注目度は極めて高かった。

それを気軽に体験することのできるツールとして「Vカツ」は圧倒的な人気を集めたのである。

しかし、それだけに、この終わり方は残念である。運営会社はサービス終了後、Vカツで作ったアバターの利用を不可とし、他プラットフォームへ転送したアバターの削除も求めている。

VR世界の住人にとって、アバターは決して単なるポリゴンではない。仮想世界の「もう一人の自分」なのである。アバターを使ってネットで交流していると、他の人達からも、そのアバターが「○○さん」として認識されるようになる。それを、いきなり「消せ」と言われれば、仮想世界でのこととはいえ、自分自身を否定されたように感じるのではないか。

よりによって、Facebookなどの巨大企業が相次いで「メタバース」への参入を発表している、このタイミングである。

もう一人の自分は常識になるのか

ただ、実際にその世界で遊んでいる身からすると、VR世界は「まだまだこれから」という感じが強い。

VR用の機材は高価だ。そして、着けてみるとわかるが、あのVRゴーグルもすごく重い。筆者も自宅に機材を揃えて3年になるが、いまだにゴーグルの重さには慣れない。視野も狭く、双眼鏡を覗いている感じだ。

VR世界で楽しむ「コンテンツ」も増えてきてはいるものの、まだまだ少ない。そんなわけで、普及にはまだ時間がかかりそうな雰囲気が、筆者としてはしている。「Vカツ」のサービスは、その登場時期が早すぎたのかもしれない。なんとも残念な話だが……。

2022/1/13 20:05

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