転売ヤーたちの“レア抜き”が横行。0.001gの差でレアカードを見抜く脱法テクとは

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◆カード転売の陰にデジタルスケールあり

 最近0.1g~0.001g単位の精度のデジタルスケールが通販やディスカウントストアにて頻繁に売れているという。これから春先にかけての一人暮らしや結婚などの引っ越しシーズンに先駆けてキッチン用品の購入が行われているのかというと実はそうではない。このデジタルスケール、実は思いもよらない方向で使われているのだ。

 秋葉原で海外向けに販売代行を行っている筆者知人の中国人に話を聞いたところ、昨今の転売ブームによりカードゲームや食玩などのにわか転売勢が増えたという。すでに、増産や再生産なども頻繁に行われカードゲーム転売はやや下火なのだが、ニンテンドースイッチの転売失敗やプレステ5が相変わらず抽選購入という事もあり、簡単に参入できて場所も取らないカードゲームや食玩の転売が増えてきている。

◆カードゲームの世界に魔の手が…

 前述したように、カードゲーム転売は増産が相次ぎすでに転売価格はてっぺんを超え、緩やかに下限へと向かっているのだが、ネットでは「高額転売ができるカードゲームはこれだ!」などと言った転売を推奨する記事もいまだ多く、純粋なコレクターやゲームプレイヤーからのヘイトを集めている。

 さて転売とデジタルスケールがどう絡んでくるのかという事だが、鋭い読者はもう気が付いている事だろう。過去に、食玩のレア抜きなどで脅威となったデジタルスケールによるレア抜きが再び行われているのだ。

 精密なデジタルスケールは以前は工業用などの高価な物しかなく、過去に流行った時にはスケールを出してまでレアを抜くなんて面倒といった意見や、店舗によるスケールでのレア抜きお断りの札や警備員による見回りなどが行われ、デジタルスケールでのレア抜きは衰退していった。まあ、レアを抜いても今ほど高額で売れなかったと言うのもあるだろう。

 しかし、この食玩でのレア抜きが今ではカードゲームでも行えるとして、再び猛威をふるっているのだ。

◆レアカードは加工された分だけ重くなる

 2021年12月17日に発売開始された、「ポケモンカードゲーム ソード&シールド スタートデッキ100」。このポケモンカードのスターターデッキには、過去に高額となったキャラクターカードが新規カードとして封入されており、高額転売アイテムになっている。

 また、スタートデッキ100と言いつつ、すべてミラーカード(キラ加工されたレアカード)が入ったシークレットの101番が存在している。そのため、デジタルスケールに乗せると明確に重さの違いが判るのだ。レアカードはキラ加工された分だけ重くなるのでしっかりと違いが判るので、レアが出るデッキだけ抜いて、ノーマルデッキを転売して荒稼ぎしている転売ヤーもいるとか。

 店舗買取時もいちいちデジタルスケールで量っていないので、ノーマルだけ店舗買取に出して新たに新品を購入といった自転車操業に近い転売ヤーが買取を頼みに来るといったことも。

◆自宅でも行われるため防ぎようがない

 当然、一部のネットユーザーの間では話題になっているのだが、いまだ多くのコレクターやプレイヤーは気が付いておらず、新品購入できないので仕方なくレアだけ抜かれたスタートデッキを買っているのが現状。

 転売アイテムとなっている食玩やカードゲームなどは店頭で直接店員が渡すシステムになっている店舗も多いが、このデジタルスケールを使ったレア抜きは自宅でも行えるのが脅威。ランダム封入ボックスはカードゲームに限らず、様々な商品で行われている。

 レア抜きに引っ掛からない為にも怪しい転売には手を出さないようにしたいところだ。

<文/板倉正道>

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【板倉正道】

テクニカルライター。三才ブックスのマニア誌『ラジオライフ』にてガジェットや分解記事を執筆。買ったら使用前に分解するのがライフワーク

2022/1/4 15:54

この記事のみんなのコメント

1
  • いち(

    1/18 0:29

    カスカードに重り仕込んで転売ヤー懲らしめてほしいね。

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