女性から男性に、その後ホルモン治療を止めた27歳「女性にも男性にもなりたい」(米)

レバノン出身で女性として生まれたアリア・イスマイールさん(Alia Ismail、27)は、幼い頃から自分の性別に常に疑問を感じていた。男性と交際したことはあったもののうまくいかず、魅力を感じるのは女性だった。

16歳で身体と心の性が一致しないトランスジェンダーであることをカミングアウトしたアリアさんは、18歳になると髪を短く切って男性の服を好んで着るようになる。そしてカウンセリングを受け、2015年5月に21歳で男性ホルモン「テストステロン」の投与を始めると、自身をイッサ(Issa)と呼び、22歳で男性型の胸にするための乳房切除術(トップ・サージェリー)を受けた。

男性ホルモンを週1回のペースで服用し、女性から男性へのトランジション(性別移行)は上手くいっているように見えたが、アリアさんの心中は複雑だった。

「次第に顔に髭が生えて体毛が濃くなり、頬骨が張り出して筋肉がついたわ。体格が良くなり性欲が異常に強くなってね。そんな自分が恥ずかしいという気持ちもあり、男性に移行していく身体に心がついていけずに怖かった。自分の女性的な部分が全て押さえられてしまったことでストレスが溜まり、心から楽しむことができなかったの」と当時を振り返るアリアさん。悩み苦しんだ末、「これから一生男性ホルモンを投与し続けるのは身体にいいはずがない」と4か月間投与を止め、その後6か月間だけ使用すると、今年1月31日を最後にホルモン治療を止めた。

「自分は女性と男性の間の存在」と語るアリアさんは、6年近く続けたホルモン療法を止めたことについて次のように述べている。

「私にとって男性ホルモンの投与を止めたことは、性別移行を止める“ディトランジション”だったわ。私は髪を伸ばし、レーザーでムダ毛を除去し、女性のように化粧もした。ただそんな自分が魅力的だとは思えず、自分を受け入れることができずにつらかったの。」

「でも治療を止めて良かったことは、女性的な部分と男性的な部分の両方を上手く取り入れ、自分の好きなように表現することができるようになったことね。女性(She/Her)にも男性(He/Him)もなれたことが良かったんだと思う。この先はわからないけど、今の自分をジェンダー代名詞で表すなら女性と男性のどちらにもあてはまらない(They/Them)でしょうね。でもあえて性別を決める必要はないと思う。自分にプレッシャーをかけすぎず、幸せでいられればそれが一番だと思うわ。」

なおアリアさんは、これまでの経験をSNSに写真つきで投稿しており、そのなかでこうも語っている。

「SNSには、『あなたは何をしたって一生男性にはなれない』『もっと慎重にするべきだったのでは?』『醜い』など、嫌なコメントがたくさんあるの。でも私がディトランジションをしたからと言って、トランジションを否定するつもりはないし、後悔もしていない。今の私の声は以前と比べるとずっと低くて深みがあって好きだし、ネガティブなことばかりではないわ。大切なのは今の自分を愛することよ!」

そんなアリアさんには「こんな経験をした人はあまりいないだろうね。シェアしてくれてありがとう」「男性でも女性でも、どちらでもなくてもあなたは美しいと思う」「自分の気持ちに正直に生きていて羨ましい」「何年間も悩んだ末の決断。つらかったと思う」「私もディトランジション中。1人ではないと思って嬉しくなった」「なんて強い人!」「あなたを応援しているよ」といった声があがっている。

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画像は『A L I A / I S S A 2020年3月17日付TikTok「FTM TRANSFORMATION!」、2020年5月16日付TikTok「had to throw that trans twist lmao」、2020年12月9日付TikTok「Even I was grieving my old self.」、2021年11月26日付TikTok「this one’s for the folks with bullying behavior」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 A.C.)

2021/12/7 21:00

この記事のみんなのコメント

1
  • いち(

    12/8 11:09

    『大切なのは今の自分を愛することよ!』10代の頃に気づいていればよかったのにね。

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