GoToトラベル再開まであと少し。今すぐ予約してトクするコツ

<女性が一生、お金に困らないためのレッスン vol.13/経済評論家・佐藤治彦>

 2年にもわたるコロナのための自粛生活に疲れて、そろそろ旅行に行きたいと思ってる人も多いはず。

 今回は、去年の夏から冬にかけてのGoToトラベルキャンペーンに上手く乗れた方も、そうでない方にも知っておいていただきたい2022年版のGoToトラベルの話です。

◆GoToトラベル2.0はしっかり利用して得しないと損

 新・GoToトラベルとか、GoToトラベル2.0と呼ばれている経済対策です。ここではGoToトラベル2.0と呼びますが、この対策は、私たちが払う税金を使って行われます。もしも、旅行を計画しているのなら、しっかり利用して得しないと損ですよ。

 GoToトラベルを再び行うということは告知されても、その内容はまだはっきりと決まったわけではありません。決まったあとも業界や世論の動向で変更することもあります。それでも、今回前のめりで記事を書いたのは、賢く得するためにはちょっとした準備が必要だからです。

 まずは、いま発表されている時点での次回のGoToトラベルキャンペーンについてまとめておきます。内容は2021年11月19日午後2時現在の取材に基づく情報です。今後変更される可能性があることもご了解ください。

◆2022年に始まる予定のGoToトラベル、特徴3つ

 GoToトラベル2.0は次の特徴があります。

・時期は2022年2月ごろから

・週末よりも平日が有利になるような仕組み

・コロナワクチンを2回接種済み、PCR検査での陰性証明など、利用に条件がつく可能性あり

・中小の宿泊施設に多くの客が来てもらうような仕組み

 これらについて解説していきます。

◆各県などによる独自の援助に注目

 開始時期はコロナの感染状況やワクチン接種、経口治療薬の状況などを見据えてからの発表となっていますが、2月開始が有力視されてきました。旅行業界側からは年末年始の旅行需要が落ち着く1月12日ごろからを希望するとの声も強く聞かれます。また、一度決まったとしても、感染状況などで変更になることも十分考えられます。

 そして、注目なのが、そこまで待ってられないと、国主導の全国的GoToトラベル2.0の前に、すでに各県などが独自に行なっているGoToトラベル的な援助スキームです。全国で数百はあると言われ、それも県民対象のもの、一部地域対象向けのもの、全国対象のものと、さまざまです。

 緊急事態宣言が解除され、10月中旬以降は感染状況も落ち着いていることもあり、すでに近場の観光の旅行需要は回復基調にあります。

 例えば首都圏などでは、日光、鎌倉、秩父。近畿なら京都など、日帰りで楽しめる観光地はコロナ前を思わせるような賑わいとなっています。ただし、平日の回復はまだまだというのが実情。

 そこで、2022年のGoToトラベル2.0は平日利用を促進し、3つ目の中小の宿泊施設にもっとお客さんが来るような仕組みになる予定です。

◆昨年のGoToトラベルの仕組みとは?

 昨年のGoToトラベルの仕組みは、日帰りなら1万円、宿泊なら1人1泊2万円の援助額を上限に、実質半額(旅行代金35%分と15%分の商品券)にするというものでした。

 例えば、夫婦やカップルなど2人で宿泊することを考えると、2人で1泊4万円までの援助があるので、1泊8万円までの部屋なら、半額になったことになります。8万円の部屋に泊まると、部屋代が2万8000円の割引で5万2000円となり、さらに食事やお土産屋さん、多くのスーパーやコンビニなどでも使えた地域共通クーポン券という旅行期間中のみ使える商品券が1万2000円分もらえました。こうして合計4万円、お得になったというわけです。

 この地域共通クーポン券は汎用性(はんようせい)が非常に高く、筆者が東京で日帰り旅行に参加した時は、お土産などを買う必要もないので、地域共通クーポン券で帰りに家の近くのスーパーで食料品を買いました。

 地方に行った時には、観光地にあるドン・キホーテで激安商品を買い物し、マツモトキヨシでいつも使ってるサプリメントを買ったこともあります。北海道旅行の時は、マツキヨもドンキもなかったので、コンビニで仲のいい放送作家愛用のタバコを1カートン買って渡したらすごく喜んでくれました。別にお土産ばかりに使う必要もないのです。

 一方でビジネスホテルや旅館など、例えば1人1万円の宿泊施設では、宿泊代とクーポンを合わせても5000円得するだけでした。

 ということで昨年は、多くの利用者が考えたのが、この際、普段は泊まれないような豪華なホテルや旅館に泊まってみようということ。割安の中小宿泊施設はあまり潤わなかったというのが実情です。

◆2022年のGoTo、割引額は最高1万3000円との予測

 そこで、今回は、まずは割引額を最高1万3000円にすると言われています。

 このうち、3000円分は定額の地域共通クーポン券となり、平日は1日3000円、週末は1000円の定額制となる見込み。また、残りの1万円については、宿泊を伴う旅行代金の30%となる見込みです。さらに、宿泊のみの場合には、上限が7000円になると報道されています。昨年は35%でしたから、5%分引き下げることになります。

 例えば、去年のように平日に2人で8万円のホテルに泊まった場合でも、8万円の30%は2万4000円ですが、宿泊だけでは上限が1人7000円なので、割引額は1万4000円で、部屋代は6万6000円。さらに3000円分の地域共通クーポン券が2人分で6000円ということになります。

 もちろん、それでも、十分にお得なのですが、得する金額は2万円。地域共通クーポンを含んだ実質的な割引額は昨年の50%から25%となります。

 一方で、1万円のビジネスホテルに1人で泊まると、ホテル代は3000円割安の7000円、さらに3000円分の地域共通クーポン券がもらえるので、実質4000円。こちらは、昨年の50%よりも割安の60%引きとなるわけです。

 今回は、このように、身近な普通のホテルや旅館のほうが、割引率が高くなる仕組みとなります。また、週末はこの地域共通クーポンが1000円になるので、平日旅行のほうが得ということになるわけです。

◆キャンセルが効くもので、とりあえず予約を!

 宿泊数の上限はあるのか、ワクチン接種についての条件がどのように絡んでくるのかはこれからでしょう。開始時期は、一度決まったあとでもコロナの感染状況では変わることもありますし、予定としては半年くらい続きそうですが、春のゴールデンウィークは除外されるのではないかなどと言われています。一度発表があったあとで、これらが変更されることも十分あり得ます。

 さて、なんとなく旅行をお得にしたいと思われる方に、考えていただきたいのは、キャンセルが効くもので、とりあえず予約しておいたほうがいいということです。

 昨年のGoToトラベルでは、詳細な内容がはっきりした時点では、予約がどんどん埋まってしまって、出遅れた人が山ほどいたはずです。

 今のうちに旅行計画をしっかり立て、キャンセルが効くものをとりあえず押さえて、それから、一緒に旅行する人に相談したり、会社に休暇申請するくらいの段取りで行わないと乗り遅れてしまいます。

◆確実を狙うなら2月以降4月中ごろまでの予約を

 ところで、旅行といっても、帰省、出張、団体旅行、個人旅行といろいろあります。

 このうち団体旅行のものは、GoToトラベル2.0では、旅行代金は30%引き、1日1万円が上限なので、1泊あたり3万3333円までの旅行であれば30%の割引を受けられるわけです。それ以上だと一律1万円の割引です。

 例えば、2泊3日で6万7000円の旅行なら、旅行代金は2万円の割引で4万7000円。さらに、地域共通クーポン券が平日であれば3000円が二日分で6000円分支給されることになります。

 団体旅行の良さは、旅のパーツ。交通費や宿泊代だけでなく、寺や庭園などの入場料、オプション観光、食事などまで旅行代金に含まれるので、それらが1泊につき約3万3000円までであれば、すべて30%引きの恩恵あずかれるということです。

 多くの団体旅行は21日前までのキャンセルが効くし、まだ割引率がはっきりしない日帰り観光なども、キャンセルが効くものが多いです。

 とりあえず、1月12日以降、確実を狙うのなら2月以降で4月中ごろまでの予約を早めに入れてしまうことをオススメします。

 迷う前にとりあえずキャンセル手数料が発生しないか確認した上で予約。これです。

◆帰省には宿泊中抜き型パック旅行を

 ところで、昨年は帰省のために新幹線や飛行機しか使わないという人にはGoToトラベルの恩恵がなく不満が出ました。そういう人に考えていただきたいのが、宿泊中抜き型パック旅行です。

 これは、行き帰りの新幹線や飛行機と、現地滞在中の1泊分以上のホテル代がセットになったもの。

 例えば月曜から土曜まで帰省するなら、往きの月曜日と帰り土曜日の飛行機や新幹線など移動手段と、宿泊は、到着日1日目でもいいし、帰りの飛行機が早いのであれば帰省最後の日の空港近くのホテルに1泊、または週中に休日があり地元の友達と夜遅くまで繁華街で遊ぶ予定があるのなら、週中にホテルを1泊とってもいいですね。

 1泊以上ホテルや旅館に泊まれば、往復の飛行機代(新幹線代)もセットになった旅行商品となります。

 どこかに1泊さえすれば、残り4泊の宿泊先は入っていないので、実家に泊まればいいわけです。これで、1泊ホテル代と交通費が30%の割引、最大1万円引となります。さらに平日宿泊であれば3000円の地域共通クーポン券がもらえるので、お土産もまかなえます。

 こうした商品は数々ありますが、例えばJTBのダイナミックパッケージや、JALのサイトから国内ツアー、JALダイナミックパッケージとして販売されています。とても使い勝手が良いので、検討する価値はあります。

 価格も通常の時期であれば、ホテル代を含めても往復の航空券や新幹線の料金よりも安いことも少なくないのです。

 さらにこれらは、いわゆる割安の航空券や新幹線などの変更の効かないチケットよりも融通(ゆうづう)がききます。

 なぜなら、旅行商品なので、出発までに余裕がある場合は取り消し料もほとんどかからないからです。例えば、今から3か月先の予定を入れたあとのキャンセルも、航空券キャンセルの500円前後の事務手数料の負担だけで済む場合もあります。

◆旅行したいところの自治体での支援策をチェック

 1月中旬でなく、この年末までに旅行したい、得したいという人も多いでしょう。

 実は、国の支援を待っていられないと多くの地方自治体で独自の旅行支援策を行なっています。主なものは県内在住者向けですが、例えば、近畿地方在住などの地域限定のものや、中には全国対象のものもあります。

 また、車で移動する人向けだったり、交通費補助だったりとさまざまありますので、まずは旅行したいと思うところの自治体で実施していないかチェックしてみるといいでしょう。

 例えば、北海道の札幌などは、5000円の宿泊券を2000円で販売し、さらに2000円分のクーポンがもらえるものを、地域を限定せずさらに利用期間も3月末までとして発売しています。

◆ホテル代がリーズナブルな今は旅行のチャンス

 最後に申し上げたいことは、土曜日以外はどこもかしこも、宿泊料金の暴落が多くあるということです。

 東京でも緊急事態宣言が解除され、わりと自由に旅行に行けるようになったので、著者も京都に2年ぶりに出かけてきました。

 2019年秋に、修学旅行以来40数年ぶりにコロナ前の京都に出かけた時には、外国人旅行者がとても多く、大騒ぎする観光客も多かったけれども、コロナになってから、観光目的で来日する外国人観光客はほぼ皆無なので、ガラリと雰囲気が変わっていました。

 そこで、マスク着用は続けなくてはいけませんが、この2年で、日光、奈良、鎌倉、そして今回の京都と、静かでゆっくり日本の古都を楽しみました。

 特に今年の京都のホテル代は、通常は1万4000円ほどしていたホテルが土曜以外は4000円、土曜も6000円と、早めに予約したこともありますが、信じられないほどの安さでした。

 国外からのビジネス利用客も、テレワークで国内での出張も限定され、東京や大阪などのホテル代も軒並み安くなっています。土曜日と年末年始の一時期を除けば、GoToトラベル2.0前でも、驚くほどリーズナブルに楽しめます。

 観光客自体が少なく、うんざりするようなマナー違反の旅行者に出くわすこともなく楽しめるチャンスなのです。

 感染状況を見極め、マスク手洗い、密を避けるなどの工夫をしながら、2021年の旅行を楽しんでほしいと思います。

<文/佐藤治彦>

【佐藤治彦】

経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』『急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

2021/12/5 8:46

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