15歳で酸攻撃を受け「生きたまま焼かれたような苦しみ」を味わった女性、人をインスパイアする“戦士”に(印)

インドのオリッサ州出身で28歳のプラモディーニ・ラウルさん(Pramodini Roul、以下、ニックネームでラニさん)は2009年4月18日、まだ15歳の時に酸攻撃に遭った。ラニさんを襲ったのは当時28歳だった陸軍兵士サントッシュ・ベダンタ(Santosh Bedanta、40)で、結婚の申込みを断られたことで犯行に及んだ。

事件から12年が経過し、ラニさんはサントッシュが酸攻撃に至った理由やその後の地獄のような苦しみについてこのように述べた。

「サントッシュは私の情報を集め、一方的に結婚を申し込みました。しかし『ノー』を突きつけると、学校の帰り道に『結婚しないと酷い目に遭う』と脅してきたのです。そして後日、彼は友人が運転するバイクの後部座席に乗り、私の目の前でボトルを開け、中に入っていた酸を私の頭に振りかけました。私はなんとか避けようとしましたが、勢いを止めることはできませんでした。」

「酸をかけられた数秒後、私はまるで生きたまま焼かれているような苦しみに襲われました。頭に触れると髪が抜け、酸が全身に広がっていくのが分かりました。酸は目や口にも入り、私は呼吸困難に陥り、肌が黄色に変わりました。私はパニックと痛みで泣き叫び、病院に搬送されると薬で眠らされ、身体を包帯で巻かれ設備の整った大きな病院に転送されました。」

ラニさんはこの酸攻撃で身体の80%に熱傷を負い、両目の視力と片耳を失った。集中治療室には9か月間入院し、酷い痛みから母親に「お願いだから毒をちょうだい」と懇願したこともあった。そうして感染症と闘いながら数度の皮膚の再建手術を受け、5年間をベッドの上で過ごした。

それでも傷口は次第に乾き、ラニさんは皮膚が癒えていくのを感じた。また感染症の治療で入院をしていた2014年、病院に頻繁に出入りしていたサロージ・クマール・サフーさん(Saroj Kumar Sahoo)と出会って恋に落ち、2018年のバレンタインデーに婚約した。

「家族や周囲の理解を得るのには時間がかかった」と語る2人だが、その後一緒に暮らすようになり、今年3月1日に結婚した。かつらを被り綺麗にお化粧したラニさんの結婚式には酸攻撃のサバイバーを含む1000人以上が出席、2人の門出を祝っている。

ラニさんはサロージさんとの結婚を「生きる希望」と明かし、「彼はありのままの私を愛し、幸せな人生になるように常に元気づけてくれるのです」と述べている。また酸攻撃から9年後、ラニさんは左目の角膜移植手術を受けて視力が20%回復しており、「たった20%でも暗闇から抜け出すことができたのは私にとって大きな進歩」と喜びを露わにしている。

そんなラニさんは現在、インドで酸攻撃を受けた人たちのサポートを行うNGO団体のリハビリ施設でサロージさんと一緒に働いている。また自身をモチベーショナルスピーカーと呼び、SNSに多くの写真を投稿し次のように綴っている。

「酸攻撃で私の人生は全く違うものになってしまいました。でも私は被害者であって自分に落ち度はないのです。だから悲観せず、人生を美しいものにしたいと思います。私は“戦士”です。常に前を向き、人をインスパイアできる存在でありたいのです。」

なお警察は2012年、「容疑者が確認できない」とラニさんの酸攻撃の捜査を打ち切っていた。しかしラニさんの“正義を求める声”に応え、2017年8月に再び捜査を開始、サントッシュは同年11月にバイクの運転手と共に逮捕されている。ただ未だに判決は下されていないという。

ちなみに統計調査データベース『Statista』によると、インドでの酸攻撃は報告されているだけで2018年に228件、2019年に249件、2020年に182件に上り、酸の販売規制の徹底や加害者への刑の厳罰化を求める声があがっている。

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ℝℕ__(Mrs. Sahoo)(@pramodini_roul)がシェアした投稿

画像は『pramodini_roul 2021年11月17日付Instagram「@Repost」、2021年3月16日付Instagram「Marriage is the union of two souls」、2021年8月3日付Instagram「जब मैं पूरी तरीख से टूट चुकी」、2021年8月2日付Instagram「जो भी था, जैसा भी था, मेरा」、2021年9月1日付Instagram「लाइफ का एक simple」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 A.C.)

2021/11/24 21:00

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