内田也哉子、お年玉をもらって母・樹木希林に怒られる「お金の“大切さ”と“残酷さ”を感じた」
TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。今回のお客様は、エッセイストの内田也哉子さんと漫画家・随筆家のヤマザキマリさん。ここでは、内田さんが「お金の価値観を知った」という高校時代のエピソードを語りました。
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(左から)内田也哉子さん、ヤマザキマリさん
◆お金は残酷な側面もある(ヤマザキ)
ヤマザキ:也哉子さんってバイトしたことはありますか?
内田:高校生のときに、郵便局で年賀状の仕分けをしたことがあります。日本の高校に1年通ったんですけど、そのときに郵便局員が(バイトの)勧誘をしていて、母(樹木希林さん)に言ったら「それはやったほうが良い!」って言われたので。
時給700円くらいだったんだけど、“こんなに労力を使って、これだけのお金になるんだ!”って身に染みたの。その翌日、ある母の芸能人仲間にバッタリ会って「そうだ也哉子、お年玉をあげるよ」って言われてもらったら、3万円くらい入っていたの。
ヤマザキ:金額が別次元(笑)。
内田:その価値観の違いに腰が抜けて。母に(お年玉を)すぐ見せたら「今すぐその人に返してきなさい!」って。
ヤマザキ:希林さんらしい(笑)
内田:「いや、いいよ。もうもらっちゃったし……私もこっち(バイト)で頑張ったから、ボーナスじゃあダメ?」って言うと、「ダメ!」って言われて、返しに行った(笑)。
その後、母がそのお年玉をくれた人に「お年“玉”なんだから、お札でくれてやるな!」って怒っていて、“本当に(お年玉のことを)言わなきゃよかった……”って思ったくらいなんですけど(笑)。
でもそのときに、お金の“大切さ”と“残酷さ”を感じた。お金がある人は、まるで私にとっての1,000円のように、1万円札を平気であげることができるんだなって。もちろん、その人だって、いろいろな意味を込めてくれたと思うんだけど、0と100の違いくらいに、お金の価値観を知った冬でしたね。
ヤマザキ:それはとても大事なことですよね。お金や貨幣世界の残酷さって、わりと小さいときから知っておくべきだと私も思うんですよ。お金は、幸せをもたらしてくれるだけじゃなくて、残酷な側面もある。要するに経済の持つ凶暴性みたいなものを、ちゃんと希林さんが教えてくれたってことじゃない?
内田:たまたまそうなったと思うんですけど(笑)。ただ、じゃあ今の私が子どもたちに“お金の残酷さをどうやって教えられるんだろう”って考えると、頭を抱えちゃう。まずはアルバイトをさせる、っていうのが一番手っ取り早いとは思うんですけど。
ヤマザキ:そうですね。私は子どもが小さかった頃、わざわざハードルの高いような場所に旅に連れていってたんです。たとえば南太平洋の全員が腰蓑姿で藁ぶきの屋根に住んでいるような島。
でもそんなところでも、息子は現地の子どもと適応したり言葉を覚えていく。島の人と同じものを食べて“おいしい”と感じられるようになる。そういう体験をした後にアベレージ重視の日本に帰ってくると、感慨深いものがあって。
内田:そうですよね。
ヤマザキ:世界には多様な生き方があって、裕福さや貧しさの価値観は共有できないものだということに気づかされます。でも精神面の豊かさは基準がありません。どんな小さなことにも感動できるような人生は素晴らしいことです。生活のスタイルが違う場所へ行くとそういうことを考えられる。
内田:やっぱり実際に自分の目で見て、空気を感じて、人の価値観や文化と出会うのは貴重なことですね。それこそ頭だけでなく、子どもには全身で多様性を知ってもらいたい。その上で自分なりのモノの見方を培ってもらいたいですね。
ヤマザキ:はい。何に対しても価値観というものをフレキシブルにすることで、人生はお得感が増します(笑)
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<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/speakeasy/