倒産寸前からミニチュアフィギュアで一発逆転!吉野家の牛丼もミニチュア化

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 硬貨を入れてレバーを回すと、カプセルに入ったアイテムが出てくるカプセルトイ。そのアイテムのクオリティは年々進化しており、カプセルトイにハマる大人も続出するほどです。

 中でもSNSで話題になったのが吉野家のカプセルトイ。おいしそうな牛丼はもちろんのこと、丼(どんぶり)の模様や生姜、さらにはお箸についた楊枝まで超ミニチュアサイズながらも完璧に再現されています。

 このカプセルトイの中身を作っているのが、「ケンエレファント」というフィギュアメーカー。吉野家の他にも、カリモク60・Technics(テクニクス)など各界の人気メーカーとコラボして、様々なミニチュアコレクションをリリースしています。

 超ミニチュアサイズでこの圧倒的な世界観を作り上げているケンエレファントってどんな会社なの?ということで、制作部の樽見純さんと、企画開発部の小嶋喜徳さんにお話を聞いてきました。

◆一番反響があったのは「文具ミニチュアマスコットシリーズ」

――多くの企業の商品をミニチュアフィギュア化されていますが、一番反響があった商品はどれですか?

小嶋さん(以下、小嶋)「『文具ミニチュアマスコットシリーズ』だと思います。このシリーズは2017年に第一弾を発売したのですが、当時はまだリアルなカプセルトイが市場になかったこともあり大きな反響をいただきました」

――「懐かしい~!」と思わず声が出そうになります。どれくらいの反響の大きさだったのでしょうか。

小嶋さん「シリーズを紹介した投稿がSNSでバズって、かなりの数のイイねとリツートがつきました。最初はこんなに反響があるとは思わなかったので、ほどほどの数を販売する予定だったのですが、売り上げが大きく伸びてリピート(再生産)をかけさせていただけるようになりました。文具シリーズが話題になったことで、全く知らない業界の方から『うちの商品もミニチュアにして欲しい』と声をかけていただけるようになりました」

――各業界の方から声がかかるほどの反響だったんですね。

小嶋さん「はい。文具シリーズは、文具ソムリエールの菅未里さんにディレクションに入っていただき、『どのような文具をラインナップに入れるか』『テーマは何にするか』というところから相談させていただきました。その中でロングセラー商品をラインナップに入れることに決めました。ご協力いただいた文具メーカーさまからは、『古い型ではなくて、最新のデザインのものをミニチュア化して欲しい』というお声もあったのですが、長く愛されてきたものをミニチュア化したいという気持ちから、あえて古い型のロングセラー商品をミニチュアにしました」

◆とにかく本物と同じになるようにこだわっている

――吉野家やカリモク60のチェアなど、色や質感が本物そっくりですが、どれくらいの期間や工程をかけて作られているのでしょうか。

小嶋さん「おおよその商品は、7~9ヶ月くらいかけて制作します。商品の3D原型を作り、そのあとに彩色サンプル品を作ります。ライセンス元の企業さまの監修を受けてから、何度も金型と試作品を作り直しながら完成させていきます」

――どのシリーズも細部まで見事に再現されているのですが、企業とコラボした商品を作る際のこだわりを教えてください。

小嶋「コラボ商品の場合は、企業さまから正規のライセンスを取得しているので、とにかく本物と同じになるようにこだわっています。とはいっても、本物と同じ仕様のミニチュア版を作ればいいわけではないというところが難しいところです。陶器の感じを出すために光沢感をだしたり、吉野家さんの丼(どんぶり)のポイントでもある柄の細かさもきちんと再現させたかったので、柄が潰れないように再現する柄もミニチュア用に調整しました。曲面にプリントするため、調整も難しかったです。ただ小さくすればいいのではなく、実物のもつ味わいや世界観をミニチュアでどう再現するかというところはこだわっています

◆商品によってミニチュア化のサイズを変えている

――ただ小さくすればいいという話ではないんですね。

樽見純さん(以下、樽見)カプセルに入る大きさで、精巧なミニチュアフィギュアとその世界観を提供するというのが私たちのポリシーです。弊社のミニチュアフィギュアは『実物の○分の1のサイズ』というように規定のスケールを決めていません。その理由としては、再現する商品によってミニチュア化に適したサイズがあるからです。小さいサイズにすると再現度のクオリティが下がってしまうものもありますし、せっかく購入いただいた価格に見合わなくなる場合もあります。かといってサイズを大きくすれば、今度はカプセルに入らなくなってしまうので、スケールに関しては商品ごとに変えています」

◆飾っても、使っても楽しいミニチュアフィギュア

――こだわりが詰まっていますね。ケンエレファントさんのミニチュアはどのように使うのが楽しいですか。おすすめの使い方などあれば教えてください。

小嶋「カリモク60のミニュチュアなど、実物を購入することはできないけれどそばに置いて眺めたいというお客様は多いです。憧れやお気に入りの商品がミニチュア化されることで、観賞用として手元に揃えてくださるのはとても光栄です。逆にミニチュアを見て、商品に興味を持つようになり実物を購入されるお客様もいます。他にも、お手持ちの人形と一緒に遊んでいただくのも楽しいと思います。精巧さにこだわっているので、どのような遊び方をしても実物のリアリティを崩すことなく、楽しんでもらえると思います」

◆実物と並べて写真に撮る人も

――たしかに、眺めているだけでもリアルな小さい世界のかわいさに引き込まれます。

小嶋「『純喫茶ミニチュアコレクションシリーズ』というのがあるのですが、購入されたお客さまが、『ミニチュアになったメニューを食べてみたい』といって、実際に純喫茶に行き実物とミニチュアを並べて撮影されていました。吉野家ミニチュアでも、ミニチュアを店内に持ち込んで、実物と並べて楽しんでいる写真をSNSでお見かけしたことがあります。そのようなお客様を見ると我々としても嬉しい気持ちになります」

◆倒産寸前からミニチュアフィギュアで一発逆転

――ケンエレファントさんは、もともとはビールやペットボトル飲料につける景品を作られていたんですね。

樽見「はい。ペットボトルなどにつける景品を企画するセールスプロモーションの仕事をしていました。当時は広告代理店がライバルで、企画を考えてコンペで勝ち、景品を生産するという仕事をしていたんです。ただ、2007年に景品法のからみで各企業の景品に対する姿勢が変わったことで仕事が一気になくなり、会社の売り上げが大幅に落ちました。倒産寸前までいったこともあります

――倒産寸前ですか!? そこから、どのように復活されたのでしょうか。

樽見「暗黒の時代だったのですが、自分たちがメーカーとして面白い物を作る会社にしていこうと決めました。セールスプロモーションの仕事をとおしてフィギュアを作るノウハウを学んだので、まずは自分たちでフィギュアを作ってみることにしました」

◆いろんな業界から引く手あまたの企業に成長

――いきなり、自分たちで作ることにしたというのがすごいですね。

樽見「人脈も知り合いも何もいない状況で各メーカーさんに、手芸用品のミニチュア化許諾の打診をし続けました。最初は手芸メーカーさまに営業に行きミニチュアを作りました。その後もいくつかのメーカーさまに声をかけさせていただく中で、全く知見のなかった文具メーカーさまにもお声がけして、作らせてもらったのが文具のミニチュアです。SNSで反響となり、いろんな業界の方から声をかけてもらえるようになったことで自分たちの作るもの・目指すものが決まっていきました」

◆ありとあらゆるものをミニチュア化

 老舗のフィギュアメーカーかと思いきや、会社の歴史は浅く自分たちの手でゼロからその技と世界観を作り上げてきたと聞いて驚きました。懐かしの商品から憧れの商品までありとあらゆるものをミニチュア化しており、その精巧さには息をのみます。ずっと見ていても飽きないどころか見れば見るほど愛着が湧いてくるという不思議さ。ガチャガチャして新しい楽しさを発見してはいかがでしょうか。

【株式会社ケンエレファント】
正式な版権許諾のもと企業から許諾を得て、家具やオーディオ、菓子、カルチャーの中で愛されているものなどをミニチュアフィギュア化。
商品ごとに掲げられたテーマ性や、ディテールやギミックを可能な限り再現するクオリティの高さが支持され、ミニチュアやおもちゃ、カプセルトイの愛好家を魅了している。

<取材・文/瀧戸詠未>

【瀧戸詠未】
ライター/編集者。趣味は食べ歩き・飲み歩き。

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