「自分はおじさんじゃない」と思っている“アップデート中毒おじさん”。イケおじとの違いは?
政治家や著名人の失言、おじさん構文の炎上など、非難を浴びることの多いおじさん。下の世代からの揶揄にとどまらず、手を取り合うべき同世代から嫌われてしまうことも。中年男性500人へのアンケートと識者取材から、嫌われるおじさんのタイプを導き出した!
◆若さを求めるおじさん嫌い
健康的な肉体に焼けた肌。流行に敏感で若者のトレンドも掴んでいる―。“イケオジ”と表裏一体に存在しているのが「アップデート中毒おじさん」だ。
「ブランド物で全身を固めたり、ジムでパーソナルトレーナーをつけたりと金銭的に余裕のある勝ち組が多いです。若くありたいという願望が強く、SNSも使いこなしています。感度が高く余裕のあるイケオジとして認められる人がいる一方で、それらの振る舞いが裏目に出てしまうことも。
昭和クローンおじさんを“ザ・おじさん”とするならば、いつまでも若くいたいアップデート中毒おじさんは対をなす“アンチ・おじさん”と言えるかもしれません」(博報堂生活総合研究所・前沢裕文氏)
◆イケオジとの違いは?
では、イケオジとアップデート中毒おじさんとの違いはどこにあるのか。「自分本位な姿勢」だと指摘するのは、営業企画会社・おくりバント代表の高山洋平氏だ。
「単純な話ですが、いくら流行していても、活字が苦手な人に『自己啓発本を強要』するのは効果的じゃない。もし相手が漫画好きだったら、『美味しんぼ』を勧めたほうが何かを吸収してくれるかもしれない。相手のことを考えずに自身の感度の高さや若さを押しつければ、嫌悪感を抱かれて当然です」
「横文字ビジネスワードでマウント」や「『鬼滅の刃』など流行に例えて話してくる」も場面を間違えればただの“知ってるアピール”にすぎない。この自己アピール欲を満たしたいがために、プライベートでは「飲み会でMC気取り」や「2次会、3次会は当たり前」といった嫌われ行動をとってしまう。
「同僚や後輩にいくら『若い』『面白い』と言われても、それは身内の忖度にすぎません。一度一人で知らない飲み屋に行ってトークしてみることをオススメします。そのおじさんの本当のレベルがわかるはずです」
とアドウェイズ人事推進室シニアストラテジストの西久保剛氏は語る。アップデート中毒おじさんの自己アピールは飲みの席だけにとどまらず、「自撮りを投稿」や「本の感想を投稿」とSNSでも発揮される。いつまでも若くいたいという気持ちは尊重するが、自己アピールに巻き込まれてしまっては堪らない。
◆場面別、嫌われおじさんの特徴
40~60歳の男性500人に「嫌いな同世代の特徴」をアンケートを実施。その結果から、仕事、プライベート、SNS、見た目・マナー、各場面で好感度を下げる行動が判明。識者および編集部が独自に「嫌われ指数」を算出した。数字が大きいほど、嫌われやすいポイントだ。
◆<仕事>
・自己啓発本を強要……指数90
・横文字ビジネスワードでマウント……指数85
・『鬼滅の刃』など流行に例えて話してくる……指数72
◆<プライベート>
・飲み会でMC気取り……指数88
・2次会、3次会は当たり前……指数86
・経験人数=男の価値と考える……指数81
◆<見た目・マナー>
・髪色で遊んでいる……指数91
・ブランド物で全身を固める……指数84
・EXILE系の服を愛用……指数82
◆<SNS>
・自撮りを投稿……指数79
・本の感想を投稿……指数72
・インフルエンサーの投稿をリツイート……指数71
【博報堂生活総合研究所上席研究員 前沢裕文氏】
’00年、博報堂入社。現PR局、営業局、クリエイティブ局にて、PR発想を起点とした統合コミュニケーションの企画制作に携わり、’19年から現職
【プロ営業師・高山洋平氏】
’79年生まれ。おくりバント社長。「プロ営業師」の異名をとる、コミュニケーションの達人。著書に『ビジネス書を捨てよ、街へ出よう』(総合法令出版)
【アドウェイズ・西久保 剛氏】
インターネット広告代理店、アドウェイズ人事推進室シニアストラテジスト。「社員に愛されるより社員を愛する会社に」が目標。ツイッターは@nishikubotsuyo
<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/サダ>
―[嫌われる中年の肖像]―