東大生が感動した「読みやすいのに、驚くほど思考力が伸びる本」ベスト3
―[貧困東大生・布施川天馬]―
現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。
◆「思考の進め方」を磨くためにやるべきこと
皆さんは「考える人」をご存じでしょうか? ロダンによる彫刻作品で、頬杖をつきながら考え込む人の様子が見事に描写されています。
この彫刻の影響なのかはわかりませんが、僕は「考える」というと「考える人」のようなポーズをして考え込むイメージをしてしまいます。
たしかに頬杖をついてうなりながら考えるというと、なんだか効果がありそうな気がしてきます。極論を言えば、どんなに落ち着きがなくても、思考が進んでさえいればそれが一番いいんですけどね。
むしろ、問題なのは「考えるポーズ」ではなく、「思考の進め方」のほうです。どうやって考えを進めていくのかわからないと、いつまで経っても思考が終わりません。
◆「考え方のフォーマット」は誰でも習得可能
よく「頭がいい」や「頭の回転が速い」と言われているように、思考は才能によるものだと思われがちです。たしかに思考のめぐるスピードや発想力については才能による部分もあるでしょう。
しかし、僕は「思考の進め方」については技術だと思っています。脳みその出来具合で変わるのは「考えるスピード」であって、「考え方のフォーマット」については誰でもトレーニングで習得できるのではないかと思うのです。
今回は僕がとても参考になると感じた「思考力を鍛える本」を3冊ご紹介します!
◆○『アイデアのつくり方』
ジェームス・W・ヤング著(CCCメディアハウス)
『アイデアのつくり方』と聞いて、ドキッとした方はいらっしゃいませんか? どうにもこうにもいい発想が降りてこず、ずーっとやきもきしてしまうなんてこと、ありますよね。
この『アイデアのつくり方』では、「どうすればアイデアを閃くことができるのか」について解説されています。しかも、たった5つのステップを踏めばよいというのです。
これまでは神に祈るくらいしかなかったのに、5ステップでアイデアを生み出すことができるようになるなんて、大変お手軽ですよね。
結局、「新しいアイデア」といっても、まったく完全に新しい何かが生まれることはほとんどありません。どんなに斬新で画期的に思えても、そこに至るまでには必ず架け橋となる前提の知識や状況があります。
◆手持ちの知識同士の組み合わせが新たなアイデアを生む
それでは「新しいアイデア」の正体とは何なのか? ずばり、自分の手持ちの知識同士のスパークによる衝撃です。
「このピースとこのピースを組み合わせると、こんな形になるのか!」という発見こそがアイデアの正体であり、その材料となる知識がなければ、アイデアは生まれてこないのですね。
しかも、この本、大変薄い! 僕の持っている版では、前書きや解説など除けば50ページ程度しか本文がありません。そんなに文字が細かいわけでもないので、1~2時間もあれば十分読めてしまいます。
漠然と思考の海を漂いながら、新大陸発見を願うばかりだった方には、これ以上ないほどに頼れる「思考の羅針盤」となるでしょう。
◆○『思考・論理・分析』
波頭亮 著(産業能率大学出版部)
皆さんは「思考」とはいったいどんな働きなのかと問われたとき、すぐに答えられるでしょうか? では、論理とは、分析とは、いったいなんなのでしょう? 何をすれば、思考・論理・分析を行ったことになるのでしょうか。
一言で答えられる人は、きっと少ないと思います。それにもかかわらず、世間では当たり前のように、これらの言葉が使われています。
例えば、就活の時なんて最たるものでしょう。わからないことを聞きにいけば「まずは自分で考えなさい」と言われます。必死で作ったESを持っていけば「ここの論理、おかしいね」とか「もっと自己分析してきたら?」とバッサリ切られてしまいます。
◆「自分で考える」とはどういうことか?
それでは「自分で考える」ってどうやればいいんでしょうか。「論理展開」っていったい何のことを言っているのでしょう? 「分析する」とは言いますが、何をどうしたら分析したことになるのでしょうか。
この『思考・論理・分析』は、そんな素朴な疑問に答えてくれます。少なくとも何も考えずにわかったふりをして「自分で考えなさい」なんて言ってる人よりは、だいぶマシな思考力を身に着ける助けになります。
これまでに一度でも「考えろって言われても、そもそも何をどうすればいいんだよ」と心の中で愚痴ったことのある方は、ぜひ読んでみてください。
◆○『東大思考』
西岡壱誠 著(東洋経済新報社)
皆さんは「頭のよさ」ってどうやったら身に着くと思いますか? 勉強すればいいんでしょうか。それとも、完全に才能でしょうか。
たしかにこの2つの答えは両方とも正解のように見えます。実際、知能については親の遺伝や環境によるものが大きいというデータも出ているようです。しかし、もとは賢くなくてもやり方次第でどうにかなる、なんて方法もあります。
『東大思考』著者の西岡壱誠さんは、本格的に受験勉強を始める以前はなんと偏差値35しかありませんでした。偏差値35は難関大学への受験を考えている場合、相当ヤバい。全体の下位6~7%に位置していることを示す状態です。
しかし、彼は、そんなところから受験生の中でも上位1%以下の人しか入れない東大に逆転合格してしまったのです。
◆頭がいいヤツの方法を丸パクリする
彼の語る「頭をよくする方法」は単純にして超合理的。「自分の頭が悪いなら、頭がいいヤツの方法を丸パクリすればいい」ってことなんです。
「何言ってるんだ」と思われるかもしれませんが、これは非常に画期的です。頭がいい人の考え方を研究して、同じように考えられるようになれば、それは結局、「自分の頭がよくなった」のと一緒のことですから。
思えば、野球とかサッカー、音楽なんかでもそうですが、理想のフォームや音色なんかを研究して、そこに近づけるようにトレーニングしますよね。これはつまり、「型」を参考にしながら練習するってことです。
彼はこれを勉強についても導入したんです。では、肝心の効果はどれほどあるのか? それについては彼の東大逆転合格を見れば明らかでしょう。
東大生作家の先輩である西岡さんとは活動を共にする中ではありますが、ひいき目抜きにぜひおすすめしたい一冊です。
とにかく手っ取り早く頭がよくなりたいなら、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか?
◆「効率よく思考できるような方法」を知る
今回、紹介した3冊はどれもしっかりと自分の身になる本ばかりです。
「考える方法」なんていうと、フワフワしていますが、具体的かつ丁寧に説明してくれている本を読めば、きっと「どうやって考えれば結論が出やすいのか」ということがわかるハズです。
考える時間は確かに必要ですが、ずっと考えていればいいというわけではありません。なるべく効率よく思考できるような方法があるに越したことはないでしょう。
これらの本を使って、皆さまの生活がちょっとだけでもラクになったなら幸いです。
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa)