中古車相場の3割引で買える「ナンバープレートなし」のクルマ。乗り出しまでの全手順

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

◆オークション代行でクルマを購入してきた

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。クルマ好き、なおかつケチな私は、クルマを買う際、いつも利用するのがオークション代行です。このオークションとは、中古車業者の仕入れの場。そこでは、様々なクルマが取引されているのですが、もちろん、業者間取引というだけあって、ナンバープレートが無い車両もたくさんあるのです。

 私は、少なくともこれまで10台以上のクルマをオークション代行を通して購入しました。ただ、それらのほとんどがナンバープレート付き車両。1台だけナンバーなし車両を買ったことがありましたが、その際は業者に「ナンバープレートをつける」というところまで代行してもらいました。

 先日、「ナンバープレート無し車両」を久々に購入したのですが、今度は、自力でナンバープレートをつけるまでの作業をすることにしたのです。

 今回、私が購入したのは三菱エアトレックのターボR。なんと、ランエボと同じエンジンを積んでいるクルマであります。車両本体は約24万円、登録費用などを足した総額は40万円程度でした。ちなみに、同様の程度の車両を中古車屋さんで買うと、安くとも60万円以上といった相場。そのため、自分で登録した結果、20万円以上は節約、相場の約3割引きで購入できたことになります。

 ということで、今回は、ナンバープレート無し車両を購入してからナンバープレートをつけるまでの手順をご説明したいと思います。結論から申しますと、結構かんたんな作業でした。

◆ナンバー無し車両の受け取り

 オークション会場で落札した車両は、陸送会社を通して、自宅まで運んでもらいました。この際、陸送業者の担当の方が、仮ナンバーをつけた状態で、運転して私の家まで運んできてくれるという状態でした。

 ちなみに、仮ナンバーには2種類があるといえ、1つが普通の仮ナンバー、もう1つがいわゆる「ディーラーナンバー」というやつであります。ディーラーナンバーは、基本的に業者の方が持っている仮ナンバーで、様々なクルマに付け替えて使用可能。それに対して、通常の仮ナンバーは、原則1回限りの使用となっているのです。

 運ばれてきたクルマを、今後私が車庫から出す際、必要なのがこの仮ナンバーであるわけです。

◆仮ナンバーの取得

 仮ナンバーは、役所やその支所で借りることができ、1回750円の手数料が発生。仮ナンバーを取得するために必要な書類は、「登録識別等通知書」と「自賠責保険証」で、免許証の確認もされます。この2つの書類について簡単に説明します。

・登録識別等通知書

 登録識別等通知書は、分かりやすくいうと、ナンバー無し車両の車検証といったところ。ナンバープレートを外す際、抹消登録を行うのですが、その際一時抹消登録手続きをすると、この書類がもらえます。

 そして、この書類があれば、再度ナンバープレートを取得することが可能。ナンバーがない車両にとって、最も重要な書類がこれであります。

・自賠責保険

 自賠責保険は、基本的に車検の際に加入する強制保険ですが、仮ナンバー取得時にも必要です。

 ちなみに、私が購入した車両には、自賠責保険が1年残っていたので、仮ナンバーに必要な書類は手元にあるという状態でした。自賠責保険が切れている場合、陸運局近くの代書屋さんなどで加入することができます。

「登録識別等通知書」と「自賠責保険証」、これら2つの書類をもって、役所に行き、必要書類に記入すれば、10分程度で仮ナンバーをその場で借りることが可能。なお、仮ナンバーの有効期限は、最大5日となっています。

◆事前整備

 仮ナンバーを借りた後の手順は、【1】事前整備【2】ユーザー車検を受ける⇒予備検査証の取得【3】中古新規登録、という流れになります。

 

 ユーザー車検は、陸運局の検査ラインでオーナー自らが車検を受けることですが、これに合格するために、必要に応じて整備をします。

 車検は、光軸やサイドスリップ、各ランプの点灯が問題ないか、ウィンドウウォッシャー液が出るかなどといった点を押さえていれば難なく合格するため、「単に車検に通す」というだけなら、事前の大きな整備はあまり必要ありません。

 ただ、今回私が購入したクルマの場合、タイヤがひび割れている状態。これは、車検で不合格となるポイントだったため、事前にタイヤ交換を実施しました。

 ですから、私が仮ナンバーを取得して最初に向かったのは、持ち込みタイヤ交換を行ってくれるショップ。そこで、Amazonで買ったスタッドレスタイヤに交換し、これで車検の準備が完了となりました。

◆ユーザー車検の申請は「素人です」が無難

 次のステップが「予備検査証」をもらうことです。この書類をもらうためには、「車検」と同じ手順を踏みます。つまり、陸運局に車両を持っていき、ユーザー車検を受けるのです。

 なお、ナンバープレートありの場合、素人が車検ラインに並ぶと、優しく誘導してくれますが、仮ナンバーだとプロと判断されるのか、かなり素早く「ウインカー」「ホーン」などと指示されます。ここでは、見栄を張らず「素人です」といったほうが無難。私は、これまでにユーザー車検の経験は何度かありますが、今回も「すみません、素人です」と申請し、係員の方に補助していただきました。

 ユーザー車検に合格する手っ取り早い方法は、検査前に、陸運局近くにあるテスター屋さんに行って、「予備検」を受けることです。これは、「予備検査証」と紛らわしいのですが、車検に合格するための予備検査といったところ。車検で不合格になりやすい光軸などを、その場で調整してもらえ、料金も全部で3000円程度が相場といった感じです。

◆予備検査証をゲット

 私も今回、テスター屋さんに行ってから、ユーザー車検を受けようと思ったのですが、時間がなかったため、そのまま陸運局でユーザー車検を受けることに。左の光軸が一度「☓」となり不合格可と思いきや、2度目で大丈夫だったようで、無事合格。「予備検査証」をゲットすることができました。

 ちなみに、車検というと、10万円程度の費用がかかるイメージがありますが、その主な内訳は「重量税」と「自賠責保険料」です。予備検査証をもらうだけでは、重量税を支払う必要がないため、この際の支払額は、検査料の2500円だけでした。

 なお、予備検査証の有効期限は3ヶ月であるため、その期限を過ぎてしまうと、再度検査を受ける必要があります。

◆中古新規登録

 予備検査証をゲットしたら、次は「登録手続き」です。この手続が完了すれば、ナンバープレートが発行されて、普通に使える状態のクルマとなります。ナンバーあり車両の名義変更は、「移転登録」でありますが、ナンバーがない車両にナンバーをつける場合は「中古新規登録」という手続きになります。

 上記の違いは、基本的に「予備検査証」書類が必要か否か。ここまでくれば、書類を提出するだけといった感じであるため、ナンバープレート取得まであとわずかです。

 なお、書類には事前準備が必要なものがあります。普通車の場合、それらに該当するのは「印鑑証明書」と「車庫証明」ですが、登録前に取得しておきましょう。車庫証明については、短くとも発行までに3日ぐらいかかるため、「登録識別等通知書」書類を受け取ったら、すぐに申請して良いと思います。

 なお、記入が必要な書類については、陸運局近くにある代書屋さんにやってもらうことも可能です。相場は3000円程度で、必要書類の記入をすべて行ってくれます。代書屋さんに行けば、楽に登録できるため、業者の方でも、代書屋さんを利用するという方がそれなりにいるようです。

◆陸運局では重量税を支払う

 しかし、私は時間ギリギリだったため、今回は自分で書類を記入することにしました。代書屋さんでは、自賠責保険にだけ加入して、陸運局に向かいます。(もともとあった自賠責保険の有効期限が1年だったため、もう1年加入)

 陸運局では、最初に書類売り場のような場所にいって、「中古新規登録したい」と告げ、書類をもらい、重量税(約5万円)を支払います。そして、そのまま登録業務を行うエリアに向かい、登録申請を行います。

 私が行った時間は、締切ギリギリだったため、既に人がいない状態。受付担当の方が、私に話しかけてくれて、もはや、すべての書類の記入をマンツーマンで指導してくれるという状態に。そうして、申請が完了して、無事、車検証をゲットできました。

◆車検証の次は自動車税の申請

 車検証をゲットしたら、次は税事務所に行って、自動車税の申請と、支払いをします。

 通常、自動車税は4月から3月までの1年分を5月頃に支払うのですが、今回のように、1年の途中で中古新規登録を行う場合は、月割となります。その月割の基準は、翌月分から3月分までとのこと。私は、11月に登録したため、12月から3月までの自動車税(約1万9000円)をその場で支払いました。

 そうして、税の手続きが終わると、ようやくナンバープレートを購入(2枚で1450円)。ネジと封印用のステーを取り付け、待っていると「封印取付者」と腕章をしたおじさんが、近くにやってきて封印をしてくれ、すべての作業が完了です。

 こうして、ナンバーなし車両に、無事ナンバープレートが装着。普通に乗れる状態となったのです。 

◆陸運局に2回にわけて行ったワケ

 予備検査証の取得と、中古新規登録は、どちらも陸運局内で行うため、両方いっぺんに行うほうが効率良さそうに見えます。ただ、今回私は、あえてこれら2つを分けてみました。

 というのも、分けたほうが精神的に余裕が生まれると思ったからです。ユーザー車検と中古新規登録、両方合わせても、それにかかる時間はせいぜい1時間程度。しかし、検査に不合格になったり、書類が足らないなどの不備があったなら、1時間では済みません。

 陸運局は、16時ぐらいで受付が終了してしまうため、焦ってやると、普段しないようなミスもしてしまうかもしれません。実際、今回私は、2回、陸運局に行ったわけですが、やはり精神的に楽でした。予備検査証の取得と中古新規登録は、別日というのがおすすめであります。

<文/斉藤由貴生>

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

【斉藤由貴生】

1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

2021/11/21 15:52

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