『進撃の巨人』に災難続く。「差別の象徴」グッズ化、悪用パロディをトランプ氏が支持

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 人気アニメ『進撃の巨人』シリーズのグッズとして販売が決まっていた「マーレの腕章」について、製作委員会は11月15日、販売を中止したと発表しました。

◆発売中止に

 アニメ「進撃の巨人」製作委員会による「マーレの腕章」の販売告知するツイッター投稿に対して批判が殺到しました。

 この腕章は、物語内でキャラクターが身につけているもので、ある国家において「悪魔である」と差別されている種族をほかの種別を区別する腕章として登場したもので、物語内では蔑視され弾圧を受けた種族の悲劇や、差別の理不尽さ、差別された種族に生まれた人々の苦悩や戦いについて描かれています。

 今回発売中止になったグッズはナチスがユダヤ人に着用を義務付けた「ダビデの星」を想起させることや、また、差別を描いた作品のメッセージを公式であるアニメ製作委員会が理解していないと、販売への批判の声があがっていました。

◆「人種差別、民族差別の象徴として描かれたものを安易に商品化」と謝罪

 グッズを販売する製作委員会は批判を受けて「作中で人種差別、民族差別の象徴として描かれたものを安易に商品化したことは配慮を欠いた行為であった」とコメントし、謝罪と販売中止を発表しました。

◆海外メディアでも報道。ファンからは「残念」一部「問題ない」

 『進撃の巨人』は、英語タイトル『Attack on Titan』として海外でも知られており、世界中での累計発行部数が1億部を超える人気のある作品です。アメリカ、タイ、マレーシア、台湾、UAE、オーストラリアの紀伊国屋書店では、英語版の最終巻の発行記念としてオリジナルデザインの会員カードを発行するなど、話題と人気が絶えません。

 今回の腕章グッズ問題は、海外メディアでも「シーズン4のグッズが物議を醸して販売中止」と報道されました。海外ファンからは「こんなものを売るなんて残念すぎる」「販売中止してくれてよかった」「ショッキングでしかない」といった反応が大半でしたが、中には「腕章は長い歴史で見ると第二次世界大戦前からあったのだから、気にしすぎではないか」「コスプレ用として考えてしまえば問題ない」という意見も見られました。

◆アメリカ国会議員がヘイト動画として悪用

 このように、国内外問わず人々の注目の的となっている『進撃の巨人』。知名度の高さは、ついに政治問題にからむまでになりました。

 事の発端は、アメリカの野党・共和党のポール・ゴサール下院議員が11月7日、ある動画をツイッターに投下したことでした。

 その動画は『進撃の巨人』の映像を改変したもので、タイトルが“移民の攻撃”に変更されたオープニングから始まるもの。キャラクターの顔部分には与党・民主党のバイデン大統領、そしてアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員の顔写真がコラージュされており、自身に見立てたキャラクターがオカシオ=コルテス下院議員を殺害する描写を含むヘイト動画でした。アニメ映像の合間には移民を映した実際の動画が挟み込まれており、反移民を訴える内容です。

 この動画は批判を受けすぐに削除されたものの、ゴサール氏は「国境政策に関する議論を喚起する狙いがあった」「映像が脅迫だという非難は受け入れられない。脅迫だと感じた人がいたため自主的に映像を削除した」と言及。ゴサール氏のデジタル戦略を担当するスタッフも「これはただのアニメ映像。ミーム文化をわかっていない。現実の問題をめぐって戦ってるだけだ」と批判を一蹴するなど強硬な態度にでました。

◆「安全を脅かす可能性がある」問責決議案が可決

 問題は過熱を続け、民主党のペロシ下院議長は「暴力による脅迫は容認できない」と批判。下院倫理委員会や捜査機関による調査を求めていました。

 そして17日、アメリカ下院本会議は、この問題に対する問責決議案を賛成多数で可決しました。ゴサール氏は下院の監視・政府改革委員会、そして天然資源委員会の委員資格も剥奪(はくだつ)される結果になります。

 決議の背景には今年1月の連邦議会乱入事件が与えた影響があるとして、「暴力の描写は実際の暴力を扇動し、選挙で選ばれた公職者の安全を脅かす可能性がある」と非難されました。

◆トランプ前大統領が支持を表明

 ゴサール氏は動画を投稿したことに対して、これまでに一度も謝罪をしていません。それどころか、問責決議が可決された直後には問題の動画を貼りつけて投稿していた第三者のツイートをリツイートするという始末。

 さらに18日には、アメリカ前大統領のドナルド・トランプ氏が声明文を出し、「アメリカの最重要議題に対する忠実な支持者だ」とゴサール氏の支持を表明しました。

 まだまだ、この問題の議論は終わりそうにありません。

Sources:『The Washington Post』『abc8news』

<文/るしやま>


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