織田裕二が残される妻のために勝手に再婚相手探しに暴走!終活を考えるVOD3作品

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 余命僅かと言われたらあなたはどうする?

 医者から余命6年と申告された英国人男性が「死ぬまでにやりたいことリスト」を作成。これまでスピード違反のネズミ捕りに何度も引っかかっていたことから

「一度は尻を見せて侮辱してやりたい」

と考え、実行。

 無事映像を見た警察に逮捕されたというニュース。これまで真面目に生きてきたから自由にふるまいたいんだ、という彼は死ぬこと以上に怖いものがないようで、またやってやるぜ!と意気込んでいる様子。人間どんな時でもユーモアを忘れずに生きていたいもの。今回はそんな終活がテーマの映画です。

 1997年のドイツ映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』は見るからに善良で生真面目そうな男と、病室で平気でタバコをふかすようなワルの二人が癌で余命僅かと診断される。

 生真面目男は海を見たことがないといい「天国では海の話題で持ちきりさ。海を見たことがないお前は話についていけない」とワルに吹き込まれたことで、友達もいなさそうな彼、天国でもぼっちになるのは嫌だと死ぬ前に2人で海を観に行くことに。駐車場のベンツをかっぱらって人生最後のドライブに出かける。だがその車はあるギャングの持ち物だった。そうとは知らない2人はのんきにガソリンスタンドや銀行を襲撃、監視カメラに犯行を堂々アピールしたことでギャングと警察双方から追われるハメに。

 ギャング、強盗というとハードなアクション、サスペンスを想像するところ、本作はオフビートのコメディなので、笑いのツボを微妙に外しまくるのがポイント。銀行強盗の場面でピストルを突きつけ、行員に両手を挙げさせた状態で無言が続くと「黙ってたら先に進まないわよ?」と突っ込まれる。緊迫感の欠片もない!

 細部が色々といい加減で、突っ込みどころが満載の作品なのだが、コメディだから細かいところに拘らなくていいのだけど、本作は09年に日本でリメイクされていますが、これがコメディだということをまるで理解していないスタッフによってオッサン同士のロードムービーが変なふうに改訂。オッサンと少女のラブロマンス(!)に。

 そもそもオリジナルの舞台はドイツで、北部にしか海がない地理だからこそ「海を見たことがない」という設定が際立つのに、周囲を海に囲まれた島国の日本でその設定、ダメでしょ!(だからヒロインが病院に長期入院しているとかいう、不要な設定を付け加えている)笑いよりも感動のほうが格上だと言わんばかりの、邦画の致命的な欠点がすべてを台無しにしてしまいました。

ハリウッドの大名作が日本で大迷作に…(泣)

 ロマンティック・コメディの巨匠、ロブ・ライナー監督が手掛けた『最高の人生の見つけ方』(07)は終活モノ作品のひな型のような一本。金儲けのためだけに邁進してきた巨大財閥の総帥ジャック・ニコルソンと、自分のやりたいことはすべて犠牲にして家族のために尽くしてきた自動車整備工モーガン・フリーマンが、余命僅かと診断される。

 決して交わらなかったであろう人生を歩んできた2人が病気によって結びつき、一人きりの人生では果たせなかった夢を叶えてゆく。

 ひねくれものの筆者でも突っ込みどころが見つからない感動のドラマで、特に2人が死ぬまでにやりたいことリストをつくって、そのうちのひとつ「世界一の美女とキスをする」という項目を処理するところ、本編見た時、やられた! と思いましたよ。

 そしてこの映画もよせばいいのに日本で19年にリメイクされ、爺さん2人が婆さん2人(吉永小百合はともかく、もう1人は天海祐希だから婆さんではないけども)に変更された上に、自分たちではなく、小さい頃から入院生活をしている12歳の少女のために婆さん2人(くどいようだが、1人は婆さんではない)が代わりに「死ぬまでにやりたいことリスト」を消化していく、という話にされていて、自分が叶えたいわけでもない夢を、婆さん2人(以下略)に叶えられてもねえ……どうしてこうなった。

 リストのひとつが「ももクロのライブに行く」で、吉永と天海がなぜかステージに上げられてしまう。いくらももクロがサービス精神旺盛でも、そこまではやらないと思う。『ノッキン~』といいこれといい、ハリウッドの邦画リメイクはどうして改悪ばかりしてしまうのか?

 ハリウッドの日本ダメリメイクばかり取り上げてもしょうがないので、最後は邦画の終活モノ『ボクの妻と結婚してください。』(2016)。

 織田裕二演じる売れっ子作家はある日、突然余命6カ月の癌と診断される。彼は死ぬまでにやりたいリストを作……ったりせず、たったひとつの希望を叶えようとする。それは一人息子を抱えて取り残される妻のために、再婚相手を見つけてあげること! それどういうこと!?

 まあ奥さんがウサギみたいにひとりだと死んでしまうような、か弱い人ならともかく、吉田羊だもんなあ……ほっといてもひとりでなんとかするでしょ!

 これ知り合いの女性に感想を聞くと「その後の人生に男が必要だったら勝手に探すし、織田裕二のやってることは余計なお世話」とズバリ言われてました。

 しかし医者の「残された時間を家族と過ごしてください」という意見をガン無視して突き進む織田裕二! 結婚相談所に登録しているインテリア会社社長の原田泰造を条件に合う男として見つけてきた織田裕二、強引に吉田羊とのデートをセッティング。もちろん奥さんには一切説明せずに!

 この「残された妻のために旦那が再婚相手を勝手に探す」という企画もひょっとしたら誰かが冗談でいった話を、織田裕二だけがマジで入れ込んでやる気になっただけなんじゃないかなあ!? 誰の意見にも左右されない、冗談がまるで通用しなさそうな織田裕二の走り出したら止まらないOVER THE TROUBLE感。

 何しろ原田泰造と吉田羊をくっつけようとした理由は2人が仲睦まじくデートをしている様子を夢の中で見たというんだから!

「見ちゃったんだからしょうがない! ボクの妻子とあなたが仲良く笑い合ってる光景を見ちゃったんだからしょうがない!」

と瞬きしない目で力説する織田裕二。本作について「今まで30年近くやってきた役者業の何かがリセットされるような、そんな作品になるんじゃないかと思っています」とコメントしていました。確かに何かがリセットされたとしか思えない。

 余命わずかという状況では正常な判断ができなくなってしまうのかも知れませんが、読者のみなさんはそんな時こそ終活をテーマにした映画を見て、冷静さを取り戻してくださいね。

  • 11/20 18:00
  • サイゾー

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