「サウナで倒れるおじさん」は他人事じゃなかった…全国のサウナ施設を回る中年男性を襲った悲劇

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 一度しかない人生、いくつになっても挑戦したい——。その気持ちは大切だが、「衰えた挑戦者」が若かりし頃と同じ感覚でいると思わぬ大ケガに繫がるもの。今回は、ある中年男性のリアルな失敗談を紹介。さらに、『大人養成講座』や『大人力検定』の著者で大人のありかたに詳しい石原壮一郎氏に、中年が“新しい挑戦”をする際に意識するべきことを聞いた。

◆全国のサウナ施設を旅して回る中年男性を襲った悲劇

 空前のサウナブームの到来を受け、今や各地の入浴施設では、サウナ室に入りきれない男たちが全裸で列をなすありさま。昨年1月にサウナの快楽に覚醒した蒸しンゴさんも、その熱にほだされ、今や週2~3で蒸される日々だ。

「ドラマ『サ道』を見てハマりました。サウナ→水風呂→外気浴を1セットとして、これを繰り返すうちに“ととのう”わけですが、あのフワフワと宇宙空間にいるような快感がヤミツキに。今年は北海道から九州まで旅して有名店を回り、50万円程を使いましたね

 だが、好事家たちが快感を追うあまりにムチャなプレイにのめりこむのと同様、蒸しンゴさんも危ない領域に突入したことがある。

◆弾丸サ旅で“おかわり”。ととのい後、三途の川寸前に…

「その日は、夜行バスで弾丸サ旅(サウナ旅)に行き、朝から『神戸クアハウス』で5セットほど汗を流しました。そして神戸牛をたらふく食べ、お目当ての『神戸サウナ&スパ』へハシゴしたんです。国内屈指の設備を誇る名店ですから、こちらも気合十分。案の定、めちゃくちゃ気持ちよくて何セットも繰り返し入ったんですが……」

 こうして大いにととのった蒸しンゴさんだったが、脱衣所で突然、足がつり始めたという。

「連れの友人に異変を伝えようとしても声が出せず、その後、体がだんだん痺れてきて金縛り状態になって本当に怖かった。友人が気づいて介抱してくれましたが、もし一人なら死んでいたかも」

◆「サウナで倒れるおじさん」は他人事じゃない

 この日は大阪の有名サウナにも寄る予定だったが、さすがに断念。

「長時間移動の疲れやサ旅の高揚感で冷静さを失っていました。年齢も考えず何度も入りたいという欲が出て、水分補給をおろそかにしていたんでしょう。ほかのサウナ施設で救急搬送されるおじさんを見て内心軽んじていたけど、もう他人事じゃない。今では水だけでなく、塩分やミネラルを含むスポーツドリンクも常備、万難を排してサウナに入っています」

 血管の収縮を促すサウナは心筋梗塞などのリスクもある。自身の体を過信してはいけない。

◆中年が新しい挑戦をする上で注意点は?

 いくつになっても“挑戦したい”という気持ちはわかるが、中年ともなれば、残酷すぎる現実が待ち受けていることもあるのだ。大人のありかたに詳しい石原壮一郎氏に、中年が意識するべきことを聞いた。

「中年になってから何か新しいことに挑戦する上では、謙虚な心が必要です。すでにそのジャンルには、長くコツコツやってきた人がいるわけですから、そこで新参者がいい勝負をできると考えるのが間違い。若い頃に比べれば物覚えが悪くなったり、注意されるとすぐに反発心が湧いてきたりする中年は、新しいことを始める上ではそもそも不利だらけです」

 だが、40代ともなれば、社会に出てから20年以上。積み上げてきた人生経験は大きな武器だろう。

「ある特定の業界や職種で経験を積んだり地位が高まっても、ひとたびその得意分野から外れればタダのおじさん。なのに、自分はどこででも通用するはずだと思ってしまう自己評価の高さと、無自覚に進行している体力や反射神経の衰えのギャップで失敗するんです」

◆「やらない後悔よりやった後悔」は成功者の言葉なんです!

 また、多くの人間は自分の人生にロマンやドラマを求めるが、これも失敗の大きな要因だ。

「自分に潜在していた思わぬ才能が開花するようなドラマ的展開は、誰しも夢見がちですが、その結果、『どこにもいない自分探し』に精を出してしまう。『やらない後悔よりやった後悔』という、人生一発逆転のロマンをあおる言葉も危険。これはごく一部の成功者が言っているだけなので要注意です」

 かといって、中年は何もするなというのでは、あまりにも酷な話。石原氏は中年の挑戦における注意点を教えてくれた。

「今まで知らなかったカルチャーや、交流がなかったタイプの人たちとの接触を楽しむことを主眼にしましょう。また、自分が培ってきた得意分野に軸足を置いて、そこから180度ではなく、60度くらいの振り幅での転身にとどめれば、大ケガはしにくい

 挑戦するマインドは持ちつつ、謙虚に生きるのが中年の美学だ。

【蒸しンゴさん】
神奈川県在住の会社員。6年前から銭湯巡りを趣味として、サウナにハマったのはここ2年。都内のサウナ施設はほぼ制覇

【石原壮一郎氏】
’63年生まれ。編集者を経て『大人養成講座』(扶桑社刊)でデビュー。以後『大人力検定』(文藝春秋)などビジネスから恋愛まで大人の振る舞いに関する著書多数

取材・文/沼澤典史(清談社) 写真/PIXTA

―[やってはいけない!]―


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