『家、ついて行ってイイですか?』結婚生活56年。円満の秘訣は「夫婦の時間差、ハワイと日本!」

 11月10日放送『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)は、題して「人生の岐路! こだわりの暮らしSP」であった。

●元ギャル男が店長を務めるしゃぶしゃぶ温野菜店舗の行方は……

 2017年3月、今から4年半前の土浦駅前で番組スタッフが声をかけたのは、お酒を飲んだ帰りだというハイテンションな30歳の男性。職業はしゃぶしゃぶ温野菜の店長だそうだ。「家、ついて行ってイイですか?」と尋ねると……。

「行きたいっす! いいっすよ! 1人暮らしです。彼女なしです。結婚してません」

 こんな軽い人が店長なのか。というわけで、彼の家へ向かうことに。すると、タクシーの車中で男性の携帯に電話がかかってきた。どうやら、温野菜のアルバイトからの着信だったようだ。

「じゃあ1回来て、俺んち!」

 今から取材なのに、呼ぶのか? というわけで、彼が住む家賃42,000円の1Kのアパートへ到着。言ったら何だが、隣室との壁は薄そうだ。そんな彼の部屋に、さっき連絡のあったバイトの子たちがやって来た。1人、2人、3人、4人……一体何人来るというのか!? しかも、全員女性である。

男性  「お兄さん(番組スタッフのこと)聞いて。(バイトの女性を指して)かわい……くない」
バイト 「あっ、おい!」

 8畳の1Kに「温野菜つくば南店」アルバイトの女子たちが一気に5人もやって来てしまった。すぐこんなに集まるなんて、この店長は慕われているのだろう。何しろ、バイトが店長にタメ口である。かつてブラックバイト訴訟も起こったしゃぶしゃぶ温野菜だが、つくば南店はみんな楽しく仕事できているようだ。でも、この店長と同じアパートには住みたくない。パリピが深夜に大集合だなんて、隣人なら白目を剥いてしまいそうである。

 部屋の中を見ると、2000年代初頭に活動していたギャルサー制作のDVDがあった。ジャケットをよく見ると、チャラ男だった当時19歳の彼が写っている。下から見上げてカメラを見据える顔の角度は、この頃のチャラ男が得意とする写り方。彼もそれを実践していた。

「『BLEND』っていう茨城No.1のチャラ男サークルで代表だったんです」

 15~20歳の時期をギャルサーに捧げ、駅前でパラパラの練習をする日々を送っていたらしい。当時のギャルとギャル男が愛用したALBA ROSAのバッグが部屋で発見されたときは、さすがに筆者にも刺さった。かれこれ25年くらい前もこのブランドは流行ったはずだ。

 当時の名残りは、彼の中にまだ残っている。家で1人お酒を飲むときは、イヤホンをつけて2時間踊りまくる“一人クラブ”を必ず行うそうだ。でも、こんなに血中ギャル男濃度が残っているなら、やっぱり勘ぐる。バイトの子たちを見ると、みんな可愛いのだ。この店長はチャラさよろしく、従業員を顔で選んでないだろうか? 事実、今自宅はプチハーレム状態である。

 ……と思っていたら、「じゃあ、私らは帰るよ」「バイバイ、店長」と女の子たちが部屋を出ていき始めた。1人残されてテンションが下がり、途端に静かになった店長。すると、彼は本音を話し始めた。携帯を取り出し、スタッフに見せたのは茨城県北浦に住む母親の写真だ。幼少期、農家だった両親は朝から晩まで家にいなかった。だから家に帰るのが嫌になり、いつしか友人の家から学校へ通う生活になったという。彼がギャルサーに入ったのもこの時期だ。

「その当時は全然(両親のありがたみが)わかんなくて、傷つけたことを言ってすごい後悔しました」

 今勤務する温野菜の店と両親が住む実家は1時間以上離れている。なのに「うちの息子が店長をやってるから行ってください」と、母は店の割引券を近所の人たちに配って回っているそうだ。

「今は友だちみたいな感じで。お母さん、『まちこ』っていうんですけど、まちこって呼ぶ感じで。すごく両親に感謝していて。改めて思いますね」
「お父さんとお母さんを見て、面と向かって『ありがとう』って言ったことがないんですよ」

 リア充を追うVTRなのかと思っていたら、違った。この番組を見ていると、明るい人ほど真面目な側面、悔やみ続ける過去を抱えているケースが多い。ただ、お母さんは今もご健在らしい。ならば、テレビカメラに感謝の言葉を言うのではなく、直接本人に伝えるべきである。ただ、テレビを見ているお母さんに真意は伝わったはず。まちこお母さん、あなたの息子さんはいい子に育っていますよ。

「お店がうまくいってなくて、(母から)電話かかってきて『あんまり無理するんじゃないよ』って。お母さんの『大丈夫か?』だけで救われた気がして……。なんかもう、わーって泣いちゃいました(笑)」

 実は、「温野菜つくば南店」は昨年3月にすでに閉店している。だから、この男性が今どうしているのかが気になった……と思っていたら、男性と連絡がつながっているらしい。現在は東京に出てきて、からあげ専門店で働いているそうだ。4年半前と比べ落ち着いた容姿でカッコ良くなっていたし、からあげ店の場所さえ教えてもらえれば、食べに行きたいくらいである。

 神奈川県伊勢原市のスーパーでスタッフが声をかけたのは、78歳主婦の女性。ご主人と2人暮らしで、結婚生活は56年にもなるそうだ。

――結婚生活を振り返ってどうですか?
「ハッハッハッハ! 一言では言えません(笑)」

 それはそうだろう。というわけで、スタッフは彼女の家へついて行くことにした。ご自宅は築57年の持ち家で、7DKというすごい間取り。奥さんと79歳のご主人がスタッフを出迎えてくれた。

 こんなに広い家なのに、綺麗に掃除されてあるのは立派。そんな中、目についたのは大きなくまモンのぬいぐるみだった。

奥さん 「くまモン、大好き。ゆるキャラで、いわゆるぬいぐるみって感じだけど、くまモンはもう……くまモンがくまモン(笑)!」
――どういう意味なんでしょうかね……?
ご主人 「知らないよ(笑)」

 夫婦の趣味はほとんど共通していない。妻が愛でるものを、夫はよくわかっていないようだ。

 一方のご主人は、火水木と子どもたちにサッカーを教えるのが趣味だそう。あと、お庭で植物を育てるのも楽しみ。ご主人がしっかりと管理し、成長を見守っている。つまり、お庭はご主人のエリアなのだ。

「私はしない。土いじりって好きでもないし、もう汗かくの嫌(笑)!」(奥さん)

 ご主人がお庭にいる間、奥さんは趣味のジグソーパズルに興じている。今まで500箱を収集し、子どもたちからは「お母さんがあれ広げたら、俺たち晩飯にありつけない」と諦められるほどの熱中っぷりだ。

――旦那様は……?
ご主人 「やらない」
奥さん 「こういう細かいことしない(笑)」
ご主人 「やらないやらないやらない」

 2階に上がると、夫婦別々の寝室を奥さんが案内してくれた。ご主人は夜9時に寝て朝5時に起きる早寝早起きの人。奥さんは新聞配達の人が来るくらいの時間にやっと眠るそうだ。

「夫婦の時間差、ハワイと日本!」(奥さん)

 リタイア前のご主人は鉄道会社の運転士だった。2人の出会いはキャンプ場。ご主人は鉄道会社の仲間たちと、奥さんは女友だちと5人でキャンプに来ており、2人は隣のバンガローに泊まっていた。

――お互いの第一印象って覚えてます?
奥さん 「私のほうが『この人のお嫁さんになりたいな』と思ったんです。だから、意識しちゃってそのときはしゃべれませんでした」

 その後、ご主人のグループが先に帰り、翌日に奥さんたちが帰宅。電車で帰ろうとすると、キャンプ場で会った車掌さんたちが駅で働いていた。

「それで、『何分か後の電車にあいつ(ご主人)が来るよ』って言われて、『私、待ってる!』って言ったの。友だちはみんな帰っちゃったんですけど、駅で1人で車掌の夫が来るのを待ってました。これを逃したらもう会えないと思ったから」(奥さん)

 その後、2人は急接近する。奥さんが仕事後に利用する電車を、ご主人の車両の時間帯に合わせるようになったのだ。ご主人は勤務中だから、会話はできない。でも、2人の中では“無言のデート”だった。

「別にそこに一緒にいればいいじゃない、話はできなくても」(奥さん)

 そして2人は結婚した。しかし、運転士は時間に不規則な仕事。早番があったり遅番があったり、夫婦の生活パターンはなかなか合わなかった。

ご主人 「それがいい理由だったんだけど。自分のペースで生活ができた」
奥さん 「そうだね。どっちかが『俺は1人でやりたいよ』『私はお父さんと一緒に行きたいわよ』って言うと大変だと思うけど、お互いがたまたまマイペースで動くのがいいという人間同士だったから」
ご主人 「それでいいんだよ。邪魔しないんだよな。相手の時間を大事にして。だから、すごく気楽なの」

 ところで、奥さんは夜中まで1人で何をしているのか?

「テレ東の『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』が大好きで、録画して見てます」(奥さん)

 本棚にある地図を広げると、そこには赤い線が引いてあった。太川陽介が実際に辿ったルートを線で引きながら番組を見ているそうだ。これだけ真剣に見てもらえるなんて、太川も本望のはずである。

奥さん 「夜中に1人で3~4時間。信じられないでしょ?」
――やっぱり、旦那さんは3~4時間は一緒にできないですか?
ご主人 「できない、できない」
奥さん 「この人はもうアウトドアだから」

 バス旅を見ながら熱心に解説している奥さん。その横で、ソファの端に座ったご主人は上の空だ。

奥さん 「あれが4号線」
ご主人 「う~ん」

 とは言え、相手の趣味は決して否定しない。

「ないがしろにしてるわけではないですし、『こんなことやらなくたっていいんじゃないの?』ってこともお互い言いませんし、お互いを尊重してるの。(夫は)見事に、私のすることに干渉しません」(奥さん)

 理想的なご夫婦だと思う。理解できなかったとしても、他人を尊重できるのは人間関係において大事。相手を縛らず、干渉しないことこそが夫婦長続きの秘訣だ。

 そんな2人にも、共通の趣味が1つだけあった。旅行である。ご主人が「こことここへ行きたい」と提案すれば、日程表作りは奥さんが買って出る。Excelで作ったスケジュールの内容を見ると、朝から夜まで分刻みなのだ。『路線バスの旅』で鍛えた奥さんのスケジュール感覚と元運転士であるご主人の経験値が、夫婦唯一の共通の趣味に生かされていた。

 無理にペースを合わせようとせず、合わないことを逆に夫婦円満の理由にしているのがいい。お互い無言でいたとしても、きっと2人は居心地がいいはず。正反対の2人なのに夫婦生活が56年も続き、こんなに好き同士でいられるのはすごい。

  • 11/17 20:00
  • サイゾー

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