林遣都、潔癖症に苦しむ孤独な青年に。「無理して自分を変えなくてもいい」

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 作家・三秋縋さんの恋愛小説を映画化した『恋する寄生虫』が公開になりました。潔癖症に苦しむ孤独な青年・高坂と、視線恐怖症で不登校の女子高校生・佐薙(さなぎ)が出会い、変化を遂げていく物語で、高坂を演じた林遣都さん。

 役を演じるにあたって、その役に寄り添うだけでなく、「共感する人たちが観たときに、その人たちに『こうじゃない』と思われないように心がけています」と話す林さんに、本作について、そして映画にドラマ、さらに舞台など忙しい日々を過ごす林さんの、意外な生活リズムの整え方を聞きました。

◆新たな挑戦で、違った自分を出せれば

――本作のオファーを受けたときの心境は?

林遣都さん(以下、林)「原案小説と脚本を読ませていただいて、自分があまり通ってきていないジャンルの作品だと思いました。ラブストーリー自体、避けてきたわけではありませんが、そんなに多いほうではないですし。そこにさらにファンタジーの要素が加わって、挑戦しがいのある作品だなと、違った自分を出せればと思いました。そして柿本(ケンサク)監督と(佐薙を演じる)小松菜奈さんとだったら、この作品の世界観を美しく、かつ説得力のあるものにできるんじゃないかと思いました」

――高坂が抱えている孤独感や絶望は、理解できるものでしたか?

「この作品だけでなく、生まれ育った環境というのは人格形成に大きな影響を与えると常に感じます。自分は家族から、本当に普通の生活をさせてもらって、当たり前の幸せを感じながら生きてくることができたので、なかなか高坂の気持ちに共感といっても難しくはあります。でもどの役もそうですが、分からない部分も、しっかりと寄り添って演じられたらと。そして、どのような役でもそこに共感する人たちが観たときに、その人たちに『こうじゃない』と思われないようにと心がけています」

◆すべてを無理して克服しなくていい

――高坂も佐薙も、それまでの自分を否定してきましたが、変わっていきます。

「自分にずっとこびりついていた拭い去りたかったもの、克服したかったものが剥がれ落ちていったと同時に、自分に対して諦めとか否定的だった部分を、ちゃんと肯定できるようになっていきます。今、本当に苦しい世の中で、登場人物たちの孤独感とか、世間に対する疲弊感って、観る方も共感する部分が大きいと思います。

 僕がこの物語から感じたのは、無理して自分が好きじゃない部分を克服できたからといって、果たしていいことばかりなのかということ。もう1回、自分に問いかけて、克服することや自分を変えることで、あまりにも心に負担が出てくるのであれば、そこまで無理しなくていいんじゃないかと。

 自分のいろんな面を肯定して、時に自分を甘やかしてあげて、自分の弱い部分に寄り添ってくれる人を大事にして、大切に過ごしていってもいいんじゃないか。そう僕自身感じましたし、みなさんにも感じていただけたらと思います」

◆自分が我慢して相手が楽になるのであれば

――林さん自身が、完璧ではないけれど、残しておきたい部分はありますか?

「人間関係などで悩んだりするときに、相談に乗ってくれる人たちに、『遣都は、相手のためを思って自分の感情を押し殺してしまう。いい意味でも悪い意味でも優しすぎる』とよく言われます。簡単に言ってしまえば、言いたいことを言えないところがあって。

 自分が何かを我慢することで相手が楽になるのであれば、それでいいと思ってしまう。でもそれによって、結局、あとあと自分が苦しむことになったりして。だからやっぱり言いたいことは言わなきゃと感じることもあるんですが、それでも……(苦笑)。

 やっぱり、自分よりも誰かが楽になればと、そう思えること自体は悪いことじゃないんじゃないかなと思います」

――それが林さんらしさなのでしょうし。

「ははは。そうですね」

◆忙しい日々でリフレッシュに必要なこと

――本編で、高坂と佐薙は「普通」に向けてのリハビリをしていきますが、林さんが、自分にとってのリハビリや、リフレッシュするためにしていることはありますか?

「僕にとっては舞台の期間がリハビリ的なところがあります。映像の現場では、朝が早い日もあれば、昼くらいに終わることもある。翌朝まで撮影していることも。生活のリズムがその時々によって変わりますが、舞台は決まった時間で過ごすことができるので、僕としては生活リズムや体調を整えたり、普段できなかったことをするリハビリ期間になっています」

――傍から見ていると、映像に舞台にと「忙しすぎる!」と心配にもなりますが、林さんにとっては途中に舞台が入ったほうがいいんですね。

「ひとつの舞台をやると、すごく整います。その期間に、やれずにいたこともたくさんできますし。買い物に行ったり、僕は自然豊かなところが好きなので、車で出かけて、ひとりでぼ~っとしたり。いいリフレッシュになります」

◆頑張ったご褒美に好きなものを食べる

――では、ひとつの作品が終わったときなどに、自分へのご褒美をといった意識はないのでしょうか?

「僕、作品をやっているときに、ストレスみたいなものが一切溜まらないんです。ずっと作品が続いていることは有難いことですし、お芝居も撮影も、楽しいので、終わったから疲れを取らなきゃみたいな、そういう考えにならないんです。しいて言えば、頑張ったから、好きなものを食べようかなとか、それくらいですね」

◆観客へメッセージ

――ありがとうございました。最後にひと言メッセージをお願いします。

「登場人物がすごく少ない映画で、ふたりだけの世界が紡がれていきます。きっと、観ていて心が洗われるような気持になってもらえるんじゃないかと思っています。身も心も疲弊しやすい世の中ですが、気持ちが沈んでしまうことがあったら、一旦そこから離れてみてもいいし、自分を許してあげることも必要だと思います。そうしたことも感じてもらえたらいいなと思います」

(C) 2021「恋する寄生虫」製作委員会

<撮影・文/望月ふみ>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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