なにわ男子・道枝駿佑、Snow Man・目黒蓮がダブル主演するドラマ『消えた初恋』（テレビ朝日系）が非常に面白い。元々、ジャニーズでも非常に勢いのあるグループの人気メンバー主演で、注目度の高いドラマであった。ここまでのドラマの評価は、原作漫画の期待を裏切ることなく、見ていてその世界に没頭させてくれる点で、多くの人にとって期待以上だったと言えるだろう。

11月14日までに第6話まで放送され、ストーリーはちょうど中盤だ。ここまでの内容でなんと言ってもすばらしいのは、難しいと思われた漫画の世界での魅力を、ドラマでしっかりと再現している点である。

道枝演じる青木と目黒演じる井田による恋の見どころが各話ごとにあるのも、このドラマを盛り上げる要素の1つだ。

例えば、第5話での林間学校の夜のシーン。青木が勇気を振り絞って井田への気持ちを伝える場面は、ドラマではよくあるシチュエーションでもあり、いかにも恋愛コメディらしい演出に溢れていた。一方で、青木の恥ずかしさや申し訳なさや苦しさが入り混じった表情と、それを真正面から受け止める井田の包容力溢れる様子によって、2人の真剣さに心打たれる場面となった。

また第6話で、好きという感情が理解できないでいた井田が、青木に対する想いに対して、これが好きという感情かもしれないと気づくシーンも、非常に印象的だった。夕暮れに照らされた体育館の中で、2人が誠意のある言葉で互いに対する気持ちを伝え合う場面は、そのかけ合う言葉も、叙情的な映像も、美しく素敵なシーンだった。もしかしたら、ドラマ全体で見ても、このシーンを好きだと挙げる人は少なくないように思われる。

この作品の魅力は、ファンタジーとリアリティ、その2つの絶妙なバランスにある。男性同士の恋というテーマを、茶化すことなくしっかりとリアルに受け止め、それでいて恋愛コメディとしてのファンタジーをいかに成立させるかは、登場人物の描き方や、ストーリーの軽快さなど、緻密で絶妙なバランスの上に成り立っていると言える。

その意味で、ドラマとしての脚本や演出のうまさ、キャスティングのフィット度合いも功を奏しているが、やはり主演する道枝、目黒の演技におけるファンタジーとリアリティのバランスが非常に素晴らしい。彼らの演技におけるバランス感覚が、原作漫画の魅力をドラマで再現させている、と言っても過言ではない。

ところで道枝は、先日11月12日に本ドラマの主題歌『初心LOVE（うぶらぶ）』でメジャーデビューを果たした、なにわ男子のメンバーである。また目黒は、同じく本ドラマの主題歌『Secret Touch』が来たる12月1日に5枚目のシングルとして発売予定で、デビュー以来の強烈な勢いを保ち続ける、Snow Manのメンバーである。道枝も目黒も、それぞれのグループで非常に目立つ位置でのパフォーマンスも多く、グループの人気を牽引するメンバーである。

ドラマの中の青木と井田は、アイドルとはかけ離れた、いかにも普通の高校生である。一方、印象的な場面で2人が高い瞬発力で放つ輝きは、アイドルのそれだと感じることも多く、道枝と目黒のアイドルとしての決定力の高さを痛感する。

ドラマとしてのキャラクターを演技で成立させる力と、アイドル的要素で視聴者に求められるものを的確に提供する力、それらを両立させるのはやはりバランスが難しい。どちらかを強く出しすぎてもバランスが崩れるし、どちらも手加減してしまうと印象が薄くなる。道枝と目黒が、役者としてもアイドルとしても高いレベルでせめぎ合うことで、それが良い方向でドラマを盛り上げている、とも言えるだろう。

2017年の『母になる』（日本テレビ系）でドラマ初出演以降、硬軟さまざまな役を演じ、同じなにわ男子の西畑大吾を追うように役者としてのキャリアを多く積んできた道枝。一方、2015年に『お兄ちゃん、ガチャ』（日本テレビ系）での出演はあったが、テレビドラマのキャリアは2019年のSnow Man加入以降が中心となる目黒。それぞれ役者として歩んできた道は違うが、ドラマ出演でグループの人気を支えることが期待される2人である。本作『消えた初恋』での好演で、役者としても、アイドルとしても看板を背負うことで、双方のグループが持つ圧倒的な勢いにさらに拍車がかかると期待している。

ドラマ『消えた初恋』は、いよいよ終盤に差し掛かってくる。原作漫画は現在連載中の作品のため、ドラマのストーリーがどこでクライマックスを迎えるのか、気になるところだ。

その中で、道枝と目黒がドラマとしてどう盛り上げていくかによって、漫画とは違う、ドラマとしての『消えた初恋』の印象が決まるだろう。終盤への期待が、今から非常に高まっている。

文：ジャニヲタおじさん

『消えた初恋』

毎週土曜よる11時30分～

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