町の八百屋なども届出が必要に!? 食品衛生法改正で新たに創設された「営業届出制度」を解説

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。11月14日(日)の放送では、厚生労働省 食品監視安全課長の三木朗(みき・あきら)さんに、食の安全を守る「営業届出制度」について話を伺いました。

青木源太、三木朗さん、足立梨花

◆食品衛生法が改正された3つの理由

食品衛生法は、飲食に起因する健康被害の発生を防止するための法律で、1947年に定められ、その後、食に関する問題や状況の変化に応じて改正されてきました。改正の項目は多岐にわたり、順次施行されてきましたが、食品の営業規制に関連する改正が、今年の6月1日(火)に施行されました。

近年、少子高齢化が進んで65歳以上の夫婦のみの世帯が増えるなど、世帯構造が変化していることもあり、外食をする人や、あらかじめ調理された加工食品を購入して家で食べる、いわゆる“中食”をする人が増えました。

また、世界各国の香辛料やソース、冷凍食品などのいろいろな輸入食品が増えるなど、食のグローバル化も進んでいます。こうした“食や食品を取り巻く環境の変化”が、食品衛生法を改正した理由の1つです。

2つ目の理由は“食中毒発生数の下げ止まり”。2020年の食中毒事件は、年間887件、患者数は1万4,613人。また、この10年程は1年間におよそ1,000件の食中毒事件が発生しており、患者数もおよそ2万人で、下げ止まり状態となっています。こうした食品による健康被害に対応することも、改正の背景にはあります。

3つ目の改正理由は、“国際的な標準に合わせた食品衛生管理の必要性”です。

日本は、アメリカやヨーロッパなどが取り入れている国際的な標準の食品衛生管理の手法「HACCP(ハサップ)」から遅れている部分があったため、三木さんは「東京2020オリンピック・パラリンピックの開催や食品の輸出を促進していくうえで、国際的な標準に合わせていく必要があった」と話します。

◆改正に伴い、新たに創設

今回の改正では、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理の実施が義務付けられることから、新たに「営業届出制度」が創設されました。これにより、保健所が対象となる事業者を把握し、必要な助言や指導などをおこなえるようになり、対象となる営業を営んでいる場合には、管轄の保健所への届出が必要となります。

食品などの製造や加工をおこなう場合、各都道府県などから許可を得ないと営業できない業種が法令で定められています。例えば、レストランなどの飲食店のように調理をおこなう業種や、食肉類や魚介類を店頭で包装して販売、菓子、乳製品、豆腐、味噌や醤油、酒などの製造など、ほかにも32の業種が規定されています。

ただなかには、32業種に該当しない食品等事業者も存在し、そうした事業者は届出をする必要はありませんでした。しかし、HACCPに沿った衛生管理の実施が義務付けられたことにより、32業種に該当していない食品等事業者も届出が必須になりました。

食品の営業は多種多様で、例えば、八百屋や果物屋、お米屋、スーパーなど、「食品を仕入れてそのまま販売している食品販売業の方も、営業の届出を出していただくことになる」と三木さん。そのほか、お弁当を仕入れて販売しているお弁当屋や、店舗を持たず通信販売や訪問販売などで飲料や食料品を販売している方、製粉業、製茶業のように、営業許可の対象とならない食品の製造をしている方も届出が必要です。

ただ例外もあり、常温保存が可能で賞味期限が設定されている場合や、包装食品のみを販売する場合などは、公衆衛生への影響が少ないと考えられるため、届出の必要はありません。

自身の業種が、届出が必要か否かを判断できない場合は、厚生労働省の食品衛生法改正についてのページで確認するか、保健所に問い合わせてください。

また、届出は管轄の保健所でもできますが、厚生労働省ではオンラインによる届出を推奨しています。現在、スマートフォンからでも届出できるようになっており、厚生労働省の食品衛生申請等システムへアクセスし、手順に沿って手続きをすれば、簡単に届出をすることができます。

なお、「営業届出制度」は6月1日(火)からスタートしており、新たに営業を始める方は、営業を始める前に届出をする必要があります。また、6月1日(火)の時点ですでに営業をしていた事業者は、今年の11月30日(火)までに届出をしなければなりません。

あらためて、三木さんは「これまで必要のなかった届出なので、負担に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、食の安全を守るために大切な取り組みです。みなさんが安心して食を楽しめるように、ご協力をお願いします」と呼びかけました。

足立は、「営業届出制度」が新たに創設されたことに触れ、「(6月以降、すでに営業をしていた営業者は)今年の11月30日(火)までと迫っているので、届出がまだの方はやってほしい」とコメント。

青木は、特に印象に残ったこととしてHACCPを挙げ、「国際的な標準の食品衛生管理手法に沿った衛生管理の実施を義務付けることが、今回の改正の背景にあることを学んだ」と話しました。

(左から)青木源太、足立梨花

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<番組概要>

番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection

放送日時:毎週日曜 7:30~7:55

パーソナリティ:青木源太、足立梨花

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/

2021/11/15 6:00

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