【勝負の分かれ目 エリザベス女王杯】幸騎手の大胆な騎乗でアカイイトがGI初制覇
ゲートが開き、第46回エリザベス女王杯の出走馬17頭がスタートした。
クリストフ・ルメールが騎乗するレイパパレは、1枠1番から好スタートを切った。
それを正面スタンド前で、シャムロックヒル、ロザムール、ウインマリリンらがかわして行く。アカイトリノムスメはレイパパレの2馬身ほど後ろのやや外。
テン乗りの幸英明が手綱をとるアカイイトは後方に控えている。
「調教に乗ったとき、少しムキになりやすいところがあるので、折り合いに気をつけようと思っていました。ゲートを上手く出せなかったのですが、向正面に入ったときには思いどおりの位置を取ることができました」と幸。
シャムロックヒルが先頭のまま17頭は1、2コーナーを回って行く。
レイパパレは先頭から3、4馬身離れた4番手の内、前後にウインマリリンとアカイトリノムスメがいる位置関係はそのままだ。
向正面でレイパパレは行きたがり、ルメールが重心を後ろにかけて抑えようとしている。
その外につけたアカイトリノムスメの戸崎圭太も手綱を引いて宥めている。
1000m通過は59秒0。
平均よりやや速い流れのなか、レイパパレの正面に馬がいなくなって前を見通せる状態になってしまった。
それもあって、レイパパレはさらに行きたがり、ルメールが手綱を引っ張り切りのまま3コーナーへと入って行く。
ラスト800mを切ってもルメールは手綱をガチッと抑えたままだ。これなら直線で弾けそうに見えた。手綱を緩めたラスト600m手前で躓いてしまったが、それでも、逃げるシャムロックヒルを楽な手応えでかわして先頭に立ち、直線に入った。
大外から、アカイイトが凄まじい脚でマクりをかけてきた。
「阪神の内回りということもあって、早めに動いて長くいい脚を使わせたいというイメージで乗りました。最後は絶対に伸びてくれると信じていました」
そう振り返った幸のゴーサインに応えたアカイイトは、直線入口ではレイパパレとの差を1馬身ほどに詰めていた。
幸は、内にモタれそうになるアカイイトの進路を右鞭で修正しながら追いつづけた。
アカイイトはラスト100m付近で内のレイパパレをかわして先頭に立った。そのまま伸びつづけ、追い込んできた2着のステラリアに2馬身差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。
前で牽制し合う人気どころを4コーナーで一気にマクった幸の大胆な騎乗で、GI初出走のアカイイトが、キズナ産駒にとってのGI初制覇をマークした。
(文:島田明宏)