東大生が驚いた「聞くだけで日本史の勉強になる楽曲」ベスト3

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―[貧困東大生・布施川天馬]―

 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆「寝ている間に学習」は本当にできる?

 皆さんは「睡眠学習」を知っていますか? 読んで字のごとく「寝ている間、無意識のうちに学習してしまう」という勉強法です。

「寝ている間に学習なんて、そんな馬鹿な」と思われるかもしれませんが、たしかに記憶の定着は睡眠中に行われるなんて話もあります。

 日本では1960年代に「睡眠学習機」なるものが発売されており、そこそこ売れていたなんて聞きますから、やっぱり「ラクして勉強したい」と思うのはいつの世も変わらないのでしょう。

 僕自身、睡眠学習についてはまったく信じていませんが、「聞き流して勉強する」というのはある程度、効果があるのではないかと感じています。聞き流している間に、聞こえた内容を覚えることはできるのではないかと思うのです。

◆「音楽に乗せた日本史の知識」が勉強になる

 たとえば、流行りの歌など聞き流しているうちに、歌詞の意味を理解していなくても、なんとなく口ずさめるようになったなんて経験はありませんか? もしくは、人気商品のCMソングのサビ部分だけ、なぜか歌えるなんてこともあるでしょう。

 歌に乗せて暗記したいことを覚えるのは、オーソドックスな暗記術の一つでもあります。僕も「アルプス一万尺」に乗せて、「殷、周、春秋、戦国……」と中国の諸王朝を覚えた記憶があります。

 とはいえ、受験知識となるとマニアックすぎます。なかなか曲のバリエーションがないというのが悩みでした。しかし、いたのです! 日本史をメロディーに乗せて見事に歌い上げるアーティストが!

 今回は日本の歴史を素晴らしい歌に乗せて歌い上げているアーティスト「レキシ」による、特に勉強になると感じた3曲をご紹介します!

◆〇「狩りから稲作へ」

 まず紹介するのは「狩りから稲作へ」です。こちらは2011年3月リリースのセカンドアルバム『レキツ』に収録されています。いきなりマニアックなところに来てしまったかもしれませんが、この曲は本当に凄い。

 何しろ、この方向転換がなくては、今日までの人類の発展はなかったかもしれないという重大な局面がテーマになっています。膨大な日本史の出来事のなかで、あえてここを取り上げるセンスには脱帽というほかありません。

「狩りから稲作へ」というタイトルには、人類の一大転換点が隠されています。文字通り、「狩り」を中心とした生活スタイルから、「稲作」を中心とした生活スタイルに変わったということです。

 この変化により、人々は「定住生活」が可能になりました。それまでは獲物を追いかけては狩りをし、狩り尽くしたら別の場所へ移動していました。そのせいで、どうしても群れの人数が少なく、生活の基盤も不安定でした。

◆農耕牧畜は「文明発展のための第一歩」

 こうした状況は稲作の導入によって一変しました。何しろ、狩りに行かなくてもご飯は土から生まれてくるのです。生活基盤が安定したおかげで、危険を冒して放浪の旅に出る必要がなくなり、群れの人数も増加しました。

 狩猟中心の生活から、農耕牧畜が中心の生活スタイルへ移行するというのは、世界的に見てもさまざまな文明で起きています。いわば、文明発展のための第一歩なわけです。

「狩りから稲作へ」という一見すると地味なタイトルの中には、日本史が成立するためのルーツが隠されていたのです。

 ここまでの流れを教科書の簡素で味気ない記述から読み取るのは、正直面倒くさいでしょう。そんな人は騙されたと思って、ぜひこの曲を聞いてみてください。

「不安定で危険も多い狩りから安定した稲作定住へ」という流れが、6分に満たない曲の中に見事にまとめられています。

◆〇「墾田永年私財法」

「いやいや、そういうのじゃなくて、具体的に勉強になるやつはないのかよ」という方もいらっしゃるかもしれません。そんなせっかちな方には、この「墾田永年私財法」はいかがでしょうか。こちらの楽曲は2012年12月リリースのサードアルバム『レキミ』に収録されています。

「墾田永年私財法」は743年に発布された法律です。内容は「新しく田んぼを開墾したら、その土地あげちゃう!」という太っ腹なもの。

 従来の法律では、すべての土地は国のものでした。「口分田」という形で農民に田畑を配ってはいましたが、これも結局、「貸しているだけ」で、いつかは国に返さなくてはいけなかったのです。

 いくら必死に頑張って開墾しても、最終的には国が持っていってしまう。おいしい部分だけ持っていかれるようなものですから、農民からすれば「なんで頼んでもいないのに貸された土地で働かないといけないんだ!」という不満があったわけですね。

◆繰り返される「墾田永年私財法 743年」

 そこで出たのがこの「墾田永年私財法」です。これによって、いろいろ細かい制限はあったものの、新しく開墾した土地は全部自分のものになるということになりました。とりあえず農民にやる気を出してもらって、未開拓の土地をどんどん開墾しようと考えたわけです。

 さて、この「墾田永年私財法」という曲の中では、ここまで説明した流れがきっちり歌詞として歌われています。

 さらに「墾田永年私財法 743年」というフレーズが何度も繰り返されるので、とりあえず意味がわからなくても「墾田永年私財法は743年の法律」ということは頭に入るのです。

「墾田永年私財法」はテストに頻出する超重要用語ですから、試験前で「1点でもあげたい!」という人は、とりあえず聞いてみるといつか役に立つかもしれません。

◆〇「参勤交代」

 3つめは「参勤交代」。こちらは2007年6月リリースのファーストアルバム『レキシ』に収録されています。

「参勤交代」とは、江戸時代に諸大名に課されていた責務のことです。江戸幕府三代将軍である徳川家光が定めたこの制度は、簡単にいえば、大名たちに自らの領地と江戸の町とを往復させながら生活させるというものでした。この様子は映画でも『超高速!参勤交代』などで取り上げられていましたね。

 江戸時代の初期は、中央政府として江戸幕府が一応、力を持っていたものの、まだまだ各地方の有力者(=大名)の権力も強かった時代でした。

 結果的には250年以上も徳川幕府は続きましたが、実は一歩間違えれば早々と瓦解してしまうような、不安定なバランスの上に成り立っていました。

◆江戸の経済活動の活発化につながる

 そこで、幕府は「自らの領地と江戸とを一年おきに往復させて生活させる」という参勤交代制度を導入しました。

 毎年毎年転勤を命じられるようなものですから大変です。さらに、江戸の屋敷も地元の屋敷も維持しなくてはいけませんし、出張交通費も自腹なのでお金もどんどん出ていきます。幕府はそうして反乱を起こす意欲や資金を削ぐようにしたのですね。

「参勤交代」という楽曲が優れているのは、ここまでの流れが説明されている上に「江戸の町が潤った」というところまで説明されていることです。定期的に大名が江戸に来るので、常に経済活動が活発化していたのでした。

◆「勉強は本とノートでやるもの」は大間違い

「たかが音楽」と思われるかもしれません。ですが、ここまでで紹介してきた3曲は「ひょっとしたら、そのまま補助教材として使ってしまってもいいのでは?」と思ってしまうほど、勉強になるものばかりでした。

 もちろんこれら以外の曲も、日本史のさまざまな部分に着目して作られた曲ばかりです。これからは使えるものは何でも使った人が勝ちます。

「勉強は本とノートでやるもの」という常識を捨てて、音楽を聞き流しながら勉強するのはいかがでしょうか?

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa)

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